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霊夢14 初めてのチュウ 霊夢受編(10スレ目 87) 「こ、ここから落とされたくなかったら……私とキスしなさいっ!」 「は?」 青年の目の前には、紅と白を基調とした衣装に身を纏った少女が一人。 今、彼はあまりに理不尽すぎる脅迫を受けていた。 「ど、どうなの……?」 少女が やや どもりつつ、頬を紅く染めながら、目を吊りあげて強気に問う。 一方、青年はどう足掻こうとも言うことを聞かざるを得なかった。 何故ならば―――― 「……どう…って」 ――――青年と少女がいるそこは地上から100mも離れた空中であり、青年は飛べなかったから。 青年は今、空を飛ぶ不思議な巫女――――博麗 霊夢に手を引かれ、空中に連れて来てもらっているのだ。 (いきなり空中に連れ出されたと思ったら。ていうか、こんな脅迫しなくてもいいのになぁ……) 青年は霊夢の強引さに少々呆れながらも、その不器用さに心中で苦笑してしまう。 こんなところで可愛らしい脅迫をするのも、素直では無い不器用な愛情表現なのだろう。 そんな所も含め、青年は霊夢のことを―――― 「は、早く答えを出さないと――――」 霊夢がそう言うや否や、青年の手を掴んでいる 白い手に込められた力がわずかに緩む。 「……――――!?」 青年の表情が一瞬だけ凍りつき、背筋をぞっとしたものが包む。 次の瞬間、青年の声にならない叫びが周囲を包んだ。 必死で落とされまいと、青年は霊夢の手を強く握り返す。 それも仕方のないことだろう。 空を飛ぶ能力のない青年は、ここから落とされれば確実に死は免れないからだ。 「ど、どうなのよぉ……!?」 対し脅迫している霊夢のほうも既に一杯一杯だ。 なかなか答えようとしない青年に、その顔は先程よりも紅く染まっており、目の端には涙の塊が。 今ここで青年が断ろうものなら――――彼女は確実に、完全に泣き出してしまうだろう。 そして、傷心の彼女が青年を気遣う心の余地がなければ……彼は確実に落とされる。 何にしても、早く答えなければ霊夢に落とされると悟った瞬間、青年は半狂乱になりながら叫んだ。 「わ、わかった! する! するから手を離すな霊夢! そのまんま無事に下してくれお願いします!!」 「それでよし」 先程の泣き顔はどこへやら、酷く安堵した笑顔を顔に浮かべて、霊夢は青年の手を強く握り返した。 霊夢は普段から多少傍若無人なところはある―――そんな所も愛おしい―――とは青年は考えていた。 (や、ヤベェ……今のは目がややマジだった……) しかし、今は―――― いつか見た鬼や悪魔以上に、楽園に住む巫女が青年には恐ろしい存在に見えたような気がしていた。 ただ、そんなことをされてもなお、青年が抱く彼女への想いは微塵も揺らぎはしなかったが。 ほどなくして、博麗神社の縁側に降り立つ。 霊夢は期待に胸を高鳴らせており、一方 青年は命があることを心の底から神に感謝していた。 「ふー……」 青年は一息、大きく息をつくと―――― 「じゃあ、どうぞ……」 そう言って、霊夢の真向いに立った。 「え?」 「いや、別にキスは男からじゃなくてもいいだろう?」 男としてそれはどうか ということは置いておいて、青年は真顔で正論を述べる。 「え…ええ……」 相槌を打ちながらも、霊夢の心中は複雑であった。 (……してほしかったのに) 本当は、青年に優しく唇を奪って欲しかったのだが これ以上臍を曲げられても仕方ない、とも霊夢は考える。 そして、霊夢は青年にそろそろと歩み寄った。 歩み寄るたびに、霊夢の頬の紅潮はどんどん濃度を増し、彼女の胸の高鳴りは青年との距離が縮まるとともに その速度を速めてゆく。 「じゃあ、するね……?」 二人の距離はが約20cm程度の地点で、霊夢は青年を上目に見上げながらそう言った。 しかし、彼女の前に最初の難関が立ちはだかる。 それは―――― (と、届かない……!) ――――背の高さだ。 片や、十代半ばの少女。 片や、背の高いほうでは無いが、それでもそれなりに身長はある青年。 霊夢が爪先立ちをしても、彼女の唇は青年の顎までしか届かない。 霊夢がどう足掻いても、背の高さだけは今すぐにどうにかできるものでは無い。 だから、腰をかがめて欲しい、と霊夢は青年に頼もうとしたが―――― 「……っ!」 その前に、顔をニヤニヤ歪めている青年が霊夢の目に入る。 霊夢は青年のその表情に見覚えがあった。 それは、青年が霊夢に対し何か意地悪をする時の顔だったから。 さすがに これ以上青年の思惑どおりに嵌るのは癪だと、霊夢は考える。 「……そのままでもいいわよ」 「え?」 ふわっ…… 何の前触れもなく、霊夢の両脚が重力を無視して大地から離れる。 「……こうすれば、いいんだもの」 その場にふわふわ浮いた霊夢は、ようやく○○と文字通り肩を並べる高さになった。 けれども、霊夢は知らない。それすらも、青年の計算の内だということを。 「す、するわよ…」 「どうぞ」 ちゅっ…… 霊夢は目を閉じ、その少女らしい瑞々しい唇が、青年の唇に軽く触れる。 その途端、霊夢の顔がこれ以上ないほどに赤く染まるとともに、彼女はそのまま動かなくなった。 (やっぱり、キスするの初めてで何やっていいのかわかんないみたいだな……) 青年はそんな彼女を薄目を開けて見遣りつつ――――少し強くキスしてみるか――――と、心の中でほくそ笑んだ。 青年は、霊夢の上唇を自身の唇で軽く咥えながら優しく吸い上げる。 そして、吸い上げながら彼女の上唇を甘噛みした。 「んっ……!」 急に能動的に唇を求めだす青年にやや驚きつつも、霊夢も負けじと必死で応戦する しかし、経験がないために 霊夢の唇の動きはどこかぎこちない。 「ふ……ぁっ……」 上唇を優しく唇で咥えられつつ チロチロと舌先で上唇に舌を這わされた瞬間、霊夢の頭に電流が流れた。 とたんに――――すとん、と両脚が地面についてしまった。 二人の唇の間に銀色のアーチができて、間もなく消えた。 「……っ!」 もう一度、霊夢は宙に浮かびあがり、青年と唇を重ねる。 しかし―――― (ち、力が……) 青年と唇を重ねるまではいいのだが、青年が霊夢の唇を苛めだすと 霊夢の体中に甘い電気が流れてしまう。 その電流が霊夢の思考を麻痺させてしまい、そのために宙に浮かぶための集中力が途切れてしまうのだ。 青年も経験豊富というわけでは無いし、取り立ててキスが上手というわけでもなかった。 ただ、青年は紅魔館の図書館で上手なキスのやり方を調べただけ。 それでも知識も経験も無い霊夢を翻弄するには十分過ぎた。 3度目のキスを始める前に、霊夢は相も変わらず頬を赤く染めながら上目遣いに青年を見上げて―――― 「ねぇ……」 「ん?」 「や、やっぱり……して欲しいんだけれど…」 「ん~、だって飛べるんでしょ?」 青年はニヤニヤしながら霊夢に言った。 「い、意地悪っ……」 「意地悪なのはどっちだよ、逃げ場のない空中で人を脅迫しといてさ」 「ぅぅ……」 頬を赤く染めながら小さく呻き声を上げる霊夢があまりに愛らしいために、青年の心にかつてない危険な情欲が湧きあがってきた。 もう少しいじめてみるか……と、これ以上ない意地の悪い意思をその眼に孕ませて―――― 「さてと……終わったしお茶でも飲もうかな」 「え、ちょ、ちょっと待って!」 「ん? だって、もうキスしたじゃないか」 本当はもっともっと霊夢の唇を味わっていたい……そんな本心を隠しつつ、青年は霊夢に背を向け神社の方角へ歩きだした。 「……!?」 と、不意に背後から服が引っ張られ、その動きが引きとめられる。 振り返ると、霊夢が俯きながら青年の服を掴んでいた。 「いじ……な…でよ………」 「え……?」 霊夢は、俯きつつボソボソと何事かを呟いている。 青年は、その声をうまく聞きとれずに、些か間が抜けたような声を上げて聞き返した。 「……もう……いじめ…ないで…」 霊夢は、顔を上げながらそう言った。 既に羞恥とキスをやめられるという恐怖によって その眼の端に涙を貯めながらも、必死で青年に哀願している。 これ以上、青年が意地悪を続けると本気で泣き出しかねなかった。 「ふふ……」 青年も、事此処に至っては流石に これ以上焦らすのも可哀想と考えたのだろう。 その顔に、優しげな笑みを浮かべて霊夢の左斜め前に立った。 「えっ…?」 そして、有無を言わさずに右手を霊夢の膝の後ろに、左手を霊夢の左手に回して、軽々と抱えあげた。 「きゃ……!」 「………!」 抱き上げた身体があまりに軽いことに驚くものの、今は霊夢を安心させるのが先決と考えて神社の縁側に向かって歩き出した。 「ちょ、○○! どこに……」 青年は、驚き慌てる霊夢の質問には答えずに縁側に座り、霊夢を自分の膝の上に横座りに座らせた。 そして、霊夢の身体ができるだけ正面に来るように身体を傾けた。 「これで、背の高さ的にはちょうどいいかな?」 「あ……」 青年の膝の上に座っているために、やや霊夢のほうが頭が高くなってしまったが、それでもキスができないというほどの高低差はなかった。 「今度は俺からするけど、いい?」 「う、うん……」 「力が抜けても支えててあげるから大丈夫だよ」 霊夢の心の中を、これ以上ないほどの温かいものが包んでゆく。 ―――― この人はいつもそうだ、どんなに意地悪にしていても最後には私が望むものを優しく与えてくれる。 溢れ止めることができない想いを、霊夢は静かに青年に告げた。 「……大好き」 「俺もだ……」 二人は、互いの想いを確かめ合うかのようにしばし見つめあう。 そして、どちらからともなく互いの唇が近づいてゆく。 ちゅっ…… 啄ばむような柔らかな口づけを数回繰り返したあと、青年は霊夢の唇を少しずつ強く求めだす。 柔らかいけれども緊張で未だ堅さが抜けない霊夢の唇を、青年は優しく解きほぐしてゆく。 その情景をあえて形容するならば、青年が霊夢の唇を優しく食んでいるという言葉がぴったりくるだろう。 二人の感情が次第に次第に昂ぶってくる。 「ふぁ……んっ……」 既に霊夢の頭には霞がかかり、先程のキスとは比べ物にならない程の甘ったるい電流が彼女の頭を痺れさせていた。 霊夢の全身から力が抜けてゆくが、今回は青年の力強い腕が彼女の身体をしっかりと支えていた。 それだけで、霊夢の心は温かいもので一杯になっていった。 「ん……っ」 一方、青年は霊夢の口の中に舌をそっと滑らせた。 未だ引っ込み思案な霊夢のほんのわずかだけ絡めさせる。 そして、青年は霊夢の唇だけでなく舌をも解きほぐそうとした――――その時 「~~~~~!!」 どんっ!! 「うわっ」 突然、霊夢が青年を少し強めに突き飛ばした。 とたんに、二人が作っていた甘い雰囲気が一瞬で冷たいものになる。 「ご、ごめん! やりすぎ――――」 あまりに激しく求めたために拒絶されたのかと、青年の背を冷たいものが包み込んだ。 「ち、違うの、そうじゃなくて……」 霊夢の次の発言は、青年の予想の遥か斜め上を行くものであった。 「口が塞がってて……い、息が……」 その場で肩を上下させながら、荒く息をつく霊夢を青年は眼をパチクリさせながら見つめた。 そして、霊夢が自分を突き飛ばした理由を青年は理解する。 どうやら、口が塞がっていたために息ができなかったらしい。 けれども、それは―――― 「鼻で息しなかったの?」 「……あ」 霊夢が間抜けな声をあげる。 頭が熱病にでもかかったかのように茹って、まともな思考ができなかったが青年の言う通り鼻で息をすればよかったのだ。 とたん、霊夢の顔が羞恥で赤く染まってゆき、青年はその様に噴き出した。 「ふふっ……あはははははは!」 「も、もう! 笑わなくてもいいじゃない!!」 子供のように頬をふくらませて怒る霊夢があまりにも可愛らしすぎて、拒絶されたのかと恐れていた青年の心を和ませ温めてゆく。 「ごめんごめん」 からかうように言いながら、青年は霊夢に再び唇を近づける。 対する霊夢も青年の想いに答えるかのように、青年の唇に自分の唇を重ねた。 霊夢と青年の熱い熱いキスは、まだまだ続く。 『初めてのチュウ 霊夢受編』end ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目850 「と、いうわけなんだよってこーりん聞いてるのか?」 「ああ、聞いてるよ、霊夢が可愛いんだろう」 「そうなんだよー、昨日なんか膝枕して耳掃除してたらやたら可愛い声を出してな その……なんて言うか性欲を持て余すwww」 「そうかい、でも落ち着けスネーク、ここで興奮しないでくれはたから見たら誤解される」 「失敬な、俺は霊夢のこと以外では興奮せんぞ」 「はいはい、ご馳走様」 昼過ぎに本を読んでいた僕の所に突然転がり込んでさっきから惚気まくっているのは つい半年ほど前に幻想郷に迷い込みそのまま博麗神社に住み始めた○○というごく普通の少年だ 当初はしばらくしたら外の世界に帰ると思われていたが 何を間違ったのかあの霊夢と恋仲になってそのまま住み着いてしまったのだ 「それで君は惚気話をしに来たのかい?それとも買い物に来たのかい? まあ後者は殆どないだろうがね」 「なんかえらく棘がある言い方するじゃないか」 「事実だろ?現に君がここに来て買い物をしたことは一度もないじゃないか まあ品物を強奪する連中に比べればましだけど」 「あ、あははははは」 「笑わないで君からも霊夢に店のものを持っていかないように言ってくれないか? 君が言ったら効果があるだろうし」 「気が向いたら言っておくよ、さってっと」 「もう帰るのかい?」 「ああ、なんか読書の邪魔しちゃったみたいだし それにそろそろ霊夢分が不足してきた」 「そうかい、ご馳走様」 「お粗末さまです、じゃあまた今度なこーりん」 そう言うと彼は神社の方に帰っていった 「まったくまさかあんなバカップルになるとはね」 霊夢も霊夢で色々と惚気ているもっともその対象は僕だけじゃなくもっぱら魔理沙や紫が対象らしいが 「この調子だとそろそろ指輪も要るだろうな、多分店にないか?って聞きに来るだろうし作っておくか まあその前に渋いお茶でも入れて飲もう、さんざん甘い話を聞かされたんだ胃がもたれてしまうよ」 そう考え僕は台所にお茶を入れに行った ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目 964 「霊夢・・・」 「あら○○こんな時間にどうかしたの?」 「カレーを作ったら・・・米がなかった」 ○○はとても落ち込んだ表情でなべを抱えていた 「ご飯余ってたら分けて欲しいんだが」 「運がいいわね、今からおかずを作るところだったのよ、これで手間が省けたわ」 「すまぬー」 「早く上がって、お腹すいたわ」 「おう霊夢、悪かったなーこの借りはいつか必ず」 「そんな事言って、いつになる事やら」 「はっはっはこやつめ」 「じゃあ・・・一つ頼みを聞いてくれるかしら?」 「?ああ、俺に出来ることならば」 こういうことは恥ずかしがって言うより一気に言ってしまったほうがイイに決まっている 深く息を吸い、頼みを言った 「私とキスして」 「へ?えっあー・・・そ、そういう冗談は良くないぞ、うん」 「・・・」 霊夢は俺をじっと見ている、その眼はいつになく真剣だ 「冗談・・・だよな?」 霊夢は何も言わず俺に近寄って目を瞑った これはいいのか!?いいのですか!霊夢さん!しちゃいますよ!?いいですね!こたえはきかないけどね! 「んっ・・・あっんちゅんんんーふぁ」 霊夢が近い、彼女の吐息がかかる距離、これはヤバイ 人生初めてのキスが此処まで官能的なものになるとは思っていなかった 俺は我慢できずに霊夢を抱きしめて、そのまま押し倒した 霊夢は驚いて俺を見ていた 「霊夢、俺はいでっ」 霊夢にでこピンされた 「馬鹿、がっつかないでよ」 「あー・・・すまん、ごめ」 俺の言葉は彼女のキスに阻まれた 「ん!?ぷはっ霊夢!?」 「これで許してあげる」 彼女は笑っていた これは反則だ、これで惚れないわけがない、それ位いい表情だ 「霊夢、俺さお前の事が―」 そうして俺らは3度目のキスをした ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目968-970 ○○が香霖堂に住み着いて早半年。 この世界に迷い込み、レミリアに戯れで捕獲されて紅魔館へと。 その後三回ほどお嬢様のお食事にされたのだが、ここで困った事が起きた。 彼は慣れてしまったのだ。吸血行為にもそうだが、この異常な世界に。 黒白の魔法使いが侵入してきて、魔法やら弾幕が飛び交う。 オマケに時と空間を操るメイド長や、何処からともなく表れるスキマ妖怪。 それに比べれば吸血鬼のお嬢様など可愛いものだ。血を吸う以外に害はないので。 が、それがいけなかったのだ。何せお嬢様はグルメなお方。 自分を恐れる者の血しか吸わないらしく、そうなると食料としては○○に価値はない。 かといって彼に何かが出来るわけでもないのだ。 そんなわけで彼は香霖堂に引き渡されたのだ。代金代わりとして。 それを渋々ながら受け入れてしまう霖之助にも問題があると思うが、追い出されるよりはマシだ。 今では○○もここでの生活に馴染み、霖之助に外の世界の話を聞かせたり、店番したりしながら暮らしている。 何事も慣れと言う事なのだろうか。 「やあアリス。いらっしゃい。お茶でも飲んでくかい?」 「結構よ。それより、霖之助さんはいないの?」 「商品探しのついでに買い物に出かけてるよ。俺がいるせいで食料の消費が早いからね」 ○○と二人っきり。そう意識してしまうと、体温が上がっていくのがアリス自身にも分かる。 もっとも、彼女はそれを期待してほぼ毎日の様に香霖堂に足を運んでいるのだが。 彼女は○○の数少ない友人だ。元々香霖堂に訊ねてくる者が少ないため、必然的に交友範囲は狭くなる。 それはそれで寂しい事だとは思うが、外は一般人の○○では気軽に歩けぬほど危険が一杯。 そして彼は自ら危機に飛び込むほど間抜けでもマゾでもないので、今の状況で満足している。 まあ、ほとんどが異性なので同性の友人も欲しいと思わなくもないが。 「で、何をお探しで?」 「何時もそう言うけど、貴方は店の事分かってるの?」 「整理くらいは手伝うんだけどね。イマイチ覚えてないな」 「なら言わない事ね。何時も通り、勝手に見させてもらうわよ」 ○○の軽口を受け流し、アリスは店内の物色し始める。 本当は探している物などないので下手にその辺りを探られると困るのだが、どうやら上手く誤魔化せたようだ。 内心で胸を撫で下ろしながら、アリスは○○を盗み見る。 店番がよほど暇なのか、彼はお茶を飲みながら退屈そうに本を読んでいた。 何か話を振ってくれてもいいと思うのだが、生憎○○はそんな気の利く人間ではない。 だがそれでいい。前から、二人が出会った時から何時もこんな感じだった。 そうして静かな時間を二人で共有する。 偶に話題が浮かべばどちらかともなく振り、それ以外の時は沈黙を保つ。 何時しか、それが二人の間に出来たルールだった。 「いらないって言ったでしょ」 「そ、だから紅茶を淹れたんだ。こっちの方が君は好きだろ?」 背後から気配を感じて振り返れば、ティーカップを持った○○の姿がった。 彼を盗み見ていたのがバレたかと内心で心音を高鳴らせながら、アリスは静かにカップを受け取る。 ○○がせっかく淹れてくれたものなのだ。口でどうこう言おうと、付き返したりはしない。 と、言うよりもしたくない。 「……○○って紅茶好きだったかしら?」 「いいや、全然。俺はお茶の方がいいよ」 霖之助も紅茶は飲まない、というよりアリスは彼が紅茶を飲んでいるところを見た事がない。 だから当然紅茶など置いてないものかと思っていたが、事実とは違っていたようだ。 「なら何でこの店に紅茶があるの?」 「僕が買ったからだよ。勿論自腹で」 彼が紅茶が好きではない。にも関わらず、身銭を切ってわざわざ購入した。 ほとんど居候状態で、収入と言えば稀に魔理沙とキノコ狩りに行ってそれを売るくらいしかない○○が、だ。 よほど大切な誰かのために買ったのだろうか。そしてその紅茶は彼女のために淹れられている。 「ねえ……何で……」 「俺の数少ない友人なんだ。何時も世話になってるし、気にしないでくれ」 そう○○は簡単に言うが、意識しないわけにはいかない。 これはつまりアリスのために買われた物なのだろう。そう考えると、頬が熱くなる。 そういえば彼の腕時計が無くなっている。これを霖之助に売って紅茶を手に入れたのだろうか。 若干興奮を抑えられずに○○の方を盗み見れば、彼は平然と本を読み出している。 自分だけ意識しているのが悔しく、意地でも悟らせまいとアリスは気合を入れ直した。 「……淹れるの下手ね」 「ほっとけって。こっちは器具も何もないし、色々面倒だったんだぞ」 「言い訳しても味は変わらないわ」 それは嬉しいとは思うが、それと同時に申し訳なさも感じてくる。 アリスは頬を染めたままカップに口を付け、紅茶を啜る。 収入のほとんどない彼が自分のために買ってくれた物だ。 どんな下手糞な淹れ方でも、美味しいと感じてしまう。 それでも素直になれない自分に嫌気がしつつも、アリスは沈黙を保った。 そしてアリスは一人考える。こうしていると結構良い雰囲気だと思うのだが、彼はどう思っているのだろうか。 直接訊くほどの勇気はなく、こうした曖昧な関係が続いている。 「あら、アリスじゃない。また来てたの?」 「そういう霊夢こそ暇そうね。巫女としての仕事はないの?」 と、モタモタしていたらアリスにとって嫌な客が来てしまったものだ。 このところ彼女との遭遇率が高く、せっかくの二人っきりの時間が台無しだ。 「やあ霊夢。お茶と茶菓子でも出すから商品の強奪は止してくれよ」 「失礼ね、それじゃあ私が何時もそんな事をしているみたいじゃない」 「その慎ましい胸に手を当て、今の言葉をもう一度よく考えてみるんだね」 自分には茶菓子の誘いはなかった筈だが、霊夢にはあるのか。 小さな嫉妬心を抱きながら、アリスは頬を膨らませる。 これ以上ここに居ると精神的によろしくない。 いや、○○と霊夢を二人っきりにするのも嫌だが、ここに居ると嫉妬心で本音を晒しかねない。 既に霊夢はアリスの事を気にしていないのか、○○が咥えていた煎餅を手を使わずに掠め取って満足気に頬張っている。 そうして、○○の直ぐ隣に腰を下ろしてお茶を啜る霊夢を睨み付けると、アリスは黙って香霖堂を後にした。 悔しいので今日の紅茶の礼として、○○を家に案内しよう。今度、いや明日にでも。 彼を家に招待するのは初めてだ。だが関係の進展のために、邪魔者が入らない様にするためにも必要なこと。 足音が鳴り響きそうなほど大股で力強く歩きながら、彼女は拳を握り締めた。 「……霖之助さん、○○が何処へ行ったか知らない?」 翌日、店内に○○の姿が居ない事を確認し、アリスは不機嫌そうに霖之助に尋ねる。 基本的に○○が一人で外出する事はない。何故なら彼一人では魔法の森を抜けられないからだ。 と、なると誰かと一緒という事になり、彼を連れ出すよう様な知り合いは女性しかいないわけで。 せっかく決心したにも関わらず相手がこれでは、アリスの機嫌が急激に傾くのも無理はない。 「ああ、彼なら霊夢に持っていかれたよ」 「持っていかれた?」 「そう。これ貰っていくわよって言うと、彼の強引に手を引っ張って行ってしまったよ」 何だそれは。一瞬アリスは呆然となるものの、直ぐに怒りの炎を燃やす。 霊夢は貰っていくという表現をしたのだ。借りていくではなく。それはつまり、返す気がないと言う事に他ならない。 「何で止めなかったのよ!」 「止めはしたさ。だが困った事に、彼女が店の商品を勝手に持ってくのは今に始まった事じゃない」 「……何時からこの店は人身売買を始めたのよ」 「たぶん、彼が始めてこの店に来た時からかな」 こんな事なら自分が買っておけば良かった、などと危ない事を思いながら、アリスは香霖堂の戸を乱暴に閉めた 本音を悟られたくないなど、そんな事はもうどうでもいい。 とりあえず、あの年中頭が春の巫女と決着を付けなければ収まらない。 両の拳を握り締め、アリスは全力を以て神社へと直行する。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ559 ――ドガガガガガッ 穿たれる木々、抉れる地面、暴風よろしく荒れ狂う弾幕。 ボヒュ、というあまり精神的によろしくない音とともに、隣の木が消滅した。 「~~~~っ」 声にならない叫びをあげる俺。ヤバい、マジで洒落になってねぇ。 「○~~~○~~~~? 怒ってないから出てらっしゃーい?」 背中を預けた木のさらに後方から、天使のような声が聞こえる。 恐らく極上のスマイルも浮かべているのだろう。聖母の慈悲のように。 だが俺は知っている。その声の裏には120%の殺意が込められていることを。 「ウソつけっ! お前今出てったら確実に俺の事消すつもりだろ、霊夢!」 叫ぶだけ叫んだ直後、別の木の陰へと素早く移動する。(黒光りするアレのように) それと時を同じくして、先ほどまで背中を預けていた頼りなき相棒が文字通り吹き飛ぶ。 「チッ、外したか」 舌打ちと共に声が聞こえる。 うわ、黒っ。 こうなっているのも元はと言えば俺のせいなのだが…… 「納得いかねぇ!」 やり場のない怒りを、空に向かって放った。 ~15分程前~ まだ何事も起きていない、平和な時間。 俺は博麗神社への石段を5段飛ばしでのぼっていた。 常人…そもそも一般的に人間と呼ばれる存在がこの神社に来るかは甚だ疑問だが もしいたとしても、俺の事は風が吹いたようにしか感じないだろう。 空を飛んでも構わないのだが、実は飛翔術はちょっと苦手だったりする。 "飛ぶ"ことはできるのだが、速度や方向のコントロールがいまいちきかない。 慣れればいいだけの話だけなのだが、どうにもセンスというかそのあたりが欠如しているようだ。 以前飛行中に激突事故を起こしてからはあまり飛んでいない。 「よっ…と」 忌まわしき記憶を思い出しているうちに、頂上に辿り着く。 境内をざっと見回した限りでは人が見えない。巫女は留守か? 「おーい、霊夢ー? いるのかー?」 返事はない。 まったく、指定された時間に荷物を運んできてやったというのに。 「いないのか……、ま、荷物だけ置いておくか。金は後日……」 (払ってくれるのかな、ちゃんと) 一抹の不安を抱かないでもなかったが、生憎と次の用事まであんまり余裕がない。 裏手に回って彼女がいつも生活しているスペースに上がりこむ。 仕事以外にも割とお茶を飲み来たりと何だかんだで付き合いはある。別に怒られはしないだろう。 玄関に放置、というのも不安なので彼女の部屋まで持って行くことにした。 「ちーっす、○○陸運、お荷物をお持ちいたしま…し……た」 人がいようがいまいが挨拶だけは欠かさないのがモットー…なのだが。 この時ばかりは、さすがに固まった。 目の前の少女も、固まった。 何しろ目の前の少女は 着替え中だった。 床に置かれた巫女装束一式に、危険なまでにはだけたサラシ。 色々危険なエリアまで見えそうで見えないのが憎らし…って何考えてるんだ俺。 正直目の遣りどころに困ったが、逸らしたら負けな気もする。 停止することきっかり3秒、思考をフル回転させる。 「頼まれていた荷物はこれだ。次の荷物を運ばなきゃならないから、今日はこれで」 あくまで無表情を装い、業務連絡を告げている間にも彼女の顔は停止したまま赤く染まっていく。 それは羞恥なのか、怒りなのか。 ただ、俺の命がヤクいぜYeah! とシックスセンスがブレイクダンスをしているのだけは確かだった。 荷物を近場の机の上に置き、後ろを振り向き、扉を閉め。 「失礼いたしましたァーーーーッ!」 業界最速と呼ばれるブン屋にせまる勢いで走り始めた。 「っきゃああああああああああああああ!!!」 普段のさばさばとした態度とは裏腹に割と可愛らしい叫びが背後の遥か彼方から聞こえる。 (あいつってあんな声も出せるんだな…っと、今はそれどころじゃねぇ) どこへ身を隠そう。 ――石段を駆け下りる途中から脇の森に飛び込み、 隠れ場所を探していたら直径10m程の陰陽玉が降ってきて。 慌てて逃げて木陰に隠れて、後は先述した通りだ。 少しずつ、少しずつ移動しながらの逃走劇。 こっちは命がけの隠れ場所探し。 かたやアイツはサーチ&デストロイ(常時弾幕展開つき)。 (くそ、このままじゃジリ貧か……) 舌打ちすら満足に打てない(居場所が特定される)。 (嗚呼、明日の朝日は拝めないのか、俺……ん?) 自らの不運と現在の状況を嘆く。 ――と、ふと俺の鼻が"敵"の匂いをかぎつける。 半獣の身である俺は、人よりもモノの匂いと音に敏感である。 霊夢も人の身としては随分と目鼻が利くハズ……なのだが。 ボヒュン! と真横をまた弾が通り抜けていく。 (あの冷静さを欠いた怒髪天っぷりじゃなぁ……) 気付いているわけが無いだろう。 さて、どこにいやがるかな。 後ろからは相も変わらずド派手な弾幕が迫ってきている。 それでも、敵がいる以上は位置を掴んでおかなければならない。 (――いた。うぁー……マジすか) どうやら敵は俺の後方。つまりは霊夢のさらに後ろから寄ってきているようだった。 さらに言うなら俺のことはアウトオブ眼中、霊夢の方へと一直線。 大方、普段散々妖怪退治をされている側からの仕返しといったところか。 普段だったら、そう、普段通りだったなら。 アイツはさっさと気付いて妖怪を返り討ちにしている。 しかし今では、近づいてきていることすら気付いていない。 助けに行くか、否か。 行くとなれば、まずは霊夢の弾幕から乗り越えていかなければならない。 行かない場合は、俺の寝覚めが悪い。 「あーもう……しょうがないな!」 伸びきっている髪をがしがしとひとかき。 霊夢の方へ向き直り(依然身は隠したままだが)、走り出す体勢を取る。 件の化物は霊夢まであと十数メートル。もう余裕はない。 一瞬の弾幕の隙間をつき、駆け出す。 前へ、もっと前へ。 誰よりも早く! 地面を軽く抉りながら足を踏み込む。 霊夢が俺の姿を捉える。 鬼面が見えたが構わない。そのまま距離をひたすらに詰める。 そんなことよりも、今は優先しなければならないことがあるから。 ようやく異変に気付いた霊夢の元へ辿り着いたのと、化物が腕を振り上げたのはほぼ同時。 「すまん、霊夢」 着替えの場に遭遇してしまったこと、それと今からすること。 それらの謝罪を一つに込め、霊夢を突き飛ばす。 直後、その景色が勢いよく横に流れた。続いて地面に激突する衝撃。 (あっははは……してやったぜ……) 混濁する意識、真紅に染まる視界の中、駆け寄ってくる霊夢の姿が見えたあたりで 俺の意識は完全にブラックアウトした。 「……痛……」 「あら、目は覚めましたか?」 目が覚めて見えたのは何度か見たことのある天井。 確か永遠亭の病室だったか。 「俺は……生きてるのか」 あの状況でよくもまぁ、と溜息一つ。 「私の腕を疑っているのかしら? ふふ」 助かって当然よ、という感じで微笑んでいたのは おそらくこの幻想郷で最高の腕を持つ医者、永琳だった。 「俺、どれくらい寝てました?」 大体の身体の鈍り具合で調子をはかる。 「運ばれてきてからをカウントするなら2日は寝てたわね。……どう? どこか調子悪いとこはない?」 「ん、別に……さすがに意識が吹っ飛ぶ勢いで殴られた後だからか、あちこち痛いけどね」 「そう」 慣れた手つきで手元のカルテに色々と書き込んでいく。 「一ヶ月は安静してないとダメですからね」 そういって病室から出ていく永琳。 「あ、そうそう」 出て行ったと思ったのだが、ひょっこり顔だけ覗かせてきた 「何ですか?」 「礼を言うならそこの彼女に言うのね。血塗れの貴方を背負ってきたばかりか 貴方が起きるちょっと前まで、寝ずに看病してたのよ?」 それじゃね、とひらひら手をふり、彼女は今度こそ病室を出て行った。 そこの、と指差された先にいたのは……すやすやと眠りこける霊夢だった。 「すー…」 人の枕元で寝息をたてている彼女は、とても無防備で。 「とりゃ」 思わず頬をつまんでしまった。やわらけー。 「ふにゃ?」 「おはよう、霊夢」 とりあえず自分にできる中では最高の部類に入る笑顔を浮かべる。 痛みで少々ぎこちなくはあるが、及第点だろう。 「あれ、○○……おはよ…う……!?」 現実を認識したのか、顔が耳まで赤くなる。 同時に俺から全力で飛びのいて壁に後頭部を打ち付けた。 (なんてお約束な……) 苦笑するしかない。 「頭を抑えて悶絶する霊夢。しかし彼女の心境は痛みよりも、 寝顔を見られたショックでいっぱいなのだった。まる」 「オペすんなっ」 がばっと顔だけ上げて抗議する霊夢。顔はまだ赤い。 頬に愛の手形をもらうことで、彼女を落ち着かせることに成功した。 全身に残る傷よりも痛いのは、きっと気のせいだ。 「……で、傷の具合はどうなのよ」 「肋骨が何本か折れてたらしいね。永琳先生の薬と処置でなんとかなったみたいだけど」 「どうしてあんな無茶したのかしら?」 「いやあ、面目ない。かわせると思ってたんだがなー」 「私があんな雑魚に遅れを取るとでも?」 「現に後ろ取られて、俺が突き飛ばすまで気付いてなかったのはどこの神社の何巫女様ですかー?」 「ぐっ……でもそれは元はといえばアンタが…っ!」 「まあまあ、こうして生きてるんだからいいじゃないか」 はっはっはっ、と笑おうとして 「痛っつー……」 怪我人だったことを思い出した。 「ほんとに大丈夫なの?」 「お、おう……任せておけい」 「まったくもう」 しょうがない人ね、と溜息をつく霊夢。 「ここまで運んでくれたの、お前なんだってな」 「血塗れの知り合いを放って置くほど冷血じゃないわ」 「ありがとな。何にせよ助かった」 「……お礼を言いたいのは私の方よ……」 「ん? 何か言ったか?」 「なんでもない!」 「変な奴」 「変なのはアンタの方よ……私なんかの為に身体張って」 む。今のは聞き捨てならんな。 「なんか、とはなんだ。 お前は俺にとって大切な奴の一人なんだぞ」 だから自分を貶めるな、と続けようとして。 傍らの巫女の目に涙が浮かんでいるのが見えて、言葉が詰まった。 「戦闘にそんなに慣れてるわけでもないのに無茶して飛び出して、血塗れになって。 呼びかけても揺すっても起きないし、このまま死んじゃうんじゃないかって思ったわ。 アンタが居なくなったら、私は……」 そのまま俯いて黙ってしまった。 しばらく目を泳がせた後、ぽんぽん、と霊夢の頭を軽く叩く。 「俺はどこにもいかないし、そう簡単に死にもしないさ。 走るくらいしか能はないけど、好きな奴のためなら身体くらい張るんだぜ」 それに、と付け加える。 「俺には天下の博麗山の巫女の加護がついてるんだぜ。ばっちりだろ。な?」 親指をたてて、笑みを浮かべる。 ようやく顔をあげた霊夢は、うっすらとうかべていた涙をさっと手で拭うと 「ぷっ……馬鹿ね。アンタやっぱり馬鹿だわ」 こんなことを抜かしやがった。 「む、失礼な」 どうしようもない馬鹿なのは自覚しているが、他人に言われるとちょっとムカつく。 「しょうがないからその馬鹿が治るまで、一緒に居てあげるわ」 そう言って、極上の笑みを俺に向けた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 23 「霊夢!たとえどんな世界だろうと俺はお前のことが好きだ!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 35 「霊夢、お前が好きだ、悪いが魔理沙やアリスにくれてやるつもりはない!もう一度言う。俺はお前が好きだ愛してる結婚式を我が家であげよう」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 71 魔「おーい○○いるかー?」 ○「居るか居ないかを聞きながら入ってきてんじゃねーよ」 魔「なんだぁ、やけに機嫌が悪そうじゃないか」 ○「お前には関係ないだろう、それよりお前こそやけにボロボロだな 弾幕で誰かに負けたか?wwww」 魔「弾幕ごっこじゃないけど霊夢にやられたぜ」 ピクッ ○「…………ふぅん、霊夢に、ね」 魔「霊夢もやたらと機嫌が悪くて神社に入った瞬間に針やら陰陽玉やら飛んできたぜ」 ○「そりゃ災難だったな……」 魔「まあ恋人同士のことにわざわざ口出すのも野暮だけどこれだけは言わせろ 私が霊夢に『○○と何かあったのか?』って聞いたら泣きそうな顔で夢想封印を撃ってきたぜ」 ○「……っ!?泣きそうな顔でか?」 魔「ああ、泣きそうな顔で」 ○「そうか……」 ガタッ 魔「ん?どうしたんだ?」 ○「ちょっと出かけるだけだ」 魔「そうか、じゃあついでに送ってってやるぜ、どこだ?」 ○「決まってるだろ、博麗神社、霊夢のところだよ!」 喧嘩した○○と霊夢の仲を取り持つ魔理沙を書いてみた しっかしこれ○○×霊夢なのに霊夢は出てこないしイチャついてないしで いいのか?これ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 109 ○「霊夢~♪」 がしっ 霊「きゃ!?○○?」 ○「あ~霊夢っていい匂いがするな~」 霊「こ、こら!くすぐったいから離しなさいよ!」 ○「霊夢が可愛いから嫌」 霊「答えになってない!」 ○「俺が霊夢といるのに答えなんかいらないし理由だって要らない」 霊「……アホじゃない」 ○「そんなこと言って、本当は嬉しいくせに」 霊「…………馬鹿」 ○「で、このまま抱きしめてていい?」 霊「…前から」 ○「ん?」 霊「抱きしめてもいいから前からして。 ○○の顔、見えないし」 ○「了解」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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博麗霊夢 東方シリーズの主人公。楽園の巫女さん。 主人公らしく強い打撃と射撃を持ち、平均的に能力は高い。 スペカも優秀なのが揃っており、ダメージもガードクラッシュも期待出来るものが多い。 各キャラとの対戦に於いて
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■霊夢6 チリーン…チリーン… 風鈴の音が、博麗神社に響く。 喧しい蝉の鳴き声はまだ聞こえはしないが、うだるような暑さの中、僕と霊夢は縁側で横になっていた。 「暑い…」 「…次暑いって言ったら罰金よ」 「ううう…」 チリーン…チリリーン… 生暖かい湿気を含んだ風が、僕たち二人の横を通り過ぎていく。 「仕方ない」 僕は呟くと立ち上がり、縁側の庇の下から出た。 疑問符を浮かべる霊夢を横目に僕は神社の境内のとある場所に向かった。 「霊夢、井戸を借りるよ」 ──────────────────────────────────────────────── 手押し式の井戸から溢れる冷たい水。 流石井戸水。一年通して温度の変わらないってのは素晴らしい。 僕は桶いっぱいに水を溜め、それをおもむろに被った。 「うひゃ~~! これは効く~!」 骨の髄まで冷やされる快感に僕は思わず叫んでしまった。 続けてもう一杯。 ─バシャーン─ 「あら、面白いことやってるのね」 てくてくと歩いてきた霊夢が僕に声をかける。 「霊夢もやるか? 冷たくて気持いいぞ」 水の入った桶を見せる。 「遠慮しておくわ。服も着ているし、そんな事しなくても他に方法が ─バシャーン!─ 言い終わる前に、僕は水を霊夢にぶっかけていた。 「涼しくなったかい?」 顔に張り付いた髪の毛を救い上げ、ぷるぷると顔を左右に振る。 「…やったわね?」 ニヤリと、無邪気な顔を浮かべた霊夢が飛んできた。 その後はもうぶっかけ合いだ。もちろん水の。 桶を奪い合い、頭から背中から、お互いに遠慮なく水をかけ合う。 ひとしきり水をかけ合った後、僕のほうから停戦を持ちかけた。 「流石に、もう、疲れた…」 「そうね、もう終わりにしましょうか…」 霊夢の方も結構疲れていたようだ。肩で息をしている。 「んじゃまぁ着替えますか。この気温だと外に干しておけばすぐに乾く…ッ!?」 その時僕は気付いた。いや、気付いてしまった。 わなわなと震え霊夢を睨む僕に、向こうも気付いた。 「どうしたの?」 腕をゆっくりと挙げ、霊夢の一部分を指差す。 「霊夢…お前、”サラシ”はどうした?」 ? と疑問符を浮かべ、霊夢が自分自身の胸を見る。 サラシを巻いていない状況で水をかけ合ったものだから、その…なんていうか、服が素肌に張り付いてて、その… 暫く霊夢は硬直し、そのままゆっくりと顔を上げた。 ものすごい笑顔だった。 ただ目が笑ってなかった。ついでに背後にドス黒いオーラが見えていた気がする。 「あなた、まさかコレが目当てで…」 「違う! 誤解だ霊夢! 僕は決して霊夢のT☆K☆Bを見たいがためにこんな事をしたんじゃなくて 問・答・無・用 博麗神社の境内で爆発音が起こった。 後日 「博麗神社にて真昼間から汗水垂らしながらの(小文字で”水の”)ぶっかけバトル!」 とかふざけたタイトルで新聞を出した烏天狗の小娘を霊夢と美味しく頂きました。 もちろん性的な意味で。 4スレ目 592 ──────────────────────────────────────────────── 俺にあまり力はないけどいっしょに幻想卿を護ろう。→霊夢 4スレ目 676 ──────────────────────────────────────────────── 231(魔理沙2)のパラレル、ひらたく言えば霊夢ルート 博麗神社にて ほうきを上手に使うコツ。それはごみを引きずるようにゆっくり掃くことだ。 あせって勢いをつけてしまうのは素人の犯しがちなミス。これではごみが飛び散りいつまでやっても掃除は終わらないだろう。 最初はじれったく感じるに違いない。しかし、なんでもそうだが、意識して続けていれば思っていたよりも早く慣れるものだ。 僕ほどの達人になると自然な動きの中で行うことも可能。いや、それだけではない。 僕の体には、咲夜や妖夢でさえ手出しのできない人間の身体能力の限界に肉薄しなければとうてい実行できないような驚異の(省略)。 その掃除法を可能にしているのはヒラメ筋を中心とした日々の弛まぬ筋力トレーニングであり、(省略)。 とはいえ、これを習得するにはあまりにも多くの月日を必要とするので(省略)。 そんなあなたのために開発されたのがこの○○スペシャル(省略)。 ○○スペシャルはあなたに快適な掃除(省略)。 ○○スペシ(省略)。 (省略)。 「なんてこった。こんな素敵なアイテムがたった一万円だなんて、今すぐ買うしかないね? 霊夢?」 「あんた、いったい何の話をしているの?」 「……」 それはこっちが聞きたかった。 「いや、掃除はまじめにやってるよ? 屋内はもうすっかり片付いたから、あとは外をかるく掃けばおしまい」 葉っぱのぎっしり詰まった賽銭箱にかけたまま、さぁ褒めろ、と言わんばかりに胸を張ってみせた僕に対して霊夢は。 「ふーん。そのへんはさすがよね。やっぱり」 と、えらく淡白な反応を示してくれた。 彼女のそっけない態度にはとうに慣れている。僕は気にせずにこの後の予定について彼女と話し合うことにした。 「掃除は午前中に終わるから、昼はゆっくり休んでそれからつまみの準備をはじめれば問題ないと思うよ」 「そうね。お昼は用意するからあがって行きなさいな。おにぎりくらいしか用意してないけど」 どこからともなく聞こえてくる鬼の悲鳴を聞き流しながらうなずいてみせる。 その申し出は正直ありがたかった。仮住まいの食糧倉庫は昨晩を以ってお役御免となっている。 今夜の宴会まで食事にはありつけまいと考えていたので願ってもいない言葉だった。 そうと決まれば話は早い。境内の掃除を丁寧かつ速やかに済ませてしまおう。 合言葉は「ゆっくり急げ」だ。 目が覚めてまず目に入ったものが木々の枝葉とまばらに見える青空だったことに軽く驚いた。 しかし、それも今のいままで僕が枕代わりにしていたものが霊夢の腿だったことに気がつき、吹き飛んだ。 即座に起き上がる。午睡のために中断した仕事のことが頭にあった。 すると、それを妨げるものがあることがわかる。彼女の手がちょこんと肩にのっかっていたのだ。 ただそこに置かれているだけ。そんな小さな手を退けることに、どういうわけか僕はためらいを覚えた。 大木に背を預けたまま目を閉じている霊夢をちらりと見やり、上半身を半端に持ち上げた状態で様々なことを考えるでもなしに考えてみる。 お昼のおにぎりは本当に大きかった。萃香は何を食べたのだろうか。鬼がおにぎり食えないって、そりゃただの冗談じゃないのか。 夜は少しいいものを食べさせてやりたいものだ。宴会。夕飯の支度。 かくて思考はループし、残った仕事を再確認するはめになってしまった。 今晩の宴会に出すものを用意しなければならない。僕は再び起き上がって台所へ向かうことに決めた。 肩にかかった霊夢の手を両の手でそっと包み込んで腿の上に乗せる。さっきまで僕の頭があった場所だ。 ぽた。 今度こそはと立ち上がろうとした僕の耳に水の落ちる音が届いた。 見上げると瑞々しい緑のむこうに気味が悪くなるほど青い空が広がっている。 それではと振り返ると、果たして霊夢の袴が幽かに滲んでいた。 鮮やか赤がくすんでゆく様をじっと眺め、それからじりじりと視線を上げる。 するとやはり霊夢がはらはらと涙を流して―――いなかった。 彼女の顔には泣いていたような形跡はまったくない。寝息も至極穏やかで、まるで図ったかのようだった。 「……あれ?」 「……」 思わず天を仰ぐ。狐にでも化かされたか? 再び袴に目をやるともう乾いてしまっている。夏ももう終わりだというのに。太陽も最後の一仕事と張り切っているのだろう。 こうなると、先ほどの水音も袴の染みも本当にあったのか疑わしくなる。 幻だったのかもしれない。それは実に魅力的な考えだった。ここではこんなことは日常茶飯事なのだ。 だいたい、霊夢に泣くようなどんな理由があるというのか。少なくとも、僕にはそんなものは思いつかない。思いつかないのだ。 もう振り返るまい。先ほどの出来事を幻と決め付けると、立ち上がって風を切る音がするほどの勢いで木立の外へと歩き始める。 ――むきになっちゃって。 いつから見ていたのか。霧状になった萃香が茶化してくるがきっぱりと無視して木々の間から抜け出る。視界がさっと開ける。 彼女の言葉遊びに付き合う気などまったくない。 そもそも、僕はむきになんかなっていないのだから何を言われようが痛くもかゆくもなかった。 知らず握り締めていたこぶしから力を抜き、少し大げさに肩をすくめてみせる。いまの僕はさぞ嫌なやつに見えることだろう。 ――へぇ、そういう態度とっちゃうんだ。それなら「…………な……で」……え? 歩みが止まる。 いま、何が聞こえた? 「おい」 ――私じゃないよ。声、ぜんぜん違ったろ? そう。それはわかっている。彼女ではない。僕でもない。ならば残るはひとりだけだ。 しかし、いま訊ねているのはそういうことではない。 「そうじゃなくってさ。『何て言ってたんだろう』って意味」 ――あ、ああ、そういうことか。たしかに人間の耳には聞き取り難かったかもね。えっと、「――――――――――」かな? 眩暈がした。 空を見上げる。 あの手を伸ばしても届かぬ高みにある青い何かを見つめているうちに、ふっと、このまま誰にも気づかれずに消えてしまいたいと思った。 遠くから歓声が聞こえる。 もうじき僕とは縁がなくなる人々の声。 それをかみ締めながら、僕は一人の妖怪と対峙している。 八雲紫。 特異な能力を持つものが多くいる幻想郷においてなお突出した能力を持つ女。 幻想の中の幻想。一人一種族の妖怪。 彼女がいま、僕の敵として目の前に立とうとしているのだ。 これを脅威と言わずして何と言おう。 「宴も酣」 しかし。 「楽と苦の境界」 どうしたわけだろう。 「じきに酔いつぶれて倒れてしまう」 いまの僕は。 「翌日彼女達を襲うのは地獄のような二日酔い」 ちっとも。 「そして、大切な友人を失ったという埋めることのできぬ寂寥」 ちっとも彼女を恐れてなんかいない。 「○○。あなたがここに留まらぬと言うのなら、私は殺してでも引き止める。それでいいかしら?」 ――その瞬間。何かがズレた。 遠くに見える薄明かり。みんなが火を囲んで酒を飲んでいる風景。 先ほどまで確かにそこにあったはずのものが、いまではどこか白々しい。 まるで、壁にかかった絵を見ているような感覚。 はっきりとわかる。僕はあそこに帰れない。 「わからないなりに事態を把握しているみたいね。こういうこともできるの。 さぁ、いますぐ私に殺されるか外へ帰るのを止めるか、選びなさい」 そう捲し立てると、紫はプイとそっぽを向いてしまった。 そんな彼女のほうへ僕は一歩一歩進んでいく。一歩。二歩。三歩。 そうしてお互いの息がかかりそうなほど接近し、彼女がこちらに向き直った瞬間。 僕はヒョイと脇に退いた。 訝しげな紫を尻目に僕はさらに進む。神社の焚火を目指して歩き、歩き、歩く。 ふと、背後の紫がどんな表情をしているか気になった。 が、すぐに振り払う。放って置いてもすぐにわかることなのだ。僕は歩数を数えながら進み続けた。 歩数が三桁に突入するかという頃、再び目の前に八雲紫が現れた。 むき出しになった木々の根の形状。枝葉のつき方。すべてが先ほど僕達が立ち会っていた場所のものと一致していた。 ループしている。 自分の予測が的中していたことに若干の満足を覚えながら、紫の表情を伺う。 無。 いまの彼女からはどんな感情も読み取れそうにない。そんな表情。 しかし、不意に。 「覚悟は」 仮面に亀裂が入る。 「できているのよね?」 殺される覚悟はあるのか。そう訪ねる彼女の顔はなぜか悲しみに歪んでいた。 それを見て、鈍感な僕もようやく気がついた。僕が彼女を恐れるはずがない。 「あなたは僕を殺せない」 なぜなら。 「三回。あなたが注意を喚起した回数です。もしも本気なら、二回目以降はなかったでしょうね」 なぜなら、彼女は僕をこんなにも気遣ってくれている。 黙ったまま彼女とすれ違う。 今度は何ごともなく戻ることができるだろう。 徐々に近づいてくる明かりを見つめながら、いつか誰かが言った言葉を口ずさむ。 「『行かないで』か」 4スレ目 883-885 ──────────────────────────────────────────────── さて、僕がこの幻想郷に来てどのくらいやら。 運が無いのかどうなのやら、妙な妖怪に襲われて、そこを霊夢に救われて。 その後はいろんな人と宴会やって、散々言い訳並べて片づけを9 1の割合でこなしたり、もちろん9割は僕だ。 「ふー、しかしここに来て1年なのに向こうで10年を過ごしたような気分だよ」 夏の夜空を眺めつつ、神社の縁側でお茶をすする、もちろん、一番茶などという気の効いたものは無いので出がらしだ。 「それだけ人生が充実してていいんじゃないのー?」 「まぁそうなんだけどね、濃厚な人生ってことなのかな」 いつの間にか僕の横にいた霊夢がいつものようにお茶をすする、これだけ見ると茶のみ仲間みたいだ。 しばらくの静寂、夜の縁側に響くのは茶をすする音。 「偶には静かな夜もいいわね」 「うん、最近萃香のテンション高かったせいか連日宴会だったからね、こうやって2人で話す暇なんて無かったよ」 「ねぇ、○○」 「どうしたんだ?霊夢」 すると霊夢は僕の体に寄り添い、呟いた。 「しばらく・・・・、こうしててもいいかしら?」 「うん、気の済むまでご自由にどうぞ」 「ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」 「死ぬまで、いや、死んでもこうして隣にいてくれるかな?」 「私も既にそのつもりよ、これからも末永くよろしくね、○○」 前スレまでROMってたけどふと触発されて描きたくなった、満足はしているが後悔はしていません。 自分の脳内の8割を占めてた妄想を拙著な文章力で書いてみたらなにやらぐだぐだというかなんというかorz 5スレ目 58 ──────────────────────────────────────────────── やったよ霊夢、ついに紅をノーマルでノーコンティニュークリアできたよ! 「おめでとう。(でも貴方が下手糞だったおかげで私は何度も何度もボロクソだわ、魔理沙も使いなさいよ)」 だから約束どおり紅魔湖にスワンボート浮かべて二人っきりで一緒にk 「あら?あなた紅をクリアする前から妖々夢なんか買っちゃったじゃない。 あっちは放りだすつもりなの?」 くっ・・・わかったよ、今は霊夢の腋でがまんするよ! 「ちょ、いや!変なとこ触らないで!(飲みかけの暑いお茶を○○にぶっかけます)」 うわっちゃ、熱い!熱い!溶けっ!! さて、妹様に会うためまたがんばります 5スレ目 114 ──────────────────────────────────────────────── ツンデ霊夢が縁側にて この暑さのため、霊夢は普段の髪型ではなく、後頭部付近の全ての髪を ポニーテールにまとめていた。 したがって、腋はおろか、その白いうなじまでが綺麗に露出していて ○○は劣情を催してしかたがない。最近流行りのアレを試すことにした。 「なぁ霊夢」 「茶菓子ならもう無いわ」 即答、茶菓子をきらせた霊夢はご機嫌斜めの様子だ。 先手をとられたかたちの○○は、それでも意を決して巫女に胸中を伝える。 「そうじゃなくて、さ」 「何よ」 「押し倒してもいいか?」 「・・・なんですって?」 霊夢の目つきが変わり、その冷たい視線が○○を貫徹する。 ○○、やはり霊夢相手にこの台詞はまずかったのではないかと後悔する。 彼女の袖からは針が数本、顔を出しているではないか。 「・・・いや、ごめん。なんでもないんだ、許してくれ」 「・・・ふん」 針を引っ込めた霊夢は、蔑みの表情を浮かべ、言った。 「何よ。そんなことを一々聞いて、女の子一人押し倒す勇気もないの?」 「れ、霊夢」 「それとも、○○は、女が、怖い?」 茶化すような台詞に俺はついかっとなって (省略されました。続きを表示するには指先ひとつでダウンさ!) 5スレ目 172 ──────────────────────────────────────────────── 「あー、暑いわ暑いわ暑くて溶けそう」 「暑いな」 霊夢がだらしなくだれている。 「沢に水浴びにでも行くか」 「それはめんどくさい」 「そりゃそーだが、このまま寝ることもできんだろ」 この暑さじゃなぁ……。 「あー、そうだ。いいこと思いついたわ。ちょっと出かけてくる」 「え?」 縁側の床の冷たさを身に取り入れようとしているだらしない姿 勢のままで霊夢がふわふわと宙を飛んでいった。 「あっちは……紅魔郷だよな」 そういえば、時を操るメイドなんて非常識なのがいたっけ。 彼女の力なら、空気中の分子の動きを緩やかにして気温を下げる なんていう芸当ができるのかもしれない。 それをあてにして行ったというのなら――おとなしく待とう。 いい加減、俺もこの暑さには参っていた。 そして、正午頃、霊夢が喜色満面の笑みで帰ってきた。小脇に ズタボロの氷精を抱えて。 「……チルノじゃないか」 ああ、彼女なら好きなように氷を作れるし、彼女自体体が冷たい。 「あー、ひんやりして気持ちいいわ」 「……災難だな、チルノ」 「はーなーせー!!」 「離すもんですか。アーヒャッヒャッヒャ! ○○さんもくっつきなさいよ。冷 たくて気持ちいーわよ」 ほい、と霊夢からチルノを渡される。 思わず抱きとめて、その冷たさに感動する。 「あわわわ……!」 チルノの狼狽した声が聞こえる。それもそうだな。いくら見た 目がガキンチョだとわいっても女の子だ。異性に密着されれば、 平静ではいられないだろう。 ……そういうことに気づいてはいたが、かといってチルノを解放 するほど正気を保っていられるわけでもなかった。 なにせ── あ つ い その一言に尽きる。 暴れるチルノを、俺は頬ずりしかねんばかりに抱擁する。 が、それが不意に収まった。 怪訝に思って、チルノの顔を見ると、紅潮していた。 「な、なに? あたいは忙しいんだからね! 涼みたいんなら、 早く済ませてよね!」 そう言って、今度はチルノの方から、くっついてきた。 Oh, It s coooooooool!!!! さあ、幻想郷の端っこで抱き合おう! とばかりにチルノ を抱きしめようとしたら──霊夢にチルノをひったくられた。 「○○さん、もう十分でしょ?」 「エエ、モチロン」 霊夢が怖い。そう答えるしかなかった。 しばらく、霊夢がチルノを堪能しているのを眺めているばかり で、ムラムラ──もとい、イライラしてきた。もちろん、暑さ で、だ。勿論、やーらしいことも少しは考えているけどさ。 「○○さん、○○さん。こっちきて」 霊夢に呼ばれて、ようやく俺にもチルノに触らせてくれるのか、 と喜び勇んで寄っていくと──いきなり、霊夢に抱きつかれた。 「あ……え……?」 「ほ、ほら、どう? わたしだって冷たくて気持ちいいでしょ?」 確かに霊夢の体は冷たくなっていて、気持ちよかった。 「ああ、気持ちいい──けど、霊夢が体冷やしすぎになっちゃう じゃないか」 「ん? 別にいいじゃない。○○さんも涼しくなれるし」 「女の子が体を冷やしちゃ──」 「ああ、もう。うるさいわね。だったら○○さんが暖めてよ」 いや、そうは言ってもね。チルノに逃げられたらどうすんのよ。 そう思って、チルノを見ると、氷のような透明な羽を広げたまま 大人しくしていた。 どことなく、羨ましそうにしているように見えて、俺は── 「チルノもおいでー」 と誘った。 チルノが突進してくる。 ……ちょっと待て。その勢いはさすがにまずい。 と言おうとしたが、間に合うはずもない。 「ぬぐっ!?」 霊夢が肺を押し潰されて、ひしゃげた息を吐いた。 一通り、咳き込んだ後、霊夢は霊気を立ち上らせて一言言った。 「くぉら、チルノ……」 「あ、あたい、今日は大蝦蟇と果たし合いの約束してたんだった。 そうだった。じゃあね!」 そう言って、チルノは天狗もかくやと思われるほどの勢いで飛ん でった。 「……霊夢が脅かすから、逃げられたじゃないか」 「いいじゃない。まだ、わたしだって冷たいでしょ?」 「まあね」 霊夢と一緒に縁側に座り、身を寄せ合うことにしよう。霊夢の心 地よい冷たさが、熱気にむしばまれるまでは。 22時間どころか36時間orz 5スレ目 216 ──────────────────────────────────────────────── ※冷房を20℃に設定して、三十分お待ちください ――少女冷却中―― 「……ただいまー」 長すぎる冬のある日。昼前に霊夢が飛び出していって、半日経って博麗神社に帰ってきた。 「ど、どうした、霊夢? ずいぶんボロボロじゃないか」 「うるさいわね」 「げ、それ血じゃないか。薬箱どこだっけ?」 「かまどの脇に置いてあったような――なかったような」 「とってくる」 「ん、お願い」 「癪だわ。というか癪だわ」 土間から薬箱を持って戻ってくると、何やら霊夢がぶつぶつ呟いている。 「薬あったぞー、そら脱げ、やれ脱げ」 「はーい……」 霊夢は服を脱いで、背中をこちらに向けた。 切り傷やら擦り傷に軟膏を塗ってやる。 ちなみにサラシは巻いたままである。 残念じゃないさ。ああそうさ!(゚⊿゚) 悲しくなんて――ない!(゚Д゚) 「いたた」 「我慢してくれぃ。にしても、珍しくこっぴどくやられたな」 「あの@のせいで力が抜けたわ」 「アットマーク?」 「こっちのことよ。もう全部塗ってくれた?」 「ん、手際悪くてすまんな。まだだ。でも、もうちょい」 「早く済ませてね……っくしゅん!」 「んー、寒いなぁ……ほい、終わり。風邪ひくなよー」 「ありがと」 霊夢が服を着る。 包帯が必要なほどの深い傷がなかったのは何よりだが、 傷ついて帰って来るというのは心配だった。 どこに行っていたのか、聞いてみたがはぐらかされる。 気にするな、ということだろうか。 「お風呂、入りたい」 霊夢が唐突に言った。 「あいよ」 風呂を沸かしに行った。 霊夢が風呂に入ったので、薬を塗り直した。 二度手間なのに、なぜかほのぼの。 湯冷めしたのか、霊夢がもう一度くしゃみした。 暖めてやろうと思って抱きすくめると、抵抗された。 離れると、恨めしい顔をされた。どないせーと?(;´Д`) 囲炉裏を挟んで、雑談する。 が、どうにも辛気くさい話題しかない。 里では来年の作物の実りが心配だという声が多い。 病人も増えるばかりで、なかなか減らない治らない。 「茶葉が心配だわ」 「そうだな」 お約束な霊夢の言葉に、少し苦笑して頷いた。 パチパチ……パチ…… お互いに黙ると、時折炭が爆ぜる音がことのほか大きく響く。 炭も残り少ない。まあいいか。この天候だ。 木もどんどん枯れていっているから、薪は山に入ればいくらでもある。 とはいっても、はげ山になってしまえば、来年以降どうしようもなくなる。 ……あー、先行き不安だ。 でも、まあ――なんとかなるさ。 「もう寝るわ」 「おやすみ」 「おやすみなさい」 霊夢が寝てしまい、一人で囲炉裏の火を見つめる。 「……なんとかなる、とは言っても、なんとかするのは霊夢なんだよな」 うーむ、歯がゆい。 ま、いいや。寝よ寝よ。 翌朝。 起きると、咳が出た。 縁側に出てみると、積雪が高さを増していた。おまけに風まで強い。 「あっちゃー、風邪ひいたかな」 昨夜、自分が注意しておいて自分が風邪ひいちゃ世話ない。 「飯炊くついでに暖とろっと……」 土間に行く途中、霊夢とでくわした。 「おはよう」 「おはよう……顔、赤いわね」 「微熱はあるかも。でも頭痛もしないし、大事ないだろ」 「そう? だといいけど。ああ、雪おろしはわたしがしておくわ。落ちると危ないし」 「そりゃ助かる。じゃ、飯作ってくる」 「ん、お願いね」 かまどに薪を放り込んで着火。 火付けの松葉はたっぷりあったが、それすら心許なくなってきている。 春が来ない 春が来ない 何処行った? 年季の入った竹筒で風を吹き込みつつ、炎が燃え上がるのを待つ。 しかし、なかなか火の勢いが強くならない。おまけに煙も多い。 「あーあ、連日の雪で湿気たか……」 さらに息を強く吹き込もうとして――うかつにも煙を吸い込んだ。 「けほっ、うげほけほっ……ごほごほ」orz うずくまって咳き込む。 「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」 激しく咳き込む音を聞きつけて、霊夢が文字通り飛んできた。 「ん ケホケホ 大丈夫。ゴッホゴッホ 煙吸い込んだだけ」 「はぁ、もう……びっくりさせないでよ」 「ごめんごめん」 「…………」 霊夢がこっちに指先を伸ばし、かすらせるように頬を撫でた。 「霊夢?」 呼びかけてみても、反応らしい反応を見せずに、ずっと目を見つめてくる。 「……朝ご飯を一緒に作ろうと思ったけど、任せるわ」 「ああ、任された」 もとよりそのつもりだったし。 麦と粟を混ぜたご飯、大根たっぷりのみそ汁、それに漬け物三種類。 それが朝餉。 なぜか、霊夢は外出寸前の格好だった。 「急ぎでどっか行くみたいだけどさ、手袋ぐらい外したら?」 「あ、ああ、そうね」 「「いただきます」」 と二人で唱和するやいなや、霊夢が猛然と飯をかっ込み始めた。 霊夢は三分で食い終わり、勢いよく立ち上がる。 「ごちそうさま! ちょっと出かけてくるわ!」 「あ、待った」 「何? 急いでるんだけど」 「お茶。飲んでいったら?」 霊夢がガツ食いしてる間に準備しておいた。 「そうね、ありがと」 ずずずずずずずずず 一気に湯飲みから茶を吸い上げる霊夢。 よく火傷しないなあ、と感心する。 「いってきます!」 「あ、待った」 「今度は何!?」 「手袋」 「……ありがと」 「と、マフラー」 「…………ありがと」 「怪我しないようにな」 「……うん」 見つめ合うのが照れくさくて、二人して咳払い。 霊夢が玄関に向かうので、それに着いていく。 雪を踏むと裾が濡れるので、敷居から少しだけ出て霊夢を見送る。 「いってらっしゃい」 霊夢が宙で一旦止まった。 そして反転して、こちらに寄ってきた。 触れるだけの淡いキスをする。 「春を、取り戻してくるわ」 自信に満ちた穏やかな笑みを浮かべて、素敵な巫女はそう宣言した。 次第に小さくなっていく霊夢を見て、思う。 「雪おろしでもして待つとしようか」 願わくば、これが最後の雪おろしとなりますように、と。 ――そんな、白銀の春でした―― ===後書き=== 霊夢、妖々夢bad endの夜。 うーむ、甲斐甲斐しい○○だ。 最後の霊夢の笑顔は妖々夢のchoose girlの立ち絵を想像してください。 マフラーは脳内補完で。霊夢だけマフラーしてないんだもんなぁ。 あ、魔理沙はストール? 霊夢は○○が風邪を引かないうちに春を取り戻そうと急いだということで。 しかし、春の異変は正味洒落にならんと思うのですが。 5スレ目 231(うpろだ 52) ──────────────────────────────────────────────── 霊夢に「牛タンっておいしいよね」って言ったら、 「そうね、人間の舌も牛タンだったらいいのにね」って言われた。 「そしたら何も食べてなくても、常に牛タンの味がしておいしいのに」だって。 たしかに、人間の舌っていつも口の中にあるのに味がしないなー。 霊夢と話し合った結果、それはもしかすると ずっと同じ味の舌が口の中に入ってるから味覚が麻痺してるんじゃないか? ということになって、お互いの舌を舐め合って確かめてみることにした。 そしたらすごい!霊夢の舌おいしい!! まろやか! お互いに相手の舌を舐めながら「おいしいよー」「おいしいねー」 「デリシャスだよー」「デリシャスだねー」ってやってたら、気が付くともうこんな時間だった。 この実験で、お互いの舌を舐め合えばおかずは要らないことが判明したので、明日から 「一ヶ月間お互いの舌の味と白米だけで生活する貧乏カップル」っていう黄金伝説を達成しようと思う。 5スレ目 264 ──────────────────────────────────────────────── 季節は廻る。 この世界でも、もともと僕がいた世界と同じように廻っていく。 --------------------------------------------------- -パチパチッ! パチッ!- 桜島の御岳のような白い煙を上げ、落ち葉の山が燃える。 黒く炭化してきた部分が見えれば、落ち葉を追加していくのみの単調な作業。 -パチッ!- 乾燥した木の実が火の中で弾ける。 火をつけた時の太陽の位置と、今の位置を比べてみる。 (そろそろかな…) と思うと同時に漂ってくるほのかに甘い香り。 「ドンピシャだ。おーい霊夢ー! 焼き芋焼けたぞー」 縁側で一人お茶を啜っている霊夢が答える。 「持ってきてー。そっちに行くのが面倒ー」 「だめです、こっちまで来なさい。んじゃないとあげないよ」 「ウソうそ嘘。今行くってば」 霊夢がやってくるのを確認し、落ち葉の山を崩していく。 目的のブツを見つけてご満悦な僕と霊夢。互いに顔を見てから、思わず笑みがこぼれる。 傍に置いておいた文文。新聞を手に取り、「ソレ」を包む。 「どうだ。出来立てのほやほやだぞ。味は保障する」 パクァと二つに折り、「ソレ」…焼き芋を霊夢に渡す。もちろん大きいほうを。 「熱いから気をつけなよ」 「あふっ! はふ…ん~おいひい」 満面の笑みで答える霊夢の顔を見て、僕のちょっぴりの苦労も吹き飛んだような気がした。 --------------------------------------------------- 縁側で二人座り、焼き芋を食べる。 二人とも若干猫舌なのか、ふぅふぅ息をかけ冷ましながら食べる。 遠くで鳥が鳴いている。僕たちの会話は、無い。 けど、こうしているだけで幸せだった。 「貴方が来てもう1年経つのね」 以外にも、最初に口を開いたのは霊夢からだった。 いつもは僕の問いかけに答えるくらいだったのに。 「そうだな。いつの間にか季節が廻っていった、って感じだね」 「ぼーっとしてるとあっという間よ?」 「年がら年中ぼーっと縁側でお茶啜ってるどこかの巫女さんには言われたくない」 ケケケッと子供のような笑い方をして霊夢をからかう。 「ふふふっ…どうだか…」 コロコロと笑いながら、霊夢も焼き芋を口に運ぶ。 僕も自分の焼き芋に目を落とし、ほどよく冷めてきていた残りを口に放り込む。 もぎゅもぎゅと咀嚼して…ッッ!? 「むぐっ!! くぁwせdrftgyふじこlp」 まずい。非常にまずい。芋が喉に詰まった。 ドンドンと胸を叩く。だが足りない。手元にあった湯のみを手に取り一気飲みする。 「ゴクゴクゴクッ! ッッ…! …くはぁ~、助かった…」 「まったく、何やってるのよ! 大丈夫?」 霊夢が心配した様子で僕の顔を覗き込んでくる。 「大丈夫…もう大丈夫。いやしかし焦った。久しぶりに焼き芋なんて食べたからかな」 「心配かけてもぅ…」 そう言うと霊夢は炊事場に歩いていき、しばらく湯飲みを持って戻ってきた。 「はいお茶。入れてあげてきたから飲みなさい」 「あざーっす。ん…熱っ!」 熱い。入れたてだから当然なのだが。 「くぉぉ…熱い…」 「何やってるのよほんとに…」 心底霊夢が呆れている。 「しょうがないわね」 そう言うと霊夢が湯のみを取る。 「良くこの湯のみを見ててね」 霊夢が湯飲みに手をかざし、何かを唱える。そして一口。 良く見て、とジェスチャーで湯飲みを指差したので僕は覗き込もうとしたその時、 -ちゅ コクン- その時の僕の顔は滑稽だっただろう。目が点、まさに文字通りだったに違いない。 霊夢はそっぽを向いている。表情は見れない。 たっぷり10秒固まってから僕は口を開いた。 「霊夢」 「…なによ」 霊夢はまだそっぽを向いている。 「霊夢」 「だからなによ」 「お、おかわり、頂戴…?」 「ッッ!」 バッと振り向く霊夢の顔は真っ赤だった。 最初は目を見開いてびっくりしていたが、すぐに笑顔に変わる。 「…甘えん坊さんね」 「なんとでも言え」 霊夢はクスッと笑うと、お茶をもう一口含んだ。 (省略されました。今週撮り溜めした深夜アニメを見てくるので、続きを読むには中の人がデスノの内容に満足するまで待って下さい) 5スレ目 863(うpろだ0058) ──────────────────────────────────────────────── 夢スレより転載。いいねー 何か妙な夢を見た。 場所は何処かの和室。障子の隙間から縁側と庭が見えたから、神社だったのかも知れない。 俺の前には布団が敷かれ、そこに座ってる寝間着姿の霊夢。 (寝間着と言ってもパジャマの類では無く、時代劇で出てくる様なヤツ) 霊夢は右手を肩から吊っていた。どうやら怪我をしたらしい。 夢の中の俺は怪我で不自由な霊夢の世話をする為に、里から呼ばれた様だ。 たわいも無い会話(内容は忘却)を交わしたり、お茶を入れて二人で飲んだりする内 霊夢が「肩を揉んで欲しい」とか言い出した。 で、まあ、みんなの想像通りw肩を揉むついで?に後から霊夢に抱きついたんだが すごく細かった。肉付きもそれ程無く、そもそも肩幅が小さい。 後から抱きしめた俺の手が、前で交差してそのまま反対側の自分の肩に届く位小さかった。 まさに「少女」という感じだった。 それを感じた瞬間、俺はもうネチョい気分とかそんなモンはぶっ飛んでしまった。 『こんな細い身体で、人間を守る為に妖怪達と渡り合ってるんだ』 と思うと何だか無性に涙が出てきた。 抱きつかれた時はジタバタ抵抗してた霊夢も、俺の様子がおかしいのに気付いたらしい。 俺の方を見上げながら「どうしたの?」とか聞いてくるんだ。 俺は恥ずかしさから懸命に涙を堪えるんだが、止まらない。 霊夢がそれを見て「何で泣いてるのよ?」と怒気混じりの声で聞いてくる。 俺は仕方無しに感じたままを話した。 すると霊夢は俺の腕の中で振り向くと、怪我をしてない方の手を伸ばし俺の頭を撫でてきた。 「バカね、アンタが気にする事じゃないでしょう。……でも、ありがとう」 とか言ってな。俺は堪らず霊夢の髪に顔をうずめ、マジ泣きしちまった。 そんな感じでちょっとイイ雰囲気の所だったんだが、障子の向こうから魔理沙?の 声がきこえてきた所で目が覚めてしまった。 思わず「それ、何てエロゲ?」と自己ツッコミをしてしまった orz でも俺の頭を撫でてくれた時の霊夢は、すごく可愛かった。 夢の中とはいえ「俺はこの娘を守る盾になりたい」と本気で思ったよ……。 6スレ目 46(本文は夢の中で出会った東方キャラとの出来事を語るスレ 711) ──────────────────────────────────────────────── 霊夢とこんな会話を毎日してみたいと思いました。 面白くもなくありきたりで短い話です。 懲りもせずにまた書いたのかと思う方もいるかも知れませんが、どうか一度読んでみてください。 朝、俺は未だ眠り掛けの頭を覚醒させる為に顔を洗う。 そして居間に行く。 すると彼女が起きていたのかもう座っていた。 「おはよう、霊夢」 俺はいつものように朝の挨拶をした。 朝起きたら挨拶をするのは常識だ。親しい相手ならそれはなおさらだ。 「あら、おはよう○○。今日は少し早いのね」 彼女も挨拶を返してくれる。 いつも返してくれるのだが、何時聞いても嬉しくなってくる。 だから俺は、彼女に微笑みもう一度挨拶をした。 6スレ目 171 ──────────────────────────────────────────────── 朝食を食べる。霊夢が作ってくれた料理を食べている。 「○○、今日の料理はどう?」 彼女の作る料理は、外の世界で俺がいつも食べていた物とは違い絶品だ。 だから俺は、いつものように正直な気持ちを伝える。 「うん。すごく美味しいよ」 俺は穏やかにそう答えたのだった。 彼女の作る料理は本当に美味しい。 言っておくが、別に外の世界の料理が不味いというわけではない。 だが、最近では冷凍食品などが多いからか余計に美味しく感じる。 まあ、その、なんだ…… 彼女が俺の為に作ってくれたと言うこともある。 俺の事なんか意識もしてないだろうが…… それでも嬉しいものは嬉しい。これで霊夢も俺のこと意識してくれたらなと思う。 まあそんな事、天地がひっくり返ってもないと思うが…… なら、少しでもこの時間が長く続くことを願う。 俺はそんな事を考えながら箸を進めるのだった。 それは幻想郷の巫女と共に暮らす一人の男の願い。 ありふれた日常が続いてほしいと思う純粋な願いだった…… 6スレ目 190 ──────────────────────────────────────────────── 香霖堂。 幻想郷にあり、唯一外の世界の物が扱っている店だ。 まあ、扱っている物は外の世界の物でもいろいろある。 日用品だったり、何かの一部だったり、かなりの貴重品だったりもする。 希に兵器っぽい物もあるが…… まあ気のせいだろう。 俺はやることもないので、香霖堂の前に来ていた。 よく来るので断言できる。 暇なときはこの店に来るに限る。 店に入る。店の中は少し古ぼけていて、店らしくはない。 でも、俺はこの店のことを気に入っている。 そして俺はこの店の主を呼んだ。 「こんにちは~。霖之助さんいますか~」 少し時間が経つ。そして返事が返ってくる。 「やあ、○○。今日は何の用だい?」 そのあとに、俺より年上の男性が店の奥から出てきた。 俺は霖之助さんと話をする。 「あの時は必死でした。死にたくなかったから……」 俺が幻想郷に来た時の話だ。 この話をしたのは、助けてくれた霊夢以外は霖之助さんが初めてだ。 「君も大変だったんだね」 すると、霖之助さんはそう言って労ってくれた。 俺が幻想郷に迷い込んでから出来た知り合いは何人かいる。 その中でも、霖之助さんは一番話しやすいと思う。 意外かも知れないが事実だ。やはり俺が男だからだと思う。 女の子が相手では、話すとどうしても気を使う。 その点霖之助さんは男なので話しやすい。 どういう訳か幻想郷には、男の人が少ない。 人里から離れたところに住んでいるからだとは思うが、それでも少なく感じる。 交流が霊夢の知り合いだけ、と言うこともあるが。 真剣な話は終わり、今度は霖之助さんが俺に聞いてくる。 「○○、霊夢とは上手く行っているかい? 」 それはかなりの不意打ちだった。 「なっ!!」 予想もしていなかった言葉に俺は驚く。 当たり前だ。この気持ちは霖之助さんにも教えていないのだから。 俺が他の人にも知られているかも、と不安になったときに霖之助さんは言った。 「驚いているようだね。大丈夫、僕以外は誰も気付いてないみたいだから」 霖之助さんの言葉にとりあえずは安堵する。 すると、当然の疑問が湧いてくる。 その疑問を聞いてみることにした。 「何時、気付いたんですか?」 すると霖之助さんは笑みを浮かべて 「何時も何も、君の話の大半は霊夢の事じゃないか。すぐに気づいたよ」 と答えた。 そして「同じ男だからね、解るものだよ」とも言った。 失敗した。そう思った時に霖之助さんは言った。 「今なら、僕の知っている霊夢の事を教えてあげるよ」 霊夢との仲は特に進展がない。 「お願いします」 俺は諦めて霖之助さんに相談することにした。 少年相談中 「最後に言うよ。彼女の周りには人が多い、けど彼女は一定の距離を取ろうとする。だから君から仕掛けるんだ」 霊夢は意外と直球な言葉に弱い。だから俺の方からアプローチ掛けると効果が高い。 結論を言えばこう言うことが解った。 辺り見回す。後1、2時間ほどで太陽が沈みそうだ。 あまり遅くなると妖怪に達に襲われ THE・END だろう。 だからさっさと帰ることにした。 「それではまた今度」 俺は帰るので挨拶をした 「ああ、また今度。霊夢との事頑張ってね」 霖之助さんも挨拶をしてくれる。 最後に何か言っているが無視だ無視! ……顔が赤くなんてなって無いからな! 帰り道を歩きながら、ふと思う。 俺は、様々な人に助けられている。 本当に俺は、良い人達に出会えたな…… 本来ならば今頃俺は、野垂れ死んでいたか妖怪の腹の中にいる。 その筈なのだが、偶然出会った彼女に助けて貰った。 他の人にも助けて貰ったのだが、彼女には……霊夢には一番助けて貰った。 そこから始まっていたのだと思う。 俺の恋は…… 「でも、俺の想いは実らない……」 相談に乗ってくれた霖之助さには悪いが、そんな気がする。 結局俺は臆病なのだ。 霊夢への思いは本物だと言える。 だからこそ、思いを告げられない。 言えばいまの関係が壊れるから。 そして、一緒にいられなくなる…… そんな事は嫌だから…… 失う事が怖くて、踏み出す勇気を持てない。 肝心の所で何も言いえない。自分の想いを口に出せない…… そんな奴だから…… だから言えない。 もう少しだけ勇気がほしい。 俺は一人そう思うのだった…… 後書き ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 最初に言いますが、俺の中では香霖は良い人です。 変態ではありません。 それはともかく、今回は○○の葛藤がメインの話になります。 本当は告白までしようかと思ったのですが、俺なら一度はこう思う筈なので変更しました。 読んでいる方の中には、少しは共感できる人も居るかと思います。 ヘタレと思う方は、心の中で思う存分罵ってください。 では、今回はこれで。 6スレ目 198(うpろだ0077) ──────────────────────────────────────────────── 「この神社でお前と一緒に幻想郷を見守っていきたい。ダメかな? ……ありがとう。ああ、神職の勉強もするから、仲良くやっていこうな、霊夢。 ん? いや、ちょっと寒かっただけだ。 まるで幻想郷の全てを敵に回したみたいな、凄い悪寒が背中を」 6スレ目 256 ──────────────────────────────────────────────── 「あ、霊夢さん!!お帰りなさい今手当てを…あ、あれ?」 「あー大丈夫大丈夫。傷1つ無いから」 「え、で、でも…紫さん達は酷い怪我って聞きましたし」 「あーなんかねー。敵の弾が当たりそうになると何故か低速移動してるのよねーな・ぜ・か。ね?」 「れ…霊夢さん!!」 「何?」 「最高です…カッコ良いです…。俺、惚れ直しました」 「嬉しい事言ってくれるじゃないの」 6スレ目 302 ────────────────────────────────────────────────
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職業データ 博麗霊夢 「楽園の巫女」をダーマ神殿にて使用。 HP MP AT DF AG 備考 ・いやぁ、マスターはええな、これ ・万能型 ・腋巫女ハァハァ(違 by山頂 とうい( 習得スキル 名前 習得SP 消費MP 攻撃側/防御側 備考 @霊符「夢想封印」 50000 80000 回数攻撃 無し @夢符「二重結界」 100000 100000 敵全ステDOWN 自分防御素早さUp 無し @神技「八方鬼縛陣」 150000 20000 止めかき消し 無し @夢境「二重大結界」 200000 90000 止めユカリ5体召喚 無し @神技「八方龍殺陣」 250000 150000 止め鼻 無し @境界「二重弾幕結界」 300000 170000 止めHMP回復 無し @「夢想天生」 350000 200000 敵全ステDOWN、味方全ステUP、回数攻撃 無し 万能怖い( 攻撃技の火力は・・・普通だよな(
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■霊夢14 カチャカチャカチャ パクパクパク 「ごちそうさま!!それじゃあ行ってくるな霊夢」 「……今日も遅くなるの?」 「そうだな、だから夕飯もいらないよ」 「うん、行ってらっしゃい」 最近○○とあまり話せてない 普通に喋ったのはどれぐらい前だろう、少なくとも2週間はまともに話せてない 朝はこうして朝ごはんを一緒に食べているけど 食べた後は紅魔館の図書館や香霖堂に行って夜遅くまで帰ってこないのがざらだ そして夜帰ってきたらお風呂に入ってすぐに寝てしまうから話が出来ない 話も出来ないのだから肌を重ねることもキスだって最近は全然してない ザッザッザッザ 「○○は私のこと嫌いになったのかな……」 一人境内を掃除しながら考える 確かに私は胸が貧相だしお世辞にも可愛らしい性格をしているとは言えない 「……はぁ、もう少し胸が大きかったらな……」 ニョキッ 「なに辛気臭い顔してるの?」 「きゃあ!?紫!突然出てこないでよ!!」 胸を見ながらため息をついてると突然紫が出てきた いつもなら大して気にならない胸が今はみるからに「男を誘ってますあんたみたいな貧乳はお呼びじゃないです」 って感じでむかつく 「……で、何しに来たのよ 私は今掃除中で忙しいの、用が無いなら邪魔だからさっさと帰って冬眠でもしなさい」 「あら怖い、それじゃあ巫女さんが怖いから退散しようかしらね」 何しに来たんだろうまさか本当に私の邪魔でもしに来たんだろうか ……紫ならありえるわね 「あ、そうそう恋に悩む巫女さんに一つアドバイス ○○が好きなんでしょ?それなら信じてあげなさい」 「っ!!!分かってるわよ!!!」 「それじゃあまた来年ね」 スゥ そういうと紫はスキマの向こうに消えて行った 「○○を信じろ…か、そんなこと言われなくても分かってるわよ 私は○○彼女なんだから……」 そうよ、私が○○のこと信じなくて一体誰が信じるのよ そう考えるとなんだか心が軽くなってきた 「今度来た時はおいしいお茶でも入れてあげようかな」 紫に少しだけ感謝しながら私は掃除を続けた ホーホーホー 「○○、まだ帰ってこないかな」 夜も更けて闇はその色を濃くしていた いつもならそろそろ○○が帰ってくるはずだ ガラッ 「ただいま霊夢」 「お帰り!○○!!」 「良かった、起きててくれたんだ」 「晩御飯は一緒に食べれてないけど○○にお帰りって言いたかったから……」 「そっか…そういや最近まともに話できなかったよな、ごめん」 「いいわよ、寂しかったけどこうして○○が一緒にいてくれるんだし」 「そのお詫びといってはなんだけどこれ…」 そう言うと○○がポケットから取り出したのは 「指…輪?」 綺麗なルビーが付いた指輪だった 「○○、これは?」 「今日はほら、クリスマスだろ?それでクリスマスプレゼントにって思ってさ」 そうだ、最近○○のことばかり考えてたから気づいてなかったけど 今日は確かにクリスマスだ 「俺全然霊夢の役に立ててないから せめてプレゼントは想いを込めた自作のものを送りたいって思ったんだ それでパチュリーさんから想いを込める魔法を習ったり、霖之助さんから錬金術や加工技術を習ったんだ」 「だから朝から出かけて夜遅く帰ってきたの?」 「ああ、時間が無かったし、どうしてもこの日に間に合わせたかったからな でもその所為で霊夢に寂しい思いさせちゃったけどな」 「そんな事無い!!本当に、本当に嬉しい」 ○○は本当に私のことを想って、どれだけ愛してるか指輪を通して伝わってくる それなのに私は○○のことを疑って…… 「あ、私プレゼント用意してない……」 そうだ、○○はこんなに素敵なプレゼントを用意してくれたのに私だけ何も用意できてない 「いいよ別に」 「でも私だけ貰っても……」 「俺が欲しいのは一つだけ霊夢と一緒の未来だ」 「それって……」 「愛してるよ、霊夢」 「っ!私も!!!」 そして私は○○に抱きつき久しぶりに○○と口付けをした これから先の未来を連想させるような甘く幸せな口付けを ~おまけ劇場~ 協力者達の酒宴 「今晩はお二人さん」 「やあ、そろそろ来る頃だと思ってたよ」 「その調子だとあの二人、上手くいったようね」 「ええ、貴方達のおかげよ それにしても少し意外ね」 「何がだい?」 「霖之助さんもパチュリーもこんなことに協力するような性格じゃないじゃない」 「失礼なことをいうな、まあ自分でもガラじゃないとは思ってるけど 霊夢は娘みたいなものだからね、娘の恋路を応援するのは親として当たり前だろ?」 「それはどちらかと言うと母親の役目じゃないかしら?」 「どっちでもいいじゃない、それにしても今回は疲れたわ 神社に行こうとするレミィを止める為にロイヤルフレア撃った後 妹様のいる地下室に入れて入り口を封印したり、おかげでしばらく紅魔館には帰れないわね」 「お疲れ様、でもどうして手伝う気になったの?」 「別に…ただ、昔を思い出しただけよ」 「そう、それじゃあ折角だし乾杯でもする?」 「何に乾杯するんだい?」 「そうね……幸多き恋人達とその協力者達に」 「「「乾杯」」」 チンッ 11スレ目 486 ─────────────────────────────────────────────────────────── そのひとはお前が一番傷つかない方法で俺たち別れよう、と言った。なので私は一生懸命に考えてみた。私が一番傷つかない方法? 例えば彼が私の細かいところ全部が鼻について一緒にいるのも嫌でなんかもう気持ち悪い気分悪い生活に支障をきたすもうホント無理なんで別れよう、となる。 「あのな俺はお前にこんな事言うのはすごく心苦しいんだけど、ある時期を境に俺は霊夢のやることなすこと全てが”不快だ”としか感じられなくなってしまったんだよ。 お前がアイスを食べるときスプーンを何度もぺろぺろと舐める仕草が気に食わないし歯磨き粉の蓋を開けたまま放置する癖にも本当に嫌気が差す。 おかしいだろどうして開けたものを閉じることが出来ないんだ?元あったものを元に戻す努力をしないで放置したままその場を去れるのか? お前がやっていることはほんの些細だが確かに大いなる破壊だ。 元あったものを元に戻すことが出来ない、それはただただ世界の中で破壊なんだ。お前は破壊者だ。 理由はそれだけじゃないからな霊夢。 こんなことを別れる男に告げられるのはお前だって気分が悪いだろうが俺はこれまでこの何十倍もの不快な気持ちを腹の中にためこんで日々を過ごしてきたんだ。 なあ霊夢俺は我慢が出来ないんだよ。 どうしてお前はスプーンを舐める?歯磨き粉の蓋を閉じられない?電気をつけっぱなしで眠る?俺の上着を勝手に着る? 下着と靴下は混ぜて置くなと何度だって言ったのにどうしてお前はそんな簡単な俺の要求を聞き入れてはくれなかったんだ? 下着と靴下を共に入れておかなければならない重大な訳がお前にはあったのか?あったとしたら何故お前は俺にそのことを教えてくれなかったんだ? 俺たちは今までなんだって一緒に共有して過ごしてきたじゃないか。 俺は何度だってお前にスプーンを舐めないように歯磨き粉の蓋は閉めるように電気は寝るときは消すように、 上着は何曜日にそれを着るか俺は決めて生活してるからそのリズムを崩さないように出来るだけ触れないで欲しい、ほら理由だって伝えたじゃないか! それなのにお前は何故俺の月曜の青い上着を金曜に勝手に羽織った?霊夢には自分の服があるはずなのに。 俺は分からないんだ。だから不快なんだ。 だってお前は俺の頼みなんかこれっぽっちも聞いてくれないじゃないか。何故聞いてくれないのかも教えてくれないじゃないか。 お前は俺をこんな遠くまで引っ張ってきて開けっ放しにして放置しているんだよ。 お前は俺を破壊してるんだよ。俺はもう耐え切れない。霊夢と一緒に生活していくのは無理だ。 俺には過去確かにお前が必要だったよ。 俺はお前がいつか俺の願いを聞き入れて、 スプーンを舐めないでいてくれると歯磨き粉の蓋を閉めてくれると、 電気を消して俺の隣でぐっすり眠ってくれると上着をそのままにしていてくれると靴下と下着を別々の引き出しに入れてくれると信じてた。 でももう時間切れだ。 俺たち潮時だったんだよ。お前だってそう思っていたんだろう? 俺たち、おしまいなんだ。 霊夢、さよなら。俺はこれから幸せになるよ。歯磨き粉の蓋は永遠に閉じたままだ。 破壊者は消える」 最後の『破壊者は消える』というのが如何にも○○っぽいかっこつけで、 全てでっちあげで思いつきで考えてみた○○の台詞の割にはなかなか素敵だと私は思った。 これなら私は傷つかずに○○とおさらばできるかもしれない。 そしてついでに○○が実際それが嫌だったか私は知らないけど、 スプーンをぺろぺろ舐めてしまう癖とか歯磨き粉の蓋を開けっ放しにしてしまう癖とか電気とか上着とか下着と靴下などなどの下らない癖も直せるかもしれない。 だけどいつかそれが直って、幾らかきちんとした女に成長した私はあの昔の男(それはつまり今の○○だ)と、 今の私なら理解しあえたかもしれないのに、私はもう彼にとって破壊者ではないのに、などと アイスを食べるたび歯磨き粉の蓋を閉めるたび電気を消して布団に潜るたび寝巻きに着替えるたび下着と靴下を分けて引き出しに仕舞う度思い出して苦しくなる・・・ そんな大変な目にあってしまいそうなのでこの案は却下した。 第一○○が口うるさいおばさんのようだ。 ○○はそんな些細なことであんなにヒステリックに文句を言ったりしない。 彼は繊細な見た目とは裏腹に器の大きな男だったのだ。 「○○、私が歯磨き粉の蓋をいつも閉め忘れることに対して何か不満を持ったことはある?」 「いや別に。俺もお前のすぐ後で歯磨きしてたから開ける手間が省けて逆に好都合だったよ」 やっぱり却下だ。 それでは次を考えていこう。では○○に新しく好きな女が出来たというパターン。 「霊夢、どうか悲しまないで聞いてくれ。 いや、お前は悲しむだろうな。俺は本当に、お前に対して酷いことをしてしまった。 これは、ただ、ただ・・・何を言い訳しても許されない。 何を言ったって結果は、俺がお前を裏切ったという醜い結末にしかならないんだ。 霊夢、俺はお前のことが嫌いになったとか、お前のどこが悪かったとか、そんなことは全然ない。 お前は聡明で美しいし、それに俺たち相性だってよかった。 俺たち二人は愛し合っていたよな。二人で一緒に暮らすようになってからも、俺はお前に対して不満なんかなかったし、お前はとても好ましかった。 今だって俺はお前を好ましいと思ってる。本当だ。 本当なんだ、・・・だけど。 俺は、出会って、しまったんだ。わからない、うまく言えないけど、俺は、その人を、愛してしまった。 病気みたいに、運命みたいに。彼女しか見えなくなってしまったんだ。 本当に、本当に・・・ごめん、霊夢・・・。 何故、彼女なのか、彼女だったのか、わからない。けど、俺にはどうしても彼女なんだ。だから、こんな結果になって・・・。 霊夢、どうか俺のことを、殴ってくれ。嫌ってくれ。 最低最悪の男だったと思って、言いふらしてくれたって構わない。 霊夢、俺はお前が好きだった。だから、お前をこんなに傷つけてしまう自分が、憎いよ。 でも、駄目だ。ごめん、・・・ごめん、霊夢。 俺のことを、忘れてくれ。俺の幸せは祈らなくて、いい。死んでしまえと思ってくれて、いいんだ。 だけど、ただ、俺はお前に幸せになってほしいと、心から思ってる。 だって、霊夢、俺はお前を好きだったんだ。 俺が、悪い。俺がいけなかった。霊夢。本当に、ごめん。・・・霊夢。 お前をしあわせにできなくてごめんな」 自分で考えて泣きそうになってしまった。○○、かっこいいなぁ・・・。 まるでどこかの物語のラストシーンのように、美しい瞳から涙をぽつりと零す彼の姿が脳裏に浮かぶ。 すごい、これならあまりの綺麗さに胸打たれて私あんまり傷つかないで済むかもしれない。 が、しかし。 やっぱり浮気の末捨てられるのって後味悪いものだ。 なんか私の方が相手より劣ってました!と公言してしまうようなものじゃない。 いやそれは別に事実だったらそれでもいいんだけど、私が一番傷つかない方法を模索してるのに微妙に自分を貶めちゃうってどうなのよ。 すごく嫌。じゃあこれも却下。 というか○○が私と何年も一緒に暮らしてて不愉快な気持ちを抱いたことなかったかどうかなんて私には分からない。 実はすっごく不愉快だったかもしれないじゃない。それじゃあまた最初の「歯磨き粉の蓋~」に戻っちゃうんだけどね。 「○○って正直私と付き合ってる間浮気とかしたことあるの?最後だし教えなさいよ」 「浮気は無いな。他の女に目を奪われそうになったことは多々あるけど」 「ええ、それ浮気じゃないの?○○にとっては違うのかしら」 「だってそれ容姿とか体だけだろ?俺どうしてもこの人じゃないといけない、って思ったのは後にも先にも霊夢だけだよ」 恥ずかしくなってきたので却下。 じゃー、次。これいってみよう。私が浮気。 「その男が好きなのか?霊夢。なあ、俺よりその男が? 俺よりその男と一緒にいたいとお前は思うわけか。俺ではお前を幸福にするのは無理というわけか。 俺との抱擁はもう何の意味もないと。俺とのキスはお前の愛する人への罪悪感と恋情を募らせるだけだと。 ・・・ごめん。俺は、怒ってるわけじゃない・・・いや、怒ってる、な。やっぱり。 だって俺はお前がとても大切だったから。 ・・・その人じゃなきゃ、もう駄目なのか?お前が、こんなことを言い出すってことは、・・・そういうこと、なんだよな。 じゃあ、俺の出番は、もう、お終いだ。 霊夢、俺は、お前を憎む。お前を想う。 霊夢、好きだった。とてもとても。もう嫌いだ。霊夢。霊夢霊夢霊夢霊夢。 ・・・これで最後にしよう。俺たちはもう知らない人間同士になるんだ。 霊夢、今までありがとう。俺はお前が大嫌いだ。霊夢。お願いだから俺の前からいなくなってくれ。 俺はお前がまだ恋しいんだ。手を伸ばしてしまう、・・・だからはやく」 あ、あ、これ、いいー! 胸がときめいた。 私の想像の○○の台詞、さっきから良い線ばっかりついてくるなぁ。 だけど、こんないいこと言われちゃって、手を伸ばしてしまうとか、言われちゃって、結局別れられないじゃない。 そもそも私は浮気なんかしてなくて他に好きな男がいるどころか現在進行形で○○が好きなんだから本当の別れの場面でこんなこと言われても駄目だ。 ○○への愛と未練が募るばっかりで全然、駄目。 つまり、傷つくのよ。 他の考えよ。 「霊夢、何か思いついたか?」 「うーん、もう少し。あとちょっと」 却下、と。 あ、じゃあこれならどうかしら。激しく罵られる。 「あ・の・な、俺はお前なんか最初から大っ嫌いだったんだよ。 そりゃあ一瞬可愛いかな?と思った時期もあったけど、そんなわけあるかと自分に突っ込みたいくらいだよ。 よく俺お前なんかと恋人やってられたよなぁ? ちょっと優しくしてやっただけですぐ勘違いして赤くなるしどこの生娘だよこれ、空気読めない巫女だな!って勢いだったし、 料理は下手だ掃除は出来ないダラダラしすぎ腰が弱い体力もあんまりない風邪を引いたら三割増でワガママ泣き顔もまたぜんっぜん萌えないしな。 萌えるって何か知ってるか?お前と全く逆の女に贈られる言葉だよ! お前に入った生殖器なんて可能なことなら切り落として新しく穢れないものを再生してもらいたいよ。公衆便器が! とにかくもうお前の顔なんか見るの真っ平御免だね。気分が悪くなる。吐きすぎて吐きすぎて胃液しか出なくなる。 さようなら。さようならさようならさようなら霊夢さん!! さっさとこの部屋から出て行けよ、そして小汚い男に優しくしてもらって喜べばいいだろう? 塵一つ残さず消えてしまえ。お前が嫌いだ! 殺さなかっただけ有難いと思ってくれよ。お前の血なんて見たら俺は本当に気持ちが悪くて失神しちまうから。 綺麗で一人でお死になさい。さ・よ・う・な・ら!!」 なんか○○じゃない人みたいになってしまった。 ○○はもっと知的に他人を罵ると思う。 やっぱり考えているのが私だから本当の○○の台詞になんかならないのだ。 そして私は結局どれでも傷ついてしまうと思う、弱いのね。 鋼の心臓を手に入れられるようにもっと修行しないと。 これから受ける傷が癒えたら考えよう。もし癒えなかったら、ああ私は一生弱いまま○○を思ったまま憎んだまま嫌ったまま愛したまま生きていこう。 私は、○○の顔をもう一度じっと見て、今日が最後なのだと改めて思った。 涙は多分これから遅れて流れ出す。 「○○」 「ああ」 「○○が今一番私に言いたいことを言って」 ○○は私を見て困ったように微笑んで、冷たい手のひらで私の額を撫でた。 唇をちろりとピンク色の舌で舐め、○○が声を出す。 「霊夢、俺はお前を愛してる。今も、これからも」 じゃあどうして?だからこそなんだよ。 もう何十回も繰り返した会話がもう一度再現されそうだったので私は口をつぐんで、やっぱり○○の顔を見ていた。 私はもしかして、一番自分に傷をつける方法を選んでしまったのかもしれなかった。 ○○がゆっくりと私から離れていく。 「お前を愛してる」 却下。は聞き入れられなかった。この部屋に私がひとり。涙はまだ流れず。遅いわよ声だけが先走って涙を孕む 11スレ目 520 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○がそれを見てはじめに思ったことは、そんなんじゃ寒くないのかなぁ程度の事だった。 イエスだかノーだか知らない人の誕生日にかこつけて色々とお祝いをする日。俗に言うクリスマス。 ここ幻想郷でも決してそれは例外ではなく、いつもよりかは割かし盛大な宴会が催された。博麗神社で。 だが平素と違ったのはあくまで規模だけだったらしく、客たちは会が終わるなりいつものようにさっさと帰ってしまった。 薄情だと言っている暇も無い。 そしていつも通り○○は片付けを一人で終え、洗い物で冷えた手を温めようと居間に来た時にそれを見つけた。 即ち、畳の上でぐでーっと寝転がっている霊夢の姿を。 「霊夢ー?」 些か心配になって呼びかけてみる。が、返事は無い。 顔を覗き込んでみるとすやすやと息を立てて眠っているようだった。後、若干お酒臭かった。 どうやら酔いつぶれて眠ってしまっているようだ。 「また、呑みすぎちゃったのかな」 僅かな期待と八割ぐらいの諦めを胸に、ゆさゆさと肩をゆすって声をかけてみる。 これで霊夢が起きたのなら明日は槍でも降るだろうと○○は思った。割と本気で。 「霊夢ー、こんな所で寝てると風邪引くよー?」 が、○○の予想通り起きる気配は無い。 なので今度は頬をぺちぺちと張ってみる。 ○○は結構大胆だった。 「霊夢ー?」 それでもやはり霊夢は起きようとしない。 仕方がないので○○は断念して、ここでこのまま寝かせてあげることにした。 寝室から布団を持ってきて被せる。 そういえば昨日はやたらと萃香たちに絡まれてたなあ、と○○は思い出しながら同情した。 宴会の席での天狗や鬼は怖いものである。 出来れば回避、それが出来ないならせめて飲む量をセーブくらいはしたいものだ。無理だろうけど。 溜息が自然と出た。 「んー」 霊夢がゴロリと寝返りを打った。 その声や様子からして、体調は一概には良い状態にあるとは言えないようだ。 仕方あるまい。 霊夢たちは酒をよくアルコールを摂取する方だとは言ってもその体はまだ発展途上(内部環境的な意味で)。 ○○ほどに成熟しているわけでもなければ、妖怪のように特別身体的に発達しているわけではない。 よって宴会の後も無事でいられるのは○○だけということが殆どだ。 だから○○は自分から進んで宴会の片付けも請け負うし、またそれが当然だと思っている。 出来ることは出来る人がやるのが一番だ。 だからこそ○○も霊夢に頼っている部分がある。 しかしこうして思い返してみると明らかに○○が日常生活の中で担っている部分の方が多いのだが、それを気にしないのが○○の人となりとも言えた。 「うー」 霊夢がまたひとつ唸る。 何も知らない人が見たら、その姿はちょっと気分の悪そうな年相応の少女にしか見えないだろう。 実際、○○の目にもそう映っていた。 でも、霊夢は違った。 一人で、ずっと、我慢して過ごしていた。少なくとも一年程前までは。 その事に○○が気付いてからは、霊夢も徐々に○○を頼るようになっていった。 それは○○にとっても嬉しいことだったし、霊夢もそれ以前よりは幾らか明るくなった気がする。 そうやって過ごしていくうちに霊夢のそういった一面はあまり意識しないようになっていった。 しかし○○は偶にこうやって思い出すことがあった。 霊夢の、その小さな体に秘められた強さというものを。 そして、自覚することが、あった。 「…………」 ○○は霊夢の傍に座り込んだ。 寝相の所為でずれかかっている布団を掛けなおし、改めてその体に目を向ける。 小さな、体だった。 そして霊夢の頭をスッと持ち上げ、自分の膝の上に乗せた。 その際、黒い艶やかな髪が手に触れた。 その髪を手にとってみる。 髪はさらさらと手から零れ落ちた。 何度か繰り返す。 綺麗だな、と○○は思った。 そんな事を繰り返すうちに、主に疲労が原因で○○の意識は闇へと落ちていった。 霊夢が目を開けるとすぐ前に誰かの顔が超どアップで映っていたので、声にならない悲鳴と共にとりあえず夢想封印を叩き込んだ。 放たれた光球は狙いを外すことなく全て目の前の人物へと飛んで行き、その人物は障子を突き破って外へと吹き飛んだ。距離にして約10m。 その人物が○○であると霊夢が認識したのは、それから数秒後の事だった。 「あいったたたたた……霊夢?」 頭を抱えながら○○が起き上がる。 というかあれだけの攻撃を受けておいて「痛い」で済む辺り、○○もどんどん人間離れしてきていると言える。 慣れだろうか。 ○○の一声で霊夢は我に返った。 「あ、うん、私、霊夢」 まだ動揺しているのか、霊夢の言葉は途切れ途切れで意味不明瞭だった。 「ごめんね、驚いた?」 「そりゃ、まあ」 「どうも寝ちゃってたみたいだ」 ははは、と苦笑を浮かべながら体に付いた汚れを手で払いながら○○は家の中に戻ってくる。 ○○に怪我がなかった事にほっとしつつ、霊夢は先程から気になっている事があった。 ぶち破ってしまった障子の修理も気になるが、それはひとまず置いておくことにする。 「あの、○○」 「ん、晩ご飯ならまだ作ってないから待ってて」 「ああ、そう。――――じゃなくて」 危うく流されかけるところだった。 霊夢は霊夢でマイペースな所はあるのだが、○○のそれは霊夢を遥かに超越するものなので気を付けていないといけない辺りが手強かったりした。 咳払いなどして気分を改めながら、霊夢は○○に問うた。 「何で膝枕なんかしてたのよ」 台所に行きかけていた○○の足がピタリと止まり、霊夢の方に向き直った。 その時霊夢が見た○○の表情は何とも言えないもので、そこから何かしらの感情を読み取ることは困難を極めた。 しばらくお互いに何も言わない時間が過ぎる。 相変わらず○○は微妙な表情をしたままで、霊夢は炬燵に入ってないのでいい加減体が冷えてきた。 やっとのことで○○が口を開いたのは、霊夢がもう炬燵に入っちゃおうかしらなどと考えた時の事だった。 「霊夢」 「ん」 少し、表情が分かりやすいものになった。 そこから垣間見えた感情は、労り。 「――――晩ご飯、宴会の残りでもいいかな?」 「……ええ、構わないわ」 言いたくないことがあるならそれでいいだろう。 無理に聞きだす必要もないし、またそんな事をする気も起こらなかった。 炬燵に足を入れて天板に顔を乗っける。 ひんやりと冷たい感触が霊夢の頬に返ってきた。 やっぱり枕にするなら○○にしてもらおうか、と霊夢は思った。 やがて、○○がいくつかの料理を持って帰ってきた。 残り物と言えど、盛大な宴会の後だったのでそのメニューは中々に豪華だった。 「もう調子は大丈夫?」 「万全とは言えないわね。あー、あの二人め、無理やり飲ませるんだから」 体の不調を訴えつつも、ひょいひょいと料理を口に運ぶ霊夢。 どうやら腹はどんな状態であっても減るものらしい。 ○○はそんな霊夢の姿を微笑みながら見ていた。 「あ、そうだ。霊夢」 「んー?」 何か思い出したように○○が上を向いた。 霊夢は口をもごもごさせながら声だけ返して、もう箸は次の獲物に伸びていた。 「メリークリスマス」 霊夢の箸の動きが止まった。 幾分呆気に取られながら霊夢は○○の方へ視線を向ける。 そこには相変わらずにこにこと笑みを浮かべる○○の姿があった。 やがて霊夢も顔を弛緩させて。 「ええ、メリークリスマスね」 こんなクリスマスも悪くないかな、と思った。 夕餉後のおまけとか 「ご馳走様」 「まあ僕が作ったわけじゃないけど、お粗末様」 「で、○○」 「うん?」 「私はまだプレゼントを貰ってないわ」 「僕もあげた覚えが無いな」 「まだ今日中なら受け付けてるわよ」 「それは良かった。もう受理してもらえないかと思ったよ」 「え、あるの?」 「自分から催促しておいて何言ってるかな。 (ガサゴソ)はい」 「……何、これ」 「ストール」 「って何かしら」 「肩に掛けて使うんだよ。ほら、霊夢見るからに寒そうだからさ」 「こんなもの、何処に売ってたの?」 「作ったんだよ、無かったからさ」 「え」 「うわ、何その意外そうな顔」 「だって、そんなの見かけたこと無い」 「そりゃ気付かれないようにやってたしね」 「何でよ?」 「ばれちゃ面白くないだろ? 善行は気付かれないようにやれってね」 「ふーん……ありがと」 「どういたしまして」 「………」 「………」 「何も言わないのね」 「言って欲しいかい?」 「意地悪」 「霊夢ほどじゃないな」 「どうだかね。 ま、私はあなたの思っている通り何も用意してないわけで」 「言わなくてもいいのに」 「うっさい。こっちにも面子があんのよ」 「はいはい、それで?」 「だからあなたが何か私に要求があったら聞いてあげる券を今ここで発行します。今日限定で」 「聞くだけ?」 「場合によっては履行も可」 「随分と限定的だね」 「いちいち水を差さない。で、どうするの?」 「うーん……特に思いつかないし、いいや」 「何それ」 「いやぁ、してもらいたい事はいつもやってもらってるから満足だし」 「それじゃあ私の立場ってもんが無いのよ。 いいから言いなさい。言うの。言え」 「最早脅迫だね」 「あーもー、埒が明かない! こうなったら私がしたいと思う事をしまーす」 「主旨変わってない?」 「あんたが悪いのよ、何も言い出さないから。 ほら、こっち」 「全く強引だなぁ。 っと――――――んぅ」 「――――――――っは」 「…………………」 「…………………何よ」 「照れるくらいならやらなきゃいいのに」 「うるっさい!大体なんであんたはそんなに平気なのよ! あー、何か腹立ってきた!もう今夜は寝かせてあげないんだからね!!」 「何気に爆弾発言だね」 そんな聖夜の一日後。 11スレ目 528 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「愛してる」 会話が途切れた時、物は試しと言ってみた。 「そう。ありがと」 彼女は素っ気ない返事をよこしてからさっさと席を外してしまった。 あっさり躱されたなぁ。 なにか面白くなくて、話し相手もいないので手持ち無沙汰に湯飲みを啜った。 お待たせと声がかかり、ぼーっとしていた僕のすぐ隣に彼女が腰を下ろす。 「あのさ――」 ――さっきのは冗談なんだけど。 「何?」 いつもより嬉しそうに湯飲みを覗き込む顔に、続きを言い出せなくなる。 彼女はまごつく僕を見て柔らかく微笑んだ。 「冗談でもね、言われると嬉しい言葉ってあるのよ」 「そうかな」 「そうなの」 とん、と肩に寄せられた僅かな重みと赤いリボン。 なんだか無性に恥ずかしくなってきて、逃げ場も失った僕は遠くに広がる自然の彩りに集中した。 きっと夜になっても終わらない、神社の紅葉観賞会。 辺りの木々は朱に染まり、日々近づいてくる冬の足音。 触れ合う肩から伝わってくる温もりに、僕は大きな欠伸をした。 10スレ目 366 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○:僕。人間。怠け癖全開の人。イチャつくよりは一緒にゴロ寝。 甲斐性? きっとそれなりには。 霊夢の一応旦那様。 霊夢:ご存じ博麗の巫女。紅白。腋がたまらん。 怒ると おんみょうだま が さくれつ するぞ! ○○の一応嫁。 「嗚呼……炬燵が温い。しあわせ♪」 博麗神社の一室。 "博麗神社の眠れるナマケモノ"こと僕は、炬燵に潜りこんでその温かさを噛み締めていた。 本当なら料理の仕込みとか、やらなくちゃいけないんだけど、 手早くしてしまえば本当に数分で仕上がってしまうのだ。 ……ズボラ料理? 上等じゃないか。 お腹が膨れればいいんだよ、膨れれば。 そういう理由から、僕はギリギリまで炬燵から動くつもりはない。 そんな言い訳(?)を考えているうちに、縁側に続く戸が開いた。 「……またここにいたのね、○○。 台所にいないからもしやと思ったら……」 「やあ、霊夢」 「やあ、じゃないでしょう、やあ、じゃ。 貴方にも仕事を与えているのだから、ちゃんとして貰わないと」 ――追い出すわよ? と視線で語られる。言葉にされるよりもちょっと怖い。 「まき割りも済んだし、里への買出しも終わってるよ。ご心配なくー」 「……ご飯は?」 「ちゃっちゃと作る予定。それよりも霊夢も炬燵で温まらないかい? そんな格好じゃ寒いだろう」 冬の真っ盛り、雪だって積もっているにも関わらず、彼女はいつも同じ格好のままだった。 去年、見ている方が寒いと僕がプレゼントしたマフラーはきっちりとまいていたけど。 「あんたね……」 「ほらほらー、あたたかいよー? ぬくぬくだよー?」 ぽふぽふと自分のスペースの隣を叩いて誘う。 「……仕方ないわね。しばらく付き合ってあげるけど、それが終わったら○○もちゃんと仕事しなさいよ?」 「了解ー」 やれやれ、とジェスチャーまじりに霊夢は溜息一つ。 すたすたと僕の真向いに座る。 「なっ……」 「ど、どうしたの?」 「霊夢が、隣に座ってくれない……」 「はい?」 「仮にも僕は、君の旦那様なのにっ」 「……」 「嗚呼、これが噂に聞く倦怠期ってやつか! ……よよよ」 「違うわよっ! ……ただ、ちょっと、恥ずかしくて」 顔を赤くしてそこだけは否定する霊夢。 大袈裟に拗ねてみただけなんだけど、まさか本気で対応されるとは。 「恥じらうことなんてないじゃないか。僕達は曲がりなりにも夫婦だよ? そっちから来てくれないなら……」 「何?」 「こっちからいくまでさ! 必殺、トンネルドライブ!」 炬燵の中へ体を潜らせ、一気に向こう側へと突き進む。 布団を突き破った先は、霊夢の真横。 驚きと呆れの混じった表情を眺めつつ、彼女の身体を捕える。 「捕まえたー」 「ちょっ……あんたドコ触ってんのよ! 離しなさい!」 「嫌♪」 顔を真っ赤に染めながら抵抗する霊夢。 それがかえって嗜虐心を煽ることに彼女は気づいていないのだろうか。 「ここか、ここがええのんかー」 「あっ、ちょっとそこはだめだってば! ……んっ」 「ふふふ」 「いい加減に……ふぁっ……しなさ、いよ……」 そろそろ止めないと霊夢が怒りだしそうだ。ぴくぴくしてるし。 霊夢をいじっていた手をぱっと放す。 「……○○、あんたね……」 息をちょっと荒くしながら拳を震わせる霊夢。 そんな姿さえも僕にとっては愛おしく見える。 恐らくそのまま放っておけば放たれるであろう鉄拳ごと、彼女を抱きしめた。 「っ!?」 僕の突然の行動の連続にとうとう対応仕切れなくなったのか、彼女は緊張した猫のように身体を固くする。 「れいむー?」 「……な……何よ」 「いつも御苦労様です」 えらいえらい、と彼女の頭を優しく撫でる。指も使ってさらさらと髪の感触を楽しむ。 あまり抵抗しないのは緊張してるから、かな? 「でもね、最近色々と頑張り過ぎだと思うんだ。たまにはこうやって休まないと、ね?」 彼女はこの幻想郷を守る博麗大結界を管理している。 それだけでも大変だと思うのに、連日のように妖怪退治したり、神様にケンカ売ったり、宴会開いたり。 そうやって頑張る姿が好きだからこそ、一緒になっているのだけれど…… たまに疲れた顔をしているのを見て、それを僕に気付かせまいとしているのを知って……黙っているほど野暮じゃない。 「○、○……」 先程いじり倒したせいか、それとも別の理由からか、彼女の眼尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。 それを指先で拭いつつ、言葉を続ける。 「せめて今だけは、他の事を忘れて。僕だけを見て、僕の事だけを考えて」 今までやってきたこと、今もしていること。 偉業とも呼べる数々を成し遂げたくせに、硝子のように細い体をそっと抱き締めて。 精一杯の口付けを交わす。 「っ、んぅ……ぷは……○○……」 拙いながらも必死に応えてくれる霊夢。 この一時が永遠に続けばいいのに。 「……続きはベッドで……と、霊夢?」 長いキスも終わり、しばらく抱き締め合っている内に、霊夢は腕の中で眠ってしまっていた。 そろそろ晩御飯の支度にかからないといけないのだけれど、 炬燵の中な上に服の裾を彼女に掴まれている。 (……起こすのは、無粋だよね) そっと霊夢の髪を指で梳きながら、安心しきった寝顔を眺める。 (晩御飯は……一緒に作れば、いいか) きっと僕一人では彼女の足元にも及ばない。仕事の手伝いなんて以ての外だろう。 でも、心の負担くらいは、受け入れてあげたい。 彼女には、笑っている顔が、よく似合うのだから。 いつ彼女がここへ帰ってきてもいいように、笑顔でいられるように。 僕はここで出来ることしようかな、と思った。 「これからもずっと、一緒にいようね、霊夢」 11スレ目 915 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ねぇ、○○」 「何?」 「……なんでもない」 誰かから聞いた事がある。 雨は誰かの代わりで泣いているからあんなに冷たいのだと。 そうだとしたら今降っている雨は誰の代わりに泣いているのだろう。 さわさわと縁側で囁く雨。朝からずっとこの調子だ。 昨日はからからに晴れて冬とは思えないくらい暖かかったのに。 今は少し着込まないと寒いくらいだ。 こたつの上に置いてあるみかんの入れ物に手を伸ばして中の一つを手元に持ってくる。 橙の皮を向くと、特有の柑橘の匂いがした。 お昼を食べたとはいえ、やはりこたつにみかんは付き物である。そう一人で考えて皮を向いていく。 だるそうに背中を丸めてみかんの皮を向く俺とは対照的に、正座をしてこたつに入ってくる彼女。 食器洗いが終わったのだろう。ふぅとため息をついてお茶を淹れるように指示してくる。 言われた通りに彼女のお気に入りの湯のみにお茶を注ぐ。香りと共に湯気が立つ。 「よく降るわねぇ、洗濯物が出来ないわ」 少し熱いのだろう、ちびりちびりと飲みながら霊夢はお茶を啜っている。 こたつに入っている俺の横で、同じくこたつに入りながら彼女はぼんやりと外を見ている。 俺とは反対方向の縁側を、どこか鬱陶しそうに。 俺はみかんを食べ続けながら、霊夢に言葉を返す。 「まぁ仕方ないんじゃないのか? 降る時は降る」 何処か適当に返事をしながらお茶を飲む霊夢を見る。 夜の闇のような髪。動きに合わせながら肩からさらりと零れていく。 真っ白い肌に少し赤味が差した頬。少女特有の、いや、女の子特有の柔らかい輪郭。 何処か切なげに影を落とす長い睫。俺とは全然違う、生き物。 どちらも喋らない。外から降る雨の音が部屋を満たしていく。 雨と縁側を背景に見る霊夢は何処となく儚い気がして、思わず視線を逸らした。 なんとなく、雰囲気がいつもと違う。雨のせいか。 それとも、この沈黙のせいだろうか。よくわからない。 鼓動が、早い。けれど、嫌なものじゃない。 それでもなんとなく癪だったのでみかんを一気に口に放り込む。 甘いような酸味が口に広がる。いつも食べるみかんより少し酸っぱい気もする。 「ねぇ、○○」 ふいに霊夢が呼びかける。か細い声。 少しビックリしてしまって、咀嚼しかけたみかんが変なところに入りそうになる。 なんとか胃に押し込んで返事をした。 「何?」 唇に柔らかい感触。閉じた瞼。長い睫。 さらりとした髪が俺の頬に触れる。 不自然なほど近い距離で、瞼を閉じた綺麗な顔が見える。 ふわりと漂う、霊夢の、匂い。 ゆっくり彼女が離れる。ほんの少しだけ紅潮した頬と、潤んだ瞳。 小さい、声で。それこそ聞き取れないような声で。 「……なんでもない」 そう言うと、飲んでいた湯のみも放っておいて何処かへと姿を消してしまった。 少し急いたような彼女の足音はもう聞こえない。 時間が、止まっている。部屋を包む雨の音が少し大きくなった気がする。 なんなんだ。よくわからない。どうして。 ぐるぐると自問自答しながら、ゆっくりと自分の唇に触れる。 先ほどとは全然違う感触。全てが違う。 身体が熱くなった。指ではない、柔らかな感触を思い出す。 霊夢のふんわりとした仕草、風のように目の前に来て。 キス、された。そう思う。 初めてだ。生まれて初めて。 それこそ、身体が熱くなるような感じも。初めてだった。 紅白の衣装を着た彼女の家に住み始めたのはもう随分前の事。 それまではお互い何も意識はしてないし、むしろ他人のように接していたつもりだった。 外の世界から来た俺に特に興味を示す訳でもなく、ただ住処を与えてくれた。 衣食住には困らなかったし、俺も霊夢に干渉するつもりもなかった。 数日前、新しい家が決まった俺に、やっぱり特に何も聞かずに良かったわねと声をかけてきた。 引越しまでまだある。だから今日も特になにもしないで二人でこたつに入っていた。 「なんなんだよ…、一体…」 誤魔化すように自分の頭を掻く。 霊夢と全然違う、少し固い髪。 彼女を思い出している自分に気付いて、見惚れていた理由も、何処となく速い鼓動も、いつも感じる安心感も、納得がいって。 あぁ、そうか、と一人で呟いた。 しばらく、引越しを見送ろう。そして霊夢に聞こう。色々。 誰よりも不器用な彼女は表に出せないだけで、誰よりも寂しかったのかもしれない。 彼女の部屋の前にきて、すすり泣く声が聞こえた時、そう思った。 今日の雨は、一段と冷たかった。さわさわと音を立てて、幻想郷を濡らしていた。 end. 12スレ目 22 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ねぇ○○、抱きついてもいい?」 昼飯も食べ終えて何をするわけでもなく居間で炬燵に入りながらボーっとしていた俺に霊夢が突然聞いてきた 「何だよ突然」 「いいじゃない、ね?いいでしょ?」 「ああ、いいよ」 ギュゥ 「……んん、○○の匂いがする 昔どこかで嗅いだことがあるような匂いでそれで安心する匂いがする…」 霊夢が俺の首に手を回し抱きついてくる それと同時に女の子特有の甘い香りが鼻腔の奥にまで漂ってきた 「○○が居てくれるなら私は他の何もいらない だから…だからずっと一緒に居て」 「ああ、約束だ俺は霊夢と一緒にいるよ」 「嬉しい……」 最近の霊夢はよく俺に甘えたがる まるで甘えることで自分がここにいることを確認するかのように 霊夢は弱くなった、それは力の方ではなくて心のほうがだ 誰も深く干渉させなかった霊夢が俺という存在を引き入れた結果 心にスキマが出来てしまったからだ それは博麗の巫女としては駄目なことかもしれない 紫にも 『貴方といれば霊夢は弱くなる、それは幻想郷にとっては害以外のなんでもないわ』 と言われた でも、それでも俺はそれがいくら悪いことでも 『お願い…お願いだから私と一緒にいて、○○が一緒なら私は頑張れるから』 俺に縋り付いて泣きながら告白する霊夢を突き放すことなんて出来なかった だから、だから俺は強くなると決意した 霊夢が弱くなったのなら代わりに俺が強くなればいい どこまで出来るかわからないけどそれでも俺は霊夢の為ならどんなことでもしてみせる ガバッ 「なにボーッしてるの?」 「ああ、霊夢のことを考えてたんだよ」 思案していると突然霊夢に押し倒された 考え事をしてたため俺の体はろくな抵抗を出来ず畳の上に転がった 「そうなんだ…嬉しい」 「霊夢は何考えてたんだ?」 「そんなの勿論○○のことに決まってるじゃない」 「そっか」 「ねえ、それより……しよ?」 「おいおい、昼間からか?」 「○○と愛し合うのに時間と場所なんて選ぶ必要なんて無いわよ」 「せめて場所は選んでくれ…」 求められるのは嬉しいけどいつか宴会の途中で求めてきそうで怖いな… どっちにしろ俺には霊夢を拒むことなんてできはしない それに俺だって霊夢と愛し合うのは好きだ 「いいよ、霊夢、しよっか」 「うん、愛してるわよ○○……ん…たくさん、しよ?」 「ああ、俺も愛してる」 そして俺たちは今日も愛し合う これが罪だと言うのなら受け入れよう 霊夢と一緒なら地獄に堕ちるのも悪くない 12スレ目 64 ─────────────────────────────────────────────────────────── 寒空の下、お茶を飲みながら縁側に腰掛けて・・・寒い。 「なぁ、霊夢」 そこにいた紅白の人物に語りかけてみた。 「何よ」 お決まりの台詞だな。だがそれがいい。 だから俺は、その素っ気無い態度を崩したくなったんだな。うん。 「好きだ」 そう、一言だけ告げた 「・・・」 あれ?やばい俺滑っt 穴があったら入りたい。 沈黙は続く。逃げちゃダメだッ! 「あの・・・霊夢・・・さん?」 「・・・なによ」 返答が変わってない。怖い。俺、どうする。 そこで思考がストップした。 唇になんだか暖かい感触がしたが、一瞬だけだった。 「・・・私も」 「それだけじゃ判らん。ちゃんとした文章で頼む。」 俺はもちろん判った上で、そう言った。 「・・・何よ。意地悪」 俺もそう思う。だから俺は行動で示すことにした。 「霊夢。これからも、よろしくな。」 そう言って、今度は自分から、深く、口付けた。 12スレ目 77 ─────────────────────────────────────────────────────────── ホーホーホー 「いい夜ね、こんな夜は静かにお酒を飲むに限るわ 藍、貴女も飲むでしょ?」 「はい、ご相伴に預かります」 ホーホーホー 「宴会の席で飲む騒がしいお酒もいいけどこうして静かに飲むお酒もまた格別ね」 「そうですね、紫様」 「今はこの静かな酒宴を楽しみまsy「うわあぁぁーーーん!!ゆがりぃーーー!!」……短い酒宴だったわね」 「……そうですね」 「どうしたのよ霊夢、こんな夜分遅くに」 「うぅ…ひっく、うえぇ、○○が」 「○○がどうかしたの?」 「きょ、今日初めて○○とすることになってそれで、その……」 「なに?はっきり言ってくれないと分からないわよ、なにか変な性癖でもあった?それともイ○ポ?」 「違うわよ!!ちょっと…色々あっただけよ」 ~時を戻すこと一時間前~ 「……霊夢、いいか?」 「わ、私は○○となら……」 「ありがと」 チュッ 「んぅ……はぁっ!……はぁはぁ」 「もしかして霊夢、キスするの初めて?」 「○○以外にされたくないわよ」 (やべっ、興奮してきた)「じゃあそっちの方も」 「そ、そうよ、初めてよ、だからちょっと不安で……」 「そっか、大丈夫、俺も初めてみたいなものだし」 「……初めてみたいなもの?じゃあ○○は私以外の女の人とやったことあるんだ」 「え?あ、その……他の女性とはやったことあるような無いような……」 「こぉんの浮気者!!!」 神霊 夢想封印 「うぎゃー筋肉マーン!!」 ~そして時間は現在に~ 「と、言うわけなのよ、酷いと思わない?」 「……あのね、霊夢、○○も男性なんだから女性経験の一つや二つはあるわよ」 「でも!」 「デモもストもないわよ、いいじゃない、リードしてもらえるんだし 第一今は霊夢が○○の恋人なのよ、○○が経験あってもそれは過去の女 別に浮気してるわけじゃないんだしいいじゃない」 「……それも、そうだけど」 「それに霊夢貴方○○に夢想封印してそのままほったらかしでしょ? 帰らなくていいの?」 「あ!!わ、私帰るわね!!」 「はいはい、あんまり痴話喧嘩を飛び火させちゃだめよー」 「はぁ、慌しい事で」 「お疲れ様です、紫様」 「なんか他人ののろけを聞いてたらムカムカしてきたわね 藍、朝まで飲むわよ」 「じゃあおつまみを作ってきますね なにがいいですか?」 「貴女に任せるわ」 10スレ目 536 ─────────────────────────────────────────────────────────── 霊夢、俺と結婚しよう。嫌とは言わせない 10スレ目 995 ───────────────────────────────────────────────────────────
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■霊夢4 霊夢もの第3話、Eパートです。 いきなり霊夢サイドからスタートです。 フランドールのほか、ついにあいつが出てきます。 ではどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ああもうまったく! 何でこういう時に見つからないのよ!」 今、私は○○の手当てをするために薬箱を探している。 ○○はここにはいない。近くの森の、私が張った結界の中で待ってる…はず。 もっとも、○○の怪我の責任のいくらかは私にあるのだから、本当に待っているのかはちょっと自信が無い。 事の起こりはパチュリーの持ってきた一部の号外、そこに載っていた写真だった。 ○○と魔理沙が、手を取り合い見つめ合っている写真…。 それを見た私と、アリスと、パチュリーの3人は、『魔理沙があいつにたぶらかされた』と思った。 …日頃から魔理沙にべったり(本人は否定しているけど)なアリス。 いつも迷惑そうにしている影で、魔理沙の来訪を待ちわびている様子のパチュリー。 二人はこの写真と、載っていた記事を見て、○○の殲滅を決定した。 アリスは一足早く○○を見つけて攻撃し始め、一歩送れて神社に着いたパチュリーは、私に事態を説明してくれた。 あの写真が目に入った瞬間、頭が真っ白になった。 え? なにこれ? いつの間にあの二人が? どうして? 頭の中に訳の分からないものが渦巻き、記事の内容も上手く認識できない中、魔理沙の証言とやらが目に入った。 『あいつの事か? 結構好きだぜ』 絶対○○が魔理沙をたぶらかした、そうに違いない。私が決めた、今決めた。 そうしてパチュリーとともに飛び出した私は、程なくアリスと合流、そして○○を見つけ出した。 アリスとパチュリー、そして私。3人とやり合う事になった○○は…生き残りはしたものの、怪我をした。 私達はといえば、揃いも揃って呆けていた。 なぜ? よく分からない。とりあえず負けかけた…というのは確かなように思う。 呆けた頭がはっきりするにつれ、目の前が見えてくる。 そこには、倒れ臥している○○。 全身から血を流し、片足が焦げ、そのままうつ伏せでピクリとも動かない。 まるでそのさまは、○○が… 「……!」 目を閉じ、頭を振ってわきあがったいやなイメージを消す。 そうだ、大丈夫。 ○○はちゃんと目を覚ました。 いろいろ聞きたい事はあるけど、とりあえず死んではなかった。 ○○はちゃんと生きていたんだ。 せっかく膝枕してやったのに、飛びのかれた時はさすがにちょっとムッと来たけど。 …まあ、どけと言ったのは私だし、今まで戦ってた相手だって考えれば、仕方ない気がするけど…ちょっとだけ 傷ついたかも。(←彼は照れてただけです) …大体、冷えた頭で冷静に考えてみれば、こちらの根拠…と言うかソースは、あの天狗の書いた新聞だ。 そう、あの天狗なのだ。 『疑ってかかってやっと話半分』なんてことの多いあれを、インパクトのある写真を見たからとはいえ頭っから信じきるなんて… 私とした事が。 他の二人も大体同じ結論に至ったのか、なんだかばつが悪そうだった。 まあ、殲滅は事情を確認してからでもいいよね、うん。 そう思って、実行に移そうとした、時。 悪い事は重なる。 事もあろうに、あの傍迷惑な妹が号外を読んだというのだ。 アリスやパチュリーと同じくらい、魔理沙のことを思っている。…いや、誰はばからず好きと公言していると言う点では一番 積極的と言えるあの吸血鬼、フランドール・スカーレット。 今彼女は、大急ぎでここを目指している。 目的は一つ。あいつを…○○を壊す事。 そうする事で、魔理沙を取り戻せる。そう考えているのだろう。 …それが間違いだと気付きもしないで。 もし号外の内容が正しいなら、それをしてしまえば魔理沙は「切れる」。 そして、フランの事を敵とみなして、そのまま二度と、元の関係には戻れない気がする。 間違っているなら、…おそらくこちらの可能性が高いが…なおまずい。 だって、やるだけ無駄だから。 …とりあえず、○○の怪我の応急手当だけでもしておかなければならない。 このまま行けば、○○はなす術もなくフランに消し飛ばされる。 だから必死に薬箱を探しているのに、 「何で見つからないのよ、もう!」 こんな事なら、○○だけでも連れて来ればよかった…、…! 連れて…来れば? 「そうだ…」 何故気付かなかったのだろう。 今○○を一人にしてはいけない。 フランの目的は『○○を壊す事』だ。 『ここに来る事』じゃない。 つまりフランがなにかの偶然で、○○を見つけたら…! 「っ!」 思うやいなや神社を飛び出す。 お願いだから間に合って…! すでに日はとっぷりと暮れ、星が見え始めていた…。 「あー、一応聞いてもいいか?」 「何?」 「人から聞いた話なんで外れてたら謝るが…あんたがフランドール・スカーレットで間違いないか? レミリアの妹の」 「あってるよ」 「そうか…」 思わず手で顔を覆い、そのまま天を仰いで『oh my god...』などど言いつつ神に文句をぶちまけたくなる。 両腕が痛いし、転びそうなんで出来ないがね。 実際のところ、非常にやばい。 こっちの戦闘能力はほぼゼロ。戦う事はおろか逃げる事もまず不可能。こんな状況でどうしろと? …向こうは殺る気満々だし… 「魔理沙に変な事したでしょ」 「覚えが無い」 「魔理沙をおかしくしたんでしょ」 「まったく知らん」 「魔理沙を『てごめ』にしたんだって?」 「してたら多分俺生きてない」 多分無意味だろう問答を続ける。しかしものの見事に平行線だな… とか思ってたら、向こうが痺れを切らしたらしい。 うわ早っ! 「あーもう、もういいよ。消えちゃえ!」 「やだ」 「うるさーーーーい!! 禁忌『レーヴァティン』!!!」 彼女の持っていた杖が炎を纏った巨大な剣へと変わる。やば…! 炎の剣が、森を、薙いだ。 私の目の前で、あいつは、消えた。 やっとたどり着いたそこには、もうすでにフランがいて、 なにかを叫びながら、フランが、剣を… 「…○○っ!」 弾かれた様に飛び出し、一目散にそこへ降りたつ。 そこは地面が大きく抉られ、木々は一瞬で灰か炭に変じ、その難を逃れた木も一部が燃え盛っていた。 「あ…」 思わずその場にへたり込む。地面はまだ熱かったが、そんな事さえわからなかった。 …間に、あわなかった…。 「…ちぇっ」 そんな私の耳に入るフランの舌打ち。 思わずキッとそちらを睨む。 「何霊夢? …いいからそこどいて、危ないよ」 「…! あ、あんた…っ!」 文句を言い終わるより早く、高まる魔力にその場を飛びのく。 直後、フランの放った魔力弾がそこを直撃、更なるクレーターを作った。 「ぐっ…フラン! あんた…」 「やっぱり生きてた。だめじゃん、ちゃんと消えなきゃ」 「え…?」 土煙が晴れ、クレーターがはっきりとその姿を現す。 その中央にいたのは… 「○○!」 そう、レーヴァティンによって跡形も無く消えたはずの○○だった。 でも何故? どうやってあんなところに? 「モグラみたいだね。私は見た事無いけど。…まあいいや、今度ははずさないから」 そのフランの言葉にはっとする。 そうだ、今はそんな事よりフランを止めなきゃ! 「フラン! ちょっとま…」 「禁弾『カタディオプトリック』!!」 爆音とともに天空高く放たれた光弾が、急角度で地上へ…○○めがけて落ちていく。 私はとっさに○○をかばいに入った。 迫ってくる光弾を受け止めるべく、結界を展開する。 …着弾。また着弾。そしてまた着弾。 ○○が全く動かせそうに無い現状、かわすのではなく受け止めるしかないが、さすがにきつい。 渾身の力を振り絞って耐えるが、もう結界にほころびが入り始めている。 このままじゃ、二人もろとも…。でも、だからって○○を見捨てる事はできない。しかし… 結界が限界を迎え、さらに光弾が降り注ごうとした。 …その時。 「ブレイジング…スタァァァァァァァァッ!!!!!」 叫び声とともに、彗星が私達とフランの間を駆け抜ける。 光弾はその輝きに飲まれ、消滅してしまった。 …遅いわよ、もう…。 「…魔理沙?」 フランが呆けた声を出す。 「よっ。…珍しい所で会うな、フラン」 そういって片手をあげたのは、たった今駆け抜けた彗星だったもの。 そう…今回のキーパーソンの一人、霧雨魔理沙だった。 なんだかいきなりめまぐるしく状況が変わり始めた感がある。 霊夢たち3人との決戦、妹様襲来警報、レーヴァティンを如何にか避けたが、あっさり見破られ絶体絶命、そこに現れたのが… 「…魔理沙?」 いつか来るとは思っていたが、このタイミングとは。 まあ、運がよかったと言うべきか。 この調子なら、生き残れそうな気がしてきたからだ。 「霊夢…」 俺は、とりあえずかばってくれた霊夢に声をかける。 霊夢は、俺のほうを振り向くとほっとしたように言った 「良かった…生きてて…」 「全くだ」 自分でもそう思う。何せあのよけ方は賭けだったからなぁ… 「間に合ったみたいね」 「肝を冷やしたわよ、全く…」 そういって降りてきたのはパチュリーとアリス。 二人とも疲れた顔をしている。 「パチュリー、アリス…」 「よう、お二人さん。如何にか生きてるよ。…二人が魔理沙を?」 俺の問いかけに二人は首を振って答えた。 「ちょっと違うわ。実は妹様を見つけるために、一度街道に戻ってから魔力探査をしてみたんだけど…」 「ぜんぜん見当はずれな方…つまりあんたのいる方に反応が出たのよ。大急ぎで戻ってきたわ」 「その途中、ちょうど号外の事で神社に行こうとしていたらしい魔理沙と鉢合わせしてね?」 「事情を話して、ついてきてもらったってわけ」 なるほどね。全く、最後の最後でやっと運が向いてきたか。 上空では、魔理沙とフランが弾幕ごっこしつつ言い争いをしている。 「だから、それは誤解だって言ってるだろ!? 私はあいつに恋愛感情なんか持って無いっての!」 「嘘だ! じゃあ何で魔理沙はあの写真の中で、あいつとあんなふうに手なんてとりあってたのさ!」 「だから前話したろ!? あいつのスペルカードは特別で、私達みたいなのが魔力を充電してやらないと使えないんだって! あいつはいつもリストバンドの下にカードをしまってるから、わざわざ取り出すよりそのまま充電したほうが手っ取り早くて 楽なんだよ!」 「二人で恋人みたいに見つめ合ってたくせに!」 「あれはあいつが手を握られたくらいでドギマギしてたから、からかってやってる最中だったんだよ! あの後すぐにあいつに からかうなって思いっきり怒鳴られたんだからな! マジで!」 ……。 「あー、アリスさんにパチュリーさんや…すまんがあの魔理沙の証言を以って、俺の主張と代えさせていただきたいんだが…」 「…ええ、よーく分かったわ…」 「…ごめんなさい」 「ァリス、ハャトチリ?」 「ゲンキダシテー」 ず~ん…と沈んだ顔で謝ってくる二人。慰める人形。…まあ、誤解が解けたようで何よりだ。 「霊夢も、OK?」 「え、あ、ええ…」 霊夢も、なぜかあわてた様子だったが…とりあえず分かってくれたようだ。良かった良かった。 「OKじゃないよ。全く、せっかく邪魔な無礼者が消えてくれると思ったのに…」 「え?」 見上げるとそこには、どこか残念そうな顔をした、紅い少女が立って(と言うか浮いて)いた。 霊夢たちが彼女に気付き、驚きの声を上げる。 「…レミリア!」 そう、レミリア・スカーレット。 紅魔館の主、『永遠に紅い幼き月』とも呼ばれる『紅い悪魔』、吸血鬼である。 あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 37です。 「3話目」、Eパートでした。 ほんとにFパートまで行っちまった…orz 勘のいい方は気付かれたかもしれませんが、実は霊夢、ある根本的なところを勘違いしています。 このあたりはFパートで語られる予定なので、そちらのほうにどうぞ。(マテ ここでなんとレミリア登場! …いや、さきのあらすじ(エピローグとルビをふる)をお読みの方なら予想がついたかと思われますが、 これから彼女が最後の?爆弾を落としてくれる予定です。お楽しみに。 さて、Fにかかるか…ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=(;-_-)/ゼンリョクダッシュ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 霊夢もの第3話、Fパートです。 とつぜん登場したレミリア、その真意やいかに? 今回フランドール関連で、かなり強引、或いは俺的解釈全開と思しき展開があります。 ○○の態度が気に障るかもしれませんので、ご注意を。 ではどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 傍迷惑な号外から始まった誤解の連鎖。 その結果、アリス、パチュリー、さらには霊夢、挙句の果てにはフランドールと、 幻想郷最強クラスのお歴々に殺されそうになった俺だが、 魔理沙の援軍もあってようやっとその誤解が解けて一安心…という所に、 不穏当な発言とともにやってきた一人の人物がいた。それは… 「…誰かと思えばちみっこか、何だよこんなときにこんなところで」 「ちみっこいうな! 何度言ったら分かる!」 「…あんた、ホント度胸あるわね…」 「古今東西、一般人でレミィにそんな口が叩けるのは多分彼だけでしょうね…」 紅魔館の主たる吸血鬼、レミリア・スカーレットだった。 「…で? どういうことだよ、なんか俺に消えてほしそうな発言だったが?」 「まさしくその通りだよ。無礼者な上に邪魔者と来ては、いくらなんでも看過できない話だ、全く」 「わけが分からん…」 無礼者呼ばわりはまあ分かる。俺はこいつの事を主に『ちみっこ』と呼んでいるからだ。 おまけにタメ口だし。 だが、俺がこいつの事をそう呼ぶようになった…と言うか、怖がらなくなったそもそもの原因は、こいつの自爆によるもの なんだがなぁ… 俺がここに来てすぐ、魔理沙が俺の歓迎会を開こうと言い出した。 要は理由をつけて宴会が開きたかっただけなんだろうが、そのおかげでさまざまな幻想郷の住人と会い、交流をもてたのだから ありがたい話ではあった。 さすがに冬の真っ盛りの時期と会って、参加人数はそんなでも無かった(例えばマヨヒガ組は完全欠席)が、それでも好奇心などでか わざわざ集まってきた面々がいた。 そのうちの一人が彼女、レミリアである。 初めて見た彼女は威厳に満ち、近づきがたい雰囲気を持っていた。 絶対的な『格の差』とでも言うのか、とにかく『敵わない』と言うイメージと、近付き難さを感じていた。 …が、しかし。 珍しく(本当に珍しい話らしい)悪酔いした彼女が、俺の前で『ある事』をしてしまったことで、それらの雰囲気が消し飛んだ。 俗に『れみりゃ変身』と呼ばれる、本来新月のときまれに発生すると言う…所謂、幼児化である。 はっきり言って、お子様だった。これでもかと言うくらい。 そしてかわいかった。 それを見てしまったことで、危うく彼女の御付のメイド長に『殺人ドールの刑』に処せられる所だったが。 …まあとにかく、これがきっかけで彼女に対して…何と言うか、耐性のようなものを持ってしまったのだ。精神的に。 おかげで、普段のノリで彼女と会話が出来るのだが、それが彼女には『無礼』と映っているらしい。 …あるいは、恥ずかしいところを見られたので、目撃者を消したいとか? 「お前、そこまで…」 「何の話だ?」 …声に出てたか、いかんいかん。 だが、邪魔者とはどういうことだ? 皆目見当がつかないが…。 と言うか、むしろそれ以上に… 「なあ、ひょっとして今回の件、裏で糸を引いてたのはお前なんじゃないのか?」 「「「えっ!?」」」 そばにいた霊夢、パチュリー、アリスの3人が驚きの声を上げる。 確かに『まさか?』だが、こいつは確か『運命を操る程度の能力』を持っていたはず。それを使えばあるいは… 「…察しがいいな、○○。そう、今回の黒m「くろまく~」…」 ちゅどんっ! 「そう、今回の黒幕は」 「いやいや待て待て、今なんか撃ち落としたろ!? 通りすがりの何か撃ち落とさなかったか!? おい!」 「気にするな。 割り込むほうが悪い」 「そーなのかー!?」 絶対違うと思うがなぁ… あ、なんか冬っぽいふくよかそうな妖怪がピクピクしてる。 「話がそれたな。戻すぞ、いいか?」 「はあ…」 「何か気が抜けるわね…」 「同感」 俺も。 アリスなんかまだポカンとしてるし。 「今回の件、黒幕といってもいいのは…ほかならぬこの私だよ。○○」 「どういうこと? レミィ。…あの号外は天狗の書いたものでしょう?」 「そうだよパチェ。あれは天狗が書いたものだ」 「な…ならなんで黒幕があなたなのよ。矛盾するじゃ「そういう事」ない…って、霊夢?」 再起動したアリスの問いをさえぎるように、霊夢が言う。 どうやら理解したようだ。 「レミリア…あなたひょっとして、私達に○○を消させようとした?」 「「な!?」」 そう、レミリアはおそらく、誰よりも先にあの号外に目を通し、あの号外を利用して俺が命の危険に遭う様に『運命改変』を 施したのだ。 初めは、自分と関係性の薄いアリスを使って。 それで消しきれないとなると、パチュリーや霊夢を。 いずれも、冷静に考えれば誤解と分かる程度のそれに『気付かない』と言う形を以って。 それらが回避された…いや、回避されそうだと分かった時点で、最終的にはフランドールと言う『切り札』までも切ってきた。 …さすがにことごとく運やら何やらで回避されたのは予想外だったろうが…。 「つくづくしぶとい奴だよ、お前は。…まあ、私もこれで消えるならそれまで、程度の気分で干渉したから、別に生き残ったとしても どうと言う事はなかったんだがね」 「…フランドールにはマジで殺されかけたな」 「あれはいけるかと思ったんだが」 「じゃあ、なんで?」 「…霊夢が俺をかばったからか?」 「私が?」 「あのままだと俺はともかく、霊夢が無事じゃすまない…そう思ったんだろう。だから魔理沙を『間に合わせた』…違うか?」 「その質問に関しては『Yes』と答えておくよ」 「…なんで!?」 霊夢がレミリアに詰め寄る。まあ、確かに。 俺もよく分からなかったが、今ならなんとなく分かる。 レミリアが『霊夢を守るため』に『改変』を行った事、俺を指しての『邪魔者』呼ばわり。これらのことを考えれば…。 「やっぱあの号外だろ、動機は」 「そうね」 「レミィ…」 「だからそれがわかんないのよ! あれに載ってたのは『魔理沙と○○の事』でしょう!? フランはともかく、何であんたが!?」 ……。 「…は?」 「え?」 「はい?」 「ん?」 「…な、何よ」 いや、一瞬思考が止まったぞ。今霊夢はなんと言った? 「…なあ、パチュリー。霊夢にはあの号外、見せたんだよな?」 「え、ええ。確かに見せたわ」 「ならなんであんな台詞が出るわけ?」 「私に聞かれても…」 「…パチェ、あれを読んだときの霊夢の様子は?」 「え、えっと…」 ヒソヒソ話の末、パチュリーが必死にそのときの情景を思い出そうとする。頑張れパチュリー、君だけが頼りだ。 「確かあの時は、号外の最初…あの記事の部分を見た瞬間固まったのよ。一度。その後、からくり人形みたいにギギギッと音を 立てそうな動きで首を上下させて記事を読んでいたようだったわ…。すぐ私に号外を返して、外へ飛び出していったんだけど」 「…つまりその時、何らかの…、例えば例のこいつと魔理沙のツーショット写真でも見て、固まった…思考停止したまま、首だけが 無意識に動いていた…という風にも考えられるわけだ」 「…つまり、霊夢はあの記事を完全には把握していないと?」 「おそらく」 通りで。あいつが怒るとしたら魔理沙と霊夢自身の両方に関してのはずだから、おかしいなーとは思っていたんだが…。 しかしこれはこれで厄介な気がするがどうでしょう。 「あー…霊夢?」 「何よ」 そうこうしている間にレミリアが霊夢に説明をしようとしていた。 プリーズウェイト! その説明待った! こっちの死活問題に~! 「どうもあの号外の内容について誤解があるみたいだが、あれは…「違う違う違う!ちがあぁぁぁぁぁう!!!」何だ!?」 叫び声の方を見る。そこにはまだやりあっていた魔理沙とフランドールの姿。 叫んだフランドールは…なんかめったやたらにレーヴァティンを振り回していた。森が燃える~。 「いけない…。水符『プリンセスウンディネ』!」 パチュリーの展開した水の魔法が、森についた火を消し止める。良かった、これでここが焼け野原にならなくてすむ。 しかしフランドールのほうへ向かった水は、彼女の剣が発する熱でかなり蒸発してしまっているようだ。 恐るべし、吸血鬼の底力。 で、当の本人は… 「あいつは魔理沙をだましてるんだ、あいつは魔理沙にへんな事しようとしてるんだ!」 「だから何度も言ってるだろ? それは誤解だ。あいつは別に…」 「嘘だ!」 「嘘じゃないよ、ほんとだって!」 「あいつは魔理沙を取ろうとしたんだ!」 「取られてないって」 「嘘だぁぁぁぁぁっ!!!!」 それだけで吹き飛ばされそうな殺気を噴出させながら、フランドールは…泣いていた。 泣きながら、なおも叫んだ 「あいつは魔理沙を取ったんだ! 私から魔理沙を取ったんだ!」 「だから違うって!」 「あいつが来てから魔理沙が来なくなった。パチュリーの所に行く事はあっても『私の所』には来なかった!」 「…」 「あいつが魔理沙を取ったんだ! あいつが来なきゃ魔理沙はきっと…」 「自分に会いに来てくれた…か?」 ポツリと呟いた俺の言葉。だがしかし聞こえていたらしい。彼女は俺を睨みつけ、さらにヒートアップする。 やれやれ、自分で自分をピンチにしてどうするんだか、俺は。 「あんたを壊せば元に戻る! 魔理沙は会いに来てくれる! だから私は…!」 その姿は、まさしく駄々をこねる子供そのものだった。 泣きながら、その手にした杖…今は巨大な炎の剣と化したそれを振るう様を、俺はただじっと見ていた。 事態の変化にやっと追いついたらしい霊夢たちがカバーに入ろうとするが…遅い。 その剣が、俺に迫り、そして… 後ろから彼女を抱きしめた奴によって、止められた。 抱きしめたのは、魔理沙。 魔理沙を振りほどこうと暴れる、フランドール。 そんな彼女の耳元で、魔理沙は、言った 「ごめんな、寂しい思いをさせて」 暴れていた剣が、止まる。 その瞬間、切っ先は俺の眼前、10cm程のところだった。 俺は、動けなかった。 …俺は、動かなかった。 魔理沙に抱きつき、泣きじゃくるフランドール。 誰もが、黙ってその様を見ていた。 「…で? 結局お前にとって魔理沙は何なんだ?」 俺を、除いて。 一つ、たとえ話をしよう。 あるところに、人形遊びの好きな子がいた。 その子は近所の友達とは遊ばず、いつも一人、家の中で人形達と戯れていた。 何故友達と遊ばないのか? そう聞いた大人がいた。 そうしたら子供は答えた。 「だって友達は都合が悪いと、私の遊びたいときに遊んでくれない」 「人形達なら、いつだって、私の好きな時に応えてくれる」 …そしてこうも言ったそうだ。 「人形達なら飽きたとき、いつでも自由に捨てられる」 …とな。 お前にとって、魔理沙は何だ? この話で言う、どっちにあたる? …そうか、ならいい。それならいい。 もう一つ、たとえ話をしよう。 もしも、魔理沙が不治の病にかかったら? それも、明日をも知れぬ命だ。 その病は、治すにはたった一つの方法しかない事が分かった。 例えばお前が血を吸って吸血鬼化したとしても、その病は治らない。 確実に、死ぬ。いや…消える。 魂をも蝕む、その病によって。 お前なら、どうする? そうだろうな。方法が一つなら、そうだろう。 だが、これには副作用がある。 これで助かった奴は、心が、死ぬんだ。 二度と自分から話しかけない。 二度と自分から笑いかけない 二度とお前に応えない。 魔理沙が、魔理沙じゃなくなるからな。 それでも、命を救うには、この方法しか、ありえない。 命をとるか、心をとるか。 お前なら…どうする? そうだな。 決められるわけが無い。 そういうものだ。それで正しいと思うよ、俺は。 …思うに、魔理沙も、それと同じ状態だったんじゃないか? …程度はどうあれ。 「どういうこと?」 「いやなに。たいした事じゃないがね…」 問いかけるフランに、俺は肩をすくめて言った。 「今回の事で分かったろ? 魔理沙は別に、お前の事をないがしろにしたわけじゃない。お前の事は、むしろ大事に思ってる。 …ただ、時間的な理由とかで、先に解決しておきたい事があったから、それを優先させただけでな」 「…」 「…もっとも、お前の言うとおり、その原因のほとんどは俺だろうがな」 「…」 大分彼女も落ち着いてきたようだ。話を聞く気になっている。 「例えば、パチュリーには会いにいったって話。あれは俺が頼んだ事なんだよ。…俺が外から来たって事は知ってると思うが、 外には妖怪の類なんていないからな、つまり当時の俺はなんら自衛の手段を持ってなかった」 「それで?」 「だから魔理沙に相談したんだ。保護されるだけじゃダメダメだろ? どうにか自衛の手段がほしかったんだよ」 「ああ、それで私はパチュリーんところに行ったわけだ。あそこなら資料に事欠かないしな」 そう魔理沙が肯定する。しかし彼女はまだ釈然としない様子だ。 「…でも、その後は? …魔理沙はあんたのところに通ってたって…」 「その事については俺もよく分からんが…想像はつく」 「どんな?」 「…お前さんは、俺があと1ヶ月と半月くらいで幻想郷(ここ)からいなくなるって知ってたか?」 「え!?」 …知ってるわけ無いか。号外で始めて俺のことを知ったようだったしな。 「つまり、外に興味を持っていた魔理沙が、俺から何らかの話を聞くには、急を要する必要があったんだ」 「…私に会うよりも?」 「お前らは、魔理沙さえ長生きすればそれこそ100年は会ったり話したり出来るだろ? 俺はそうは行かなかったんだよ。 …ここを出たら、基本的にもう二度とここに来る事は無いからな」 「あ…」 「あるいは…お前への土産話か何かにでもするつもりだったんじゃないか?」 「えぇ!?」 言われて彼女は魔理沙を見るが、魔理沙は応えずそっぽを向いた。 ただ、微妙に顔を赤らめ、さらにばつ悪げに頬を掻いていたので、割と彼女にはバレバレだった。 「魔理沙…」 フランドールの顔にやや明るいものが混じる。 …今のうちに言っとくか。 「…聞いた話じゃ、お前さんは500年近く地下にいたんだって?」 「え、あ、うん…」 「それだけ待ってやっと出来た友達なら、会えなくて寂しいと感じるのは当然だろうな…」 「…」 「…でもさ、逆に言えばそれは、500年近く『我慢出来てた』って事だよな?」 「?」 「確かに、友達の存在を知らないで過ごす500年は、知った上で待つ1年よりも過ごしやすいかもしれないが… 要は発想の転換だよ」 「発想の転換?」 「『自分は500年近く我慢出来てた。なら今更数ヶ月程度、我慢できないわけが無い』…とか」 「あー…」 「俺の件に限って言えば、『どうせあいつは後2ヶ月足らず、私と魔理沙は80年。今我慢したっておつりが来る』…とかな?」 「そっか…そんな考え方があるんだ…」 「すぐに出来るって訳でも無いだろうがな。おまえは別に一人って訳でも無いだろ? 姉貴がいる、メイド長がいる、門番さんに、 パチュリーや小悪魔たちも。みんなお前がつらいときに、きっと支えてくれるだろう面子ばかりだ。いつだって頼っていいんだ。 そう考えればもう1つ2つ、出来る我慢も増えるだろ。頑張れがんばれ…な」 「…うん」 …なんか、めっちゃ臭い事言った気が…まあいいか。 そう思ったのもつかの間だった。 「…○○が」 「ん?」 なにやら俺とフランドールを除く皆が驚愕の表情でガタブルしている。 なんだなんだ? 「○○が壊れたぁぁぁぁぁーっ!」 「上海蓬莱気を付けて! ○○が何かまともっぽい事言ってるわよ!?」 「えーと、この危機的状況を如何にかする方法は…」 「おい、無事か? 頭は大丈夫か? ちゃんとバカか?」 「○○! ○○しっかりして、ねえ!」 ……。 「お…お前ら…」 「○○、いいから落ち着け、今医者を連れてくるから!」 「永遠亭に連絡…いえ、精神科医はどこ!?」 「人形達を使って探してみる!」 「頼む、事態は急を要する!」 「○○~っ!」 「俺を何だと思ってるんだぁぁぁ~~~っ!!!!!」 あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 37です。 「3話目」、Fパート終了~。 Gパート…orz 何か○○が壊れてます。 今回はかなり来てます。 …ええ。最後のみんなのうろたえっぷりは私自身の心情です(マテ いよいよ次はGパート、第3話のエピローグに入ります。 長かった…! …Hパートだけはやらんぞ、絶対…。(超不安) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 霊夢もの第3話、最終Gパートです。 よ~やっと終わりました~! そういうわけでエピローグです。 ではどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「うー…」 どーも、○○です。 今動けません。 あの号外による大騒動からはや3日、神社の周りは平和そのものです。 騒動の反動だと思うと、何か微妙な気分ですが。 「あの後も急展開だったからなぁ…」 「いや、私達は真面目だぜ?」 「真面目すぎるくらい真面目よ」 「むしろあなたが不真面目ね」 「まあいつもの事だがな」 「だから落ち着いて? いつもどおりバカでいいのよ?」 「もういいよ…」 5人がかりでの暴言にさめざめと涙を流す。 何かもうどうでもいいや… 「あ…あは…あはははは!」 「?」 突然フランドールが笑い出した。 「フラン…?」 「あは、あはは、あははははははは!」 「…くっ…ふふ…」 「○○?」 「はははははははは!」 後はもう大爆笑。 みんな徐々に笑い出し、みんななんだかもう色々吹っ切れた感じだった。 「ほんとにごめんね、魔理沙も、○○も…」 「あー、まあ私があんまり会いに行かなかったのもあるからな、気にするな」 「こっちもいいよ、気にしてない。…ま、さっき話した事だけ、気に留めといてくれればいいや」 「うん!」 心底申し訳なさそうに謝るフランドールに、魔理沙と俺がそういうと、彼女はちょっと涙の残る、でも満面の笑顔で頷いた。 「フラン…」 「お姉様…」 そして向き合う姉妹。 本来なら地下に…そうでなくとも紅魔館の中にいなくてはならないはずのフラン。 本来なら、ここは無断外出をした妹を姉が叱る場面なのだが… 二人の間の空気は、とても穏やかだ。 「お姉様ごめんなさい。勝手に外に出ちゃって…」 「いいのよ、フラン。今回あなたは大事な事を学べたようだから。…でも、こんな無茶はもうこれっきりにしてね」 「うん!」 そんな、口調まで変わって…って、あれが地だしな。うん。 しかしまあ、変に威圧的な口調になるより、ああいうお嬢様然とした口調の方がよっぽど威厳を感じるのは何でかね? …あっちも地なんではあろうが…。 「それと…今日は結果オーライだからいいけど、どうせ殺るならもっと真面目に殺らないとどこまでも生き延びるわよ。 この人間生命力だけはゴキブリ並みだから」 「おーいこらぁ! こっち見ながら何不穏当な事唆しとるかぁ!」 いやマジ、縁起でもないから。 「うん、頑張る」 「そこは頑張るな~!」 「あははっ、冗談だよ、冗談」 「冗談に聞こえんて…」 思いっきり脱力する。勘弁してくれ… 「あははははっ! …じゃあお姉様、私、館に戻ってるね」 「ええ、そうしてて。私は後始末してくから」 「はーい! 魔理沙、またね!」 「ああ、また近いうちになー」 「○○!」 「ん?」 「今日はありがと…それじゃね」 「おう。じゃあな、フランドール」 「フランでいいよ。じゃ、また!」 「…ああ。またな、フラン!」 こうして、皆が見送る中小さな紅い台風はお家へ帰っていきました。 にしても… 「まさかとは思うが…おいちみっこよ、ひょっとして実はこの展開を読んでたんじゃないのか?」 「「「「はぁっ!?」」」」 突然の俺のぶっ飛んだ発言に、皆が驚きの声を上げてこちらを見る。 そんな中レミリアだけが、こちらを見ぬまま冷静な声で聞き返してきた。 「…どうしてかしら?」 「いや、なんとなく浮かんだだけだがね…。何かこう不意に、今までの騒動全部が、この瞬間のための布石であったかのように 感じられたんだよ」 …周りの視線が再びイタイものを見るものになってくる。 「あ、あんた…」 「いくら何でも…そこまで突飛な…」 「さんざバカ呼ばわりしといて今更常識求めんなよ!? …で、どうなんだ?」 俺の問いかけにレミリアは… 「さあ、どうかしらね?」 そういって、振り向きざまに片目をつぶり、笑いかけてきた。いたずらっぽい表情で。 「…まあ、いいけどな」 俺もそういって、話を終わらせた。 …って、あれ…? 「どうでもいいけど、フランが飛び出したときはまだ日が出てたよな? どういうわけか今回は平気だったが…もしもの事が あったらどうする気だったんだ?」 「あ…」 間抜けな声を上げて固まるレミリア。…おいちょっと待てまさか…。 「…考えてなかったのか?」 「あー…だ、大丈夫よ。読み取った運命じゃ大丈夫ってなってたし、うん」 「考えてなかったのな…」 それでいいのか、紅い悪魔。 そう、気が緩んだ瞬間。 「…あっ…だだだだだ…がっ…!」 今まで感じなかった全身の痛みが、一気に襲ってきた。 「お、おい○○、大丈夫か!?」 「大丈夫じゃないだろ。あれだけのダメージの上に、土の盾があったとはいえフランの魔法弾を直でくらったんだ。…骨の一つや 二つは砕けてるんじゃないのか?」 「な!?」 「レミィ、それホント!?」 「このクレーターが何で出来たと思ってる? 霊夢がカバーに入る直前まで、こいつは一人でフランと向き合ってたんだよ。 …どうやってか、レーヴァティンまでかわして」 「レーヴァティンを!? あの怪我で!?」 「あー…種明かしゃ簡単だぜ? あれは…。ただ穴掘っただけだし」 「穴? …ああ、なるほど…」 「まず、地面に倒れこむ。土の符の力で、自分の真下に、自分が入れるだけの穴を掘る。後は上に、土をかぶせる…これを大急ぎで やった。それだけだよ。…それだけしか出来なかったとも言うが」 「いや、無理するな!」 「いいから黙ってなさい!」 「うーい…」 言ってそのまま横たわる。 …いや、体勢的にはぜんぜん変わらんけど。 「とにかく医者を呼ばないと…永遠亭に…」 「いやその必要はない」 「レミィ!?」 「何で必要ないのよ!」 「何で咲夜がここにいないと思う?」 「え?…あ!」 「お待たせしました、お嬢様」 「待たせたわね」 「いや、いいタイミングだったよ」 そういって現れたのは、レミリアおつきのメイド長、十六夜 咲夜(いざよい さくや)。 そして、永遠亭に住む蓬莱の薬師、八意 永琳(やごころ えいりん)だった。 「…片足は第2度の火傷、両腕は筋肉がずたずた、さらに全身の骨が骨折もしくはヒビ…か」 「そんなにひどかったの!?」 「…よく今までしゃべったりとか出来てたな…」 「まあ、痛みとか感じてなかったからな…」 「それは痛みを通り越したって言うのよ…」 「あうあうあう…」 俺の発現に呆れ顔で言うメイド長と、何か壊れ気味の霊夢、つーか落ち着け。 「…ふう、どうやらあの号外、珍しく半分は本当だったようね」 「え?」 ため息とともにメイド長が聞き捨てならない台詞をはく。 待てメイド長それは禁句… 「だから、『霊夢と魔理沙と○○が三角関係になっている』って…あんたの心配ぶりなら、つまり半分は本当ってことでしょ?」 「…え?」 嫌ーーーーーーーーーー! 「え? だってあれって○○と魔理沙の…え? 私? え? あれ?」 「…総員、対騒音防御」 「畏まりました」 「了解」 「ほら、あなた達も」 「ハーイ!」 「ミザルイワザルー」 「消音結界準備OK…」 「よし、いつでもいいぜ」 いや、俺動けないっすから! 耳塞げないっすから! ざんねーん! 「な…何よそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!?????」 …そして、霊夢の絶叫を最後に、俺は意識を失ったのだった…。ちゃんちゃん。 「全く、何で私があんたなんかと…」 ここ最近の霊夢の口癖となりつつある台詞。 顔で苦笑(わら)って心で泣いて、俺はその台詞を聞き続けている。 「…ほら、あーん」 「あー…まぐっ」 今食べさせてもらってるのは永琳先生特製レシピによる薬膳粥だ。 どーもよく分からんが、このお粥をちゃんとした栄養と一緒に食べていれば回復が早まるらしい。 つくづく天才って…と言うか幻想郷ってすごい。下手なギャグ漫画なら再現できるぞ、この調子じゃあ。 …現実に俺がそういう状況っぽいし。 「晒し者にはなりたくなぁーーーーーーい!」 「黙って食べる!」 「はい…あーん」 何で食べさせてもらってるかって? だって俺今両手使えねーもん。 今回の件で、何だかんだと言っても多大な迷惑をかけたということで、アリスとパチュリーが正式に謝ってきた。 別にいいとは言ったのだが、向こうが納得してくれなかったので、交換条件を出す事にした。 今回散々お世話になったカードのバージョンアップをお願いする事にしたのだ。 ボロボロになったり、行方不明になった木刀とかの代わりを…というのも考えたが、彼女らの得意分野を考えてそっちの方にした。 フランも謝ってきたが、あれはあの時決着が付いたという事でOKということにしたので、とりあえずは、『彼女を愛称で 呼ばせてもらう』というので納得してもらった。 レミリアに関しては…ノーコメントの方向で。 むしろ世話になった永琳さんのほうは、俺の治療のために新しい調合で薬を作ったそうなので、その試用経過をレポートにして 出してもらえばいいという事だった。 …で、残った霊夢に関しては… 「ほら、こぼれてるわよ!」 「あ、すまん…」 「全くもう、世話が焼けるんだから…」 …という感じで、俺の世話を焼いてもらっているのである。 「しっかし、あれだけの怪我が完治まで1週間強とは…常識を疑うよ。全く」 「あの薬師はそこらへんがとんでもないからね…まあ、リハビリやなんかもあるから、もうちょっとかかるだろうけど」 「それでも十分すごいよ…っと、ご馳走様」 「はい、お粗末様」 かちゃかちゃと食器を片す音。 こういう時って、あの台詞が似合うよな 「いつもすまないねぇ…ケホケホ」 「『そんな事は言いっこなしよ』…とでも言ってほしいの?」 ジト目で返された。いいじゃんか、暇なんだから。 「こっちは忙しいの。あんたがいない分仕事は増えるし、あんたの世話でさらに増えるし。全くなんで私がこんな…」 ブツブツ言う霊夢。うう、面目ない。 「全く、早く良くなって、少しは手伝いなさいよね」 「うい~っす」 努力します。 「じゃあ、私は片付けとかがあるから」 「うす」 そういうと霊夢は、食器を持って出て行った。 …さて、暇だ。 「…とっとと出てきなさい、萃香」 「なに~?」 目の前に小さな娘が現れる。 その頭には立派な角。 幻想郷でも見かけなくなったという幻想のきわみ…『鬼』の伊吹 萃香(いぶき すいか)だ。 「ちょっとあんたに言っておきたい事があってね」 「ん~?」 聞いているのかいないのか、いつでも酔っ払っているこいつは、その赤ら顔でフラフラしながら、台所へ向かう私についてくる。 「…で? なーに?」 食器を水桶に付けてすぐ、萃香が聞いてくる。 私は戸棚に向かいながら、話を切り出した。 「あんたでしょ? 家に届いた号外を隠したのは…、それも、ひょっとして紅魔館に届けなかった?」 「え?あれ? あー…ばれた?」 失敗しっぱい、とばかりに舌を出す萃香。 『ばれた?』じゃないわよ… 「あんたね、そのおかげでとんでもない事になったんだから…分かってんの?」 「えー? でも面白かったし…それに霊夢もまんざらじゃなかったんじゃないの? あいつの世話して」 「どこが? めんどくさいだけじゃない! あいつってばちょっと目を離すとすぐ無茶して怪我して、ちょっとは大人しく してるかと思ったら今度は食事やら何やらでいちいち世話が焼けるし! ホント私が見て無いとダメダメなんだから!」 「…ラブラブじゃん…」 …プツン 私はあるものを戸棚から探し出す。 こんなときのために常備しておいたものだ。 散々引っ掻き回してくれた上に、ここまで事実無根な事をのたまってくれたお礼は… 「たっぷりしないとね…フフフフ」 「霊夢? …それ…!」 取り出した『それ』を、入れ物である枡から一掴み取り出す。 萃香の顔が瞬時に真っ青になる。 私は『それ』を振りかぶり… 「私とあいつは…」 「ちょっとまって霊夢! 落ち着いて! お願いだからそれだけは、ね!?」 「何でもっ!なあぁーーーーーーーーー一い!」 「痛ーーーーーーーーーっ!!!!」 「…なんか、季節はずれの節分に泣く鬼の声みたいな悲鳴が…」 「ぐ、具体的ですね…」 俺もそう思う。 「…で? 何の用なんだ? このデバガメ天狗」 「デバガメって…取材活動と言って下さいよ」 そう。俺の部屋には来客がいた。 霊夢を通してって訳ではないようだが…いいのかね? まあいいけど 客の名は射命丸 文(しゃめいまる あや)。 鴉天狗にして、『文々。新聞』の記者。そう、件の号外を書いた、迷惑の張本人だ。 「お前の『真実の号外』とやらで俺がどんな目にあったと思ってるんだ? …この程度ならまだましだろ」 「うう…それを言われると弱いです…」 「で? 用件は何なんだよ」 「あ、はい。今回、私の号外が原因で大怪我をさせたようなものなんで、一言お詫びに…と」 「ほー」 なかなか殊勝な心がけだ。 …本当にそれだけなら。 「で、他には? 今なら気分がイイから(←注意)、質問くらい答えてやれなくも無いぞ?」 「本当ですか!? いえ、実は今回の大騒動の渦中の人に、この件の感想をぜひ聞かせていただきたいと…」 …判決、有罪。 「…雷って、さ」 「…はい?」 「空気を裂いて大地を穿つもの…なんだよな」 「はあ、そうですね…」 「そう、空気を、裂くんだ。…風とか、風とか、風とか」 「あ、あの…?」 「他にこうも言うよな、悪い事をした子が怒られるとき、『雷が落ちた』…って」 「えと…」 「あのね文さん、俺、今体は動かないけど、『イメージだけなら出来るんだよ』」 「……(汗)」 「さて、問題です」 「な、何でしょう?」 「騒動の原因と思しき人が、謝罪にかこつけて全く反省していないと自ら暴露するような行動を取った時…渦中の人はどんな風に 思うでしょう?」 「……(滝汗)」 「今日は日本晴れかぁ…。こういう日に落ちる雷を『青天の霹靂』って言うんだって?」 「あ、あの、私急用を思い出したので、これで!」 言うが早いか、外へ飛び出す文。 しかしあわてているのか、襖やらなにやら閉めずに行って、結果部屋から飛んでいく彼女が丸見えだったりする。 対するこちらはあわてず騒がず、『すでにイメージから何から準備完了状態の』雷符に意識を向ける。 …エネルギー全使用、充填率120%。 後はただ一言、『キーワード』を呟くだけ 「…『落雷(ヴォルク・タン)』」 どごぉぉぉぉぉぉん!! 「あ~~~~~~…」 …復讐、完遂。 「いい空だ…寒いけど」 世は全て事もなく、本日は、晴天なり。 あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 37です。 「3話目」、Gパート、そして全パート、終・了! 長かった…。 でもHパートはやらんで済みました…。 ちなみに、最後に○○が呟いた『キーワード』は、とあるTRPGの同名の魔法から取りました。 何か使ってみたくなったもので…。 まさかここまで長引くと思いませんでした。本当にきつかった。 書いてて楽しかったから良いんですけど、途中どうつなげようかとか色々悩んでかなり参りました。 後半はなんだか強引とも言える展開で、好評をいただいた前半部に比べてどうだろう? とかかなり不安です。 楽しんでいただけるといいのですが。 第4話は予定では5話との前後編もの。今回よりさらに長くなるだろう事が今から予想されます。 詰め込む癖を如何にかしないと…orz では、またいずれ。 359 備考:激しく続きキボン! ─────────────────────────────────────────────────────────── 「霊夢…」 「ん……」 霊夢の細い身体をしっかりと抱き締め、柔らかな唇を奪う さらりとした黒髪を弄りながら、舌を滑り込ませて吸上げる 「ん~~」 声にならない声を挙げるも、悦に浸ってるのか抵抗の様子は無い 「ぷはっ……」 息が苦しくなりそうなところで、糸を引く唇を離す 「ちょ、ちょっと……新年の挨拶ぐらいできないのあんたって人は」 ぶぅ、と紅い頬を膨らませながらの抗議 「おお? 挨拶なら今しただろ。俺はどうも定型の挨拶が嫌いでな。一年で最も白々しい一瞬と言っていい」 「もう……莫迦…」紅潮しつつ微笑を浮かべる霊夢。嫌がってるようには見えない そう、今は午前零時──新年を迎えた丁度その時である 「それでだな…」 上着のポケットから小さい包みを取り出し、霊夢に差し出す 「これ、受け取ってくれないか。クリスマスの代用って言っちゃ何だけどな」 「え……いいの?」 如何にも期待感満々な笑みを浮かべ、包みを開ける霊夢 「あ……」 淡いピンク色のリボン。霊夢の知己だという古道具店で偶然見つけたものだ 霊夢は物思いに耽るかのようにそっと目を閉じる 「ありがと……大切にするわ」 身体を寄せてくる霊夢を、優しく抱き締める。互いに無言のまま、しばし静かな時が過ぎていく 就寝の準備をすべく布団を敷く 厚手の式布団に、毛布、柔らかい掛布団。これなら寒くは無いだろう 後は等身大の霊夢抱き枕でもあれば、朝をも忘れる夢心地に間違いは無いが、無いものは 仕方あるまい 横になり、毛布に包まった時、静かに襖が開いた。隣部屋の霊夢が顔をのぞかせる 「…ねぇ」少しの沈黙の後、もじもじとした様子で霊夢が切り出す 「ん?」 「……一緒に、寝ていい?」 ドキン、と俺の心臓は早鐘のように鳴り始める 「あ、ああ…構わないとも」 返事をする前から霊夢は一方的に布団に入ってくる 「左腕、横に出して」 霊夢の求めに応じ左手を伸ばすと、霊夢は頭を乗せて枕代わりにする 「腕枕なんて…迷惑かしら?」 「…別にいいさ。おやすみ、霊夢」 「はい、おやすみなさい」 聞こえるのは冷たい風の音と、軽やかな彼女の寝息 冬の静かな夜は、時間まで積もる雪の中に埋没してしまったのだろうか 左腕は肘の先からもう感覚が薄れ、手の部分が完全に冷たくなってしまっているのがわかる 腕が壊死するとはこういうものなのだろうか だが、眠れない原因はそれだけではあるまい 自分の愛した少女が、真横で無防備な寝姿を晒している 霊夢と恋人関係になってからまだ日が浅い。同じ布団で寝るのも今夜が初めてだった なのに、霊夢は── …何とも思っていないのだろうか? …信頼してくれてるのだろうか? ……全てを承諾しているのだろうか 俺の中で、暗い何かが燃えあがる ──我慢できない 霊夢の身体を求め、空いてる右腕を差し出した時 「○○……」微かに聞こえる、自分の名前 その一言ではっと我に返る 寒いのか、霊夢は寝返りをうつと背中を丸めて布団の中に潜り込む 起きてしまった様にも見えたが、またすぐに軽やかな寝息を立てる 自分のことを──夢見てくれている 俺は拘束の解けた左腕を布団に入れる。暖かい毛布と冷たい手で奇妙な感覚を覚える 空が白み、部屋の中が少し明るくなったように感じる 「おやすみ…」小声で、そっと囁いた ──寒い 身を切るような冷たさに思わず目を覚ます 隣にいるはずの霊夢の姿は無い。もう起きているのだろう 懐中時計に目をやる──九時 霊夢は寝坊に煩い。正月から怒鳴らせるのも嫌なので起きる事にする 襖を開けると、部屋には紅の大輪が咲いている──紅白では無く、紅い着物姿の少女がそこにはあった。頭の上には淡いピンクのリボン── 霊夢は俺の姿に気づくと、振り返って膝を正す 「明けましておめでとう御座います」霊夢は手を畳に置き、深々と礼をする。普段からは想像 の付かない可憐でおしとやかな姿に、思わず目を奪われる 「あ、ああ…おめでとう」眠い目を擦りながら、返事を返す 「お雑煮、出来たわよ」はぁ、と霊夢は溜息を付きながら促す 外は昨日から変らず大雪。正月としての風情など何も無い だが暖かい雑煮を食べ、甘酒を口にすると正月らしい気分にはなった だが睡魔には勝てそうも無く、盛んに欠伸が出ては涙目を擦る 「何であんたそんなに眠そうなのよ」 誰のせいだ、とも思った 「霊夢こそ、よく寝てたな…」 「おかげさまで、ね」 「うー……」 満腹になり、酒が入ったせいだろうか。急激に眠気が襲ってきた 「ここで寝たら風邪引くわよ。ちゃんと布団で寝なさい」 「うーん、正月の昼から寝るなんて何か申し訳無いんだよな」 「まぁそうだけど…こんな大雪じゃ誰も来ないわよ」 確かにそうだろう。今日は誰もがこたつむり化してるに間違い無い 「腕……痛かったでしょ」 「あぁ…」 ちゅっ、と唇が触れ合う 「おやすみなさい。今度はいい夢見てね?」 「物足りないな。また添い寝でもしてもらおう」霊夢の腕を引っ張り、寝室に連れ込む 「も、もう……着替えるの時間かかるのに……」 布団の中でお互いに寄り添う。寒さを凌ぎ、互いに確かめ合うように 「さっき、言い忘れちゃったわ」 「ん?」 「今年も…宜しくお願いします。って」顔を赤らめながら微笑を浮かべる 「いや…今年からだ」華奢な身体を壊さぬように抱き締める。 「霊夢……俺……お前が……」 霊夢は一瞬驚愕の表情を見せるが、俯くように小さく頷く 「うん……」 その言葉を聞いた途端、俺は半ば飛び掛るように霊夢の唇を奪う 忘れることの出来ぬ、記念すべき新年が幕を開ける 363 ─────────────────────────────────────────────────────────── 霊夢「あけましておめでとう」 ○○「おめでとうございま~す」 ○○「新年を迎え、心機一転の幻想郷」 霊夢「今年もよろしくお願いします」 ○○「さて、年をまたいでなんか書いてみようと頑張ってみる件、正しくはなぜか俺達に代理でしゃべってもらおう企画。後半になりましたが…」 霊夢「何しようかしらね」 ○○「…は?」 霊夢「考えて無いらしいのよ、どうも」 ○○「うちの作者って…」 霊夢「行き当たりばったりよねぇ…」 霊夢「とりあえずSSの感想をば」 ○○「 363氏の霊夢もの~」 霊夢「…(真っ赤)」 ○○「…(真っ赤)」 霊夢「…○○?(もぢもぢ上目遣い)」 ○○「だめ(真っ赤)」 霊夢「…なんで?(涙目)」 ○○「絶対理性がもたないから」 霊夢「うー…(しょんぼり)」 ○○「というか今仕事中だし、ね?」 霊夢「うん…」 ○○「… 363氏、GJ! …しかし、なんだかこっちめちゃくちゃあてられて…。あー、顔が熱いっす(真っ赤)」 霊夢「これからの暮らしのいいお手本として、参考にさせていただきます。あの…ありがとう!(真っ赤)」 ○○「新年早々出勤という事で、ご苦労様です」 霊夢「お仕事頑張ってね!」 霊夢「…後で添い寝、絶対添い寝(耳うち)」 ○○「マジ?…って言うか、マイク音ひろってる、音ひろってる!」 霊夢「え!?え、あっ…あう…(さらに真っ赤)」 ○○「あはははは…(汗)」 霊夢「う~!(コタツもぐりこみ)」 ○○「って、おい、恥ずかしいからってコタツの中なんかに入ってどう…何やってるか中でぇぇぇっ!?(混乱)」 (しばらくお待ちください) 霊夢「…っぷはぁ!(飛び出し)」 ○○「…またこうなるのかよ…(げっそり)」 霊夢「だって私達の場合これが基本だもん(ぬくぬく)」 ○○「…また四十八手がどうとか言われるぞ?」 霊夢「いいの! あったかいから」 ○○「……あ~、何か続行困難になってきました。まことに勝手ながら、この辺でお開きに…」 霊夢「え? 続けないの?」 ○○「ネタも無い上にこの体勢でどうやって?」 霊夢「む~…しょうがないか」 ○○「 365(95)氏もあけましておめでとう! あなたにもいい年でありますように!」 霊夢「まとめ人さんもおめでとう! 今年もよろしく!」 ○○「 368氏、 369氏、そして職人の皆さん、ROMの皆さん」 霊夢「改めて…」 ○○&霊夢「あけましておめでとう! 今年もよろしくお願いします!」 ○○「じゃ、初詣に行くか」 霊夢「すぐそこだけどね(べったり)」 ○○「……」 ○○(何でかな?急に「にわやえ」なんて単語が浮かんだ…) というわけで、今年もよろしくお願いします。 今回の実験・・・・・・・・・・多分失敗 370 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「・・・・・・ぅん?」 「おはよう、○○」 「ああ…おはよう、霊夢」 「○○ってホントに朝は弱いのね。正月だからって寝過ぎはよくないわよ」 「いやぁすまん。早起きってのはどうも苦手で…」 「そういえば霖之助さんの所で読んだ本に、朝早起きが出来ない人っていうのは血行が悪い、 って書いてあったわよ」 「へぇ、そーなのか。・・・・・・だからって霊夢…」 「電気アンマはやめてくれよ・・・・・・」 朝の血行(一部)良好 博麗神社の元旦はとても静かだ。普通の神社で見かける人ごみや四方八方から投げられるお賽銭やそれを狙う賽銭泥棒 なんてのは霊夢にしてみたら幻でしかない。もしかしたら霊夢の幻想が現実世界で具現化しているのではないかと思って しまうほどである。そんな中、俺と霊夢は… 「やっぱり正月の朝はお雑煮よねぇ」 「こたつに入りながら喰う雑煮は黄金の組み合わせだよな。これで鶏肉がはいってりゃ文句無しなんだが…」 「文句があるなら食べなくていいのよ(怒」 普通に朝食をとっていた。 「幻想郷で過ごす初めての正月がこんなにもダラけたもんだとはなぁ。(ゲップ)」 「あら、これが普通よ。それとも私と過ごす正月はそんなに退屈?」 「滅相も無い」 俺がこの幻想郷に迷い込んで初めて会ったのがこのぐうたら巫女、霊夢だった。 深い森の中で危うく妖怪の餌になる寸前に助けられたのだ。 その後帰る当ての無い俺に霊夢は人間の里なら自分を保護してくれるだろうと教えてくれたが 助けてくれた恩ぐらいは返したいと言う俺に霊夢は 「じゃあウチの家の手伝いでもしてもらおうかしら」と行った。 そんなんお安い御用だっつ~の、とそのときの俺はやる気マンマン男、略してマン男だった。 が、しかし。 初の宴会手伝い、妖怪だらけの面子に終始ビビリまくる。興味本位で剥かれそうになるので全力で逃亡。 洗濯物を取り込んでいるところをパパラッチ天狗に隠し撮りされ、新聞に『下着ドロ、白昼堂々の犯行!!』と書かれる。 霊夢やその他の幻想郷住民から半殺しに会う。全治一ヶ月 二回目の宴会手伝い、流石に周りの面子にも慣れてきたので親睦を深めようと試みる。ちっこい鬼の女の子に力試しと して腕相撲を申し込まれる。全力を出すも見事に完敗、そして脱臼。全治五日 ここで生き抜くには力が必要だと思い白黒魔砲使い魔理沙から弾幕ごっこを学ぼうとする。勉強するより体で感じた方が 飲み込みも早いだろうと言われ初っ端からまさかの実戦投入。アステロイドベルト(Luna)を時間一杯避け続けろと言われ るが開始十秒で被弾。魔理沙の持っていたポ○の油で事なきを得る。 三回目の宴会手伝い、おもちゃ扱いされることも無くなりほぼ全員と交流をもてるようになる。突然幻想郷のえらい方で ある紫さんにお酒を勧められる。断るわけにはいかないので一杯頂く。しかし、飲んだ酒は『ニコラシカ』だったので 失神しそうになる。なんとか踏ん張ってみたものの健闘虚しく倒れてしまい、しかも運悪く霊夢の上に倒れこんでしま った。その後どうなったか覚えていないが、気づいた時には永遠亭の診療室の中だった。全治三ヶ月 「いやぁ、よく今まで生き延びれたよな、ホントに」 今までの事を振り返ってみたら不意に涙がこぼれた。 「全くだわ。どんだけあたしに迷惑かけてきたと思ってるのよ」 「そう言われてもなぁ…。でも家の事や宴会の手伝いなんかは一生懸命やったつもりだよ」 「それはあるはね。おかげで私の心にも少しはゆとりってものができたもんだわ」 「それ以上ゆとりを持ってどーすんだ…」 霊夢の言葉を聞いてふと考えた。 俺はまだ霊夢に全ての恩を返せてないのかもしれない。と、言うより助けてもらった後の方が迷惑かけた量が半端じゃな いだろう。そう思ったら何かせずにはいられない。 「なぁ、霊夢」 「んっ…何?」 「俺に何かしてもらいたいことって、ないか?」 「…えっ?」 霊夢は少し驚いた顔をした。 「俺は霊夢に助けられてその恩を返すためにここでお世話になってる訳だろ?でも実際は恩返しするどころか迷惑かけてる ことのが多い。だから少しでも多く霊夢のためになることがしたいんだ」 「・・・・・・」 俺が自分の気持ちを伝えると霊夢はうつむいてしまった。 「あれ、霊夢?どうした?」 呼びかけに答えない。 (あっれ~、何かまずいこと言っちまったか?それともまるで役に立たないダメ男、略してマダ男がなにでかい口きいてん だよ!なんて怒ってんのか?やべぇよ新年早々永遠亭でご厄介なんて洒落になんねぇぞオイィィィ…) 頭の中で様々なBADエンディングを思い浮かべていると霊夢が不意に口を開けた。 「・・・・・・何でも・・・・してくれるの?」 いつもの霊夢の口調ではない。 「えっ…?あ ああ、何でもしてやるよ」 心なしか少し顔が紅くなっている。 「えっとね・・・・・実はさっきから・・・・・お願いしたいことが・・・・・あってね・・・」 今の霊夢からは普段では想像できないほどの恥ずかしがってるオーラが出ている。そんな霊夢を目の前にした○○は (ちょっ…なんだこの空気?霊夢もありえないぐらいモジモジしてるし…。も、もしかして霊夢…俺と××したいとか言う じゃ…。いや、××だけでなくもっとディープな△△や目も当てられない様な☆☆なんかも…挙句の果てには二人揃って X・Y・↓・↑なんて決めてみたり!?ウッヒョホーイ!こんな異郷で正月の昼間からハッスルできるなんて!夢なら覚めんといてー!!) 一瞬にして頭の中が春一色になってしまった。妄想が音速の速さでひろがっていく○○に霊夢は言葉を続けた。 「・・・・じゃあ・・・・おねがいしても・・・・いい?」 「お、おおおおオッケイぃい!何でもよござんすよ!」 満面の笑みで霊夢の願いが告げられた。 「境内のお掃除、よろしくね」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「あ~~~~~、さぶい~~~~~」 霊夢からの死の宣告をしっかりと受け止め、○○は雪の積もった境内を黙々と掃除していた。 「はぁ…期待を大きくしちまった分現実を受け止めるのが重くなっちゃったなぁ。ってか霊夢もなんであんな思わせぶりな 表情するんだよ…」 多少の愚痴を吐きつつも自分で言い出したことなので○○は手を止めるはけにはいかなかった。かじかんだ手さすりながら掃除していると遠くの方から何か飛んできた。 「おぉ~、年明けからしっかりと雑用してるなんて偉いもんだな」 「そりゃどうも。初詣だったらそこの賽銭箱に…」 「私がそんな金持ってる様に見えるか?」 「…見えないな」 今年一番の参拝客(?)、霧雨魔理沙は新年の挨拶に来たのだが、当の霊夢はこたつの中で熟睡していたので 掃除中の俺の話し相手になってくれた。(もちろん掃除は手伝わない) 「それにしても…」 「ん?何だ?」 「良くもまぁこんな家事手伝いを続けてるよなぁ。嫌になったりしないのか?」 魔理沙が呆れ口調で尋ねてきた。 「んな訳ないだろ。俺は好きで今の事を続けてるんだからな」 「なるほどな、真性のマゾヒストってヤツか」 「断じて違う!」 「ジョークだぜ、ジョークw」 こんな会話を続けながら掃除も半分は終わってきた。だいぶ疲れもでてきたので少し休むことにした。その休憩中に ○○は魔理沙にある事を尋ねた。 「なぁ魔理沙、一つ訊いてもいいか?」 「私のプライベートなことについては一つも教えられないぜ」 「そんなこと訊かねえよ…。・・・・霊夢って、俺のことをどう思ってんのかな?」 「ハァ?」 「あ、いや、そーゆう意味じゃなくって…。俺って霊夢の役に立ってるのかなって思って…」 「お~お~、そっちか。・・・・ヌフフ・・・・なるほどねぇ」 「な、なんだよ?なるほどって…」 「いやぁなに、こっちの話だ。まぁ率直に言うとお前が霊夢の役に立ってるかどうかなんて知らんよ」 「…そっか」 魔理沙の口からは気の利いた言葉など微塵も出ず、○○は落ち込むしかなかった。 「オイオイ、何を柄にも無く落ち込んでるんだ?」 「いやぁ、俺だってナイーブな一面もあるんだよ…」 「何言ってんだか。・・・・ん、そーいえば…」 「何だ!?霊夢が何か言ってたのか?」 つい声を荒げてしまい魔理沙も少し驚いてしまった。 「おおぅっと、まぁ落ち着けって。別に何か言っていたわけではないさ。ただ…」 「ただ?」 「少しだけ、変わった気がするな」 変わった?あの霊夢が? 「俺からしてみれば幻想郷の住人はみんな変わってると思うんだが」 「私は普通だぜ、ってそういう意味じゃない。○○が来てから霊夢の性格は変わったと思うんだ」 「へぇ。どんな風に?」 「今まで霊夢は周りの奴に対してもの凄く無関心だったんだ。それが最近じゃお前に対しては何かと口を挟むようになった」 「それは俺がへまなことばっかしてるからだろ」 「単にそれだけじゃない気もするがな」 「どういうことだよ、それ?」 「要するにだな、お前の存在が霊夢にとってマイナスなわけじゃない、ってことだな」 「・・・・・そっか・・・」 どこをどう要したのかわからないが、それを聞いて○○は少し安心した。 「さてと、私はそろそろ帰るぜ」 「ん、霊夢に会わなくていいのか?」 「私が挨拶に来たことを言っといてくれればいいさ」 「おう、わかった。伝えておくよ」 そのまま魔理沙は俺に背を向け、片手をヒラヒラ振って少し日の落ち始めた空を音も無く飛んでいった。 「さてと、残りを片付けっかな」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 日が全て落ちる前にやっと境内全体の掃除が終わった。 「くっはぁ~、やっと終わったぁ…」 この境内では雪かきから始まり濡れた落ち葉をかき集めるという作業がとても重労働に思えた。 「こんな地味に疲れることを霊夢はずっと続けてきたのか…。ほんと、霊夢には頭が上がんないよなぁ」 あまりにも周りが静かなのでついつい独り言を始めてしまった。 「しかもこの境内をずっと一人でだもんな。こんなのしょっちゅうやってたら発狂するよな、俺だったら」 自分で言ったことに笑っている内に一つだけ気づいたことがあった。 「・・・・・ずっと・・・・・一人で?」 少し前に魔理沙から聞いたことがあった。自分と霊夢は昔からの付き合いではなく知り合ったのもここ何年か前なのだと。 魔理沙に限った話じゃない。今の宴会に集まる人たちだってほとんどがそうだ。 「俺がここに来るずっと前から、霊夢は一人でここで生活してて、妖怪退治にいって、冬になったらこんな風に雪かき して…、何年も続けてきたんだろうな…」 そう考えたら少し胸が苦しくなった。 「・・・・もっと頑張らないとな」 「何を頑張るの?」 「ぬおぁっ!」 ちょっとした決意表明の直後、背後から聞こえた声におもわずみょんな悲鳴を上げてしまった。 「れ、霊夢?いつからそこに?」 「『こんな風に雪かきして…』からだけど」 「そ、そっか…。すぐに声かけてくれればいいのに」 「だって、ブツブツ独り言いってるもんだから、さすがに躊躇しちゃったわよ」 「あぁ、それもそっか…ごめん」 「別に謝らなくても…。まぁいいわ、お掃除お疲れ様。お風呂沸いてるわよ」 「うん、わかった…」 そう返事すると霊夢は「体冷えきっちゃうわよ」と言って家の中に入ろうとした。 「・・・・・なぁ、霊夢」 霊夢は歩みを止め振り返った。 「ん、なあに?」 「今まで俺は霊夢に色々と迷惑かけたり、その度に助けられてきた。たぶん、というか確実にこれからも色々と霊夢の手を 焼かせるようなこともあると思う。…でも」 霊夢は何も言わずに立っている。 「いつか・・・・いつか霊夢を心から支えられる男になりたいって、決めたんだ。 だから・・・・・今年も・・・・・世話になってもいいか?」 自分の今の気持ちを伝い終えた。お世辞にも良い言葉だとは言えないだろうし、他人からしてみればとても安っぽい言葉かも しれない。だけど、これが今の自分の本当の気持ち。 「・・・・・・・霊夢?」 「・・・・・・・・・・・・フフ」 少し間を空けてから不意に霊夢は笑い出した。ギャグを言ったつもりじゃないのだが… 「なっ…何で笑うんだよ!」 あんな事を言った後に笑いが起こると流石に恥ずかしくなってきた。 「あ、ごめんなさいね。新年の挨拶にしては凄く真剣な感じがしたもんだから、ついね」 「…そーですか」 一気に体から力が抜けていくのがわかった。 「あぁ~、ま~そーいうわけだから。んじゃあ俺は風呂に入らせてもらうよ」 そう言って霊夢の横を通り過ぎ母屋に向かおうとした。 「一つだけ・・・・訂正さしてくれない?」 後ろから霊夢の声がした。振り返ってみるとそこにいる霊夢の顔が 今まで見たことの無い、とても優しく、人懐っこい笑顔をしていた。 「『今年も』じゃなくて・・・・・『これからもずっと』よ」 後書き===================================================================================================== ども、328でっす。石は投げないで下さい… 今までは皆さんの勇姿を遠くから見ていただけでした。 しかし!多くのすばらしい作品をみるたびに自分の妄想が膨らんできてしまい、 やっとこさ吐き出す決心がつき、今回は投稿させてもらいました。 初めてSSを書いたもんですからおかしい部分も多々あると思いますが… いやぁ37氏や363氏の様に甘さ全開には書けませんでした! 甘さ控えめな上に微妙なネタを盛り込んでしまい、なんともしょっぱいものになってしまいました。 このSSを見てほくそ笑んでくれたら幸いです… おまけシナリオ============================================================================================= 「う~寒い。早く暖まらんとな」 震える体を抑えて風呂場へと向かう。 「ほら、風邪ひかないうちに早く入っちゃいなさいよ」 「はいはい。…何か霊夢ってお母さんみたいだよな」 そう言うと霊夢の顔が少し紅くなった。 「な、何変なこと言ってんのよ…」 「いやぁさ、子供の頃にも母親から同じようなこと言われた気がするんだよ。 今日みたいに家の周りが雪でいっぱいで、子供にしたら最高に遊べる環境だったんだよ。」 霊夢の表情もすぐに元に戻って、俺の話を静かに聴いてくれている。 「夕方遅くまで友達と遊んで家に帰るとさ、母親が今みたいに風呂沸かしてくれてるんだよ。 そういえば子供の頃は母親と一緒に風呂入ってたな。いや、ホント子供の頃だけだぞ。 で、俺も背中とか流してもらったけど、あれはよかったな。人に背中を流してもらうのってなんかスゴク気持ちもんだと 思うんだよ。霊夢もそう思わないか?」 そう言って振り返ると霊夢はいつもより少し真剣な顔をしていた。 「アレ?…霊夢?」 「・・・・・・・・・・・わかったわ」 一言そう言うと霊夢は家の奥に歩いていった。 「え、何だ?…わかったって…何を?」 カッポ――――ン そんな音が今にも聞こえてきそうだ。○○は湯船に肩まで浸かって考えていた。 「むぅ~~~、霊夢のやつ、何がわかったていうんだよ?いきなり俺が母親の話を始めたから俺をマザコンだと思ったのか? いやいや、そうだとしたらまずいぞ…何がまずいか自分でもわかんねぇけど」 などと自問自答していると戸口の方から声が聞こえた。 「○○ー、湯加減どう?」 「おーう、バッチグ~だぞ」 「そう?それは良かったわ。・・・・・じゃあ、入るわよ」 「どーぞー・・・・・・・ってオイ、入るって…」 と、ツッコミをいれようと戸口の方に顔を向けた。 カララッ 乾いた音と共に戸口が開き、湯煙の向こうに霊夢の姿がぼんやりと見えた。その霊夢の姿は… 「れ、っれれれれっれりえれっれ・・・・れいみゅ?」 「何?どうかした?」 バ ス タ オ ル 一丁! 「ちょっ…おまっ……何してんの!?」 「何って…背中流してあげようと思ったんだけど」 「えっ?・・・・あっ!わかったって、そっち!?いや、でも、あれは、こーゆーいみでいったわけじゃねぇんだげど…」 「何ワケのわかんないこと言ってんのよ?…ほら、はやくしなさいよ」 「え、ちょ、ちょっと待っ…」 今、俺はとんでもない状況に陥っている ある意味生命の危機 しかし 人生で初の女の子との入浴イベント 天国か地獄かを決める唯一の鍵は 俺の理性 「どお?背中痛くない?力強すぎたりしないかな?」 「いえっ丁度いいっす…」 「でもやっぱ男の人の背中って大きいわよね。洗い甲斐があるってもんだわ」 「そ…そうかな?」 頭の中に浮かんでくる卑猥な考えを押さえつけるのに必死で、霊夢の言葉に相槌を打つのはやっとのことだった。 (やばいぞやばいぞやばいぞ…。今まで生きてきてこんなにおいしいイベントは初めてだ…。だがもしここで自分の 欲望にかられたら、それこそ幻想郷住人からは女の敵とみなされLWの雨あられ、死んだところで三途の川はあの 巨乳死神に渡してもらえないだろうし、裁判長にはラストジャッジメントで消し炭に…チクショーこんな所で輪廻 の環からはずれてたまるかっつ~の!でもどうせなら死ぬ前に間近に霊夢のバスタオル姿を脳裏に焼き付けてやろ うじゃないか!いよっしゃ~見るぞ、見てやるぞ!ビビッタリなんかするもんか!) チラッ ←ビビリ 「・・・・・・・・・・」 初めて見る霊夢の素肌は、外で見た雪よりも一層白くて、スラッと伸びる手や足はいつも見せる力強い弾幕ごっこ をやってのけている姿からはとても想像できないほど華奢なものだった。 (そして、このバスタオルの下には、まだ俺の知らないもう一つの幻想郷が…) 「・・・・・・・・あっ!ちょっと○○!」 「えっ?あぁっ!!ごめんなさい!別にそういう意味で言ってみたわけじゃn」 「何ワケわかんないこと言ってるのよ!?それよりも鼻血出てるじゃない!」 「え?あ、ホントだ…」 漫画のキャラかよ…俺… 「一体どうしたのよ!?もしかしてのぼせたんじゃ!?」 (いや、ほとんどアンタの所為だよ…) 「と、とにかく止血しないと…。ティッシュ取って来るわ!」 そういって霊夢は戸口から出ようとした。 「い、いや大丈夫だよ、すぐに止まるから」 「そんな事言ったって…」 俺が呼び止めて霊夢が振り返った瞬間、霊夢の体に巻いてあった一枚に結界が… 「あっ」 「!!!!!!!!!!!(絶句)」 落ちた 「? アレ?」 気づくと霊夢は少し恥ずかしそうな顔をして突っ立っていた。格好はチューブトップに短パンという今までに見たことの 無い服装で。 「何だよ、ちゃんと服着てたんじゃないか。なんでそんな紛らわしいことを…?」 そういうと霊夢は顔を真っ赤にして 「なっ!何でって…! 男の人の前でチューブトップに短パンなんて恥ずかしいでしょ!?」 (そーゆー問題じゃねぇだろ…。やっぱ変わってるわ、この巫女。ってか何であんな服もってるんだよ…) おまけ後書き================================================================================================= 正直に言います。今回はこれが書きたかったんです…本編はコレに繋げるための前フリでした(爆 ちなみに元ネタは某家庭教師マンガからもってきました。 384
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霊夢22 13スレ目 196 うpろだ961 「ふあああぁっ……。まったくこんな朝早くにどこ行くのよ?」 霊夢のあくび交じりの愚痴を聞きながら俺は一心不乱に自転車のペダルを漕いだ。 「この間見晴らしがいい場所を見つけてね。そこから上る朝日を見たら綺麗だろうって」 「ああ、だからこんな明け方に出かけようなんて言ったのね」 空はだいぶ明るくはなっているがまだ太陽は昇っていない。しかし日が昇っては意味がないので俺は更にスピードを上げた。 「きゃっ!? いきなり飛ばさないでよ! で、なんで急にそんなことしようと思ったの?」 「ああ、前に見た映画でさ、最後に二人で朝日を見に行くシーンがあってそれに憧れてて一度やってみたくなってさ」 「その憧れに付き合わされる私の身にもなってほしいわ」 それでもなんだかんだいいつつ付き合ってくれる霊夢。 「あ、霊夢寒くない?」 「大丈夫よ。あったかいお茶もあるし」 振り向くと荷台に乗ったまま器用にお茶を飲む霊夢がいた。 「……そのお茶どこから取り出したの? 持ってきていたようには見えなかったんだけど」 「乙女のひみつ」 まあ気にする方が負けなんだろう。 そしてようやく目的の場所にたどり着いた。そこはちょっとした小高い丘で周りが見渡せる綺麗な場所だった。 「間に合ったみたいだね」 「そうね」 そして今ゆっくりと太陽が昇り始めた。朝靄の中朝日に照らされている景色は雲海のように見えてすごく幻想的だった。 「綺麗だね」 「うーん、まあそういえばそうね。私はこういうの見慣れているから○○には珍しいのかもね」 「あらら、つれないお言葉」 「で、ここまで連れてきた本当の理由は?」 そこまでお見通しか。俺はゆっくりとしゃべり始めた。 「霊夢さ、この間のことまだ引きずってるでしょ?」 「……」 それは夜更けに霊夢が帰ってきた時のことだ。服は返り血で真っ赤。顔は蒼白で表情が抜け落ちてまるで能面のようだった。 驚いている俺の前を通り過ぎすぐに寝室に入ってしまった。心配になって霊夢に話を聞こうとしたら 「入ってこないで」 と一蹴にされてしまい、俺は行き場をなくした手を引っ込めて自分の布団に戻っていった。 翌日訳を聞こうとしたらやんわりと微笑んで気にしないでと言われた。明らかな拒絶だった。 「霊夢ってさ、こうある一線からがちっと入れさせない部分があるよね。話を聞いたら俺が気を悪くしたり もっといえば俺に被害が及ぶかもしれないってことを考えてくれてのことなんだろうけどさ」 「……」 太陽の方を向いて話しているため今霊夢がどんな顔をしているかはわからない。 「そうやって一人で背負い込んでるのを見ているこっちの身にもなってよ。つらいよ」 「――でも、何も聞かない」 「えっ?」 驚いて俺の方を向いた霊夢の瞳をじっと見つめる。 「けれどさ、その背負ってる物のほんの一部でもいいから俺にも持たせてよ。それが無理なら俺に寄りかかってきて。 俺だって霊夢を助けたいよ。だって俺は霊夢の恋人なんだから」 キョトンとした顔をしていた霊夢だけれどだんだんと泣き顔に変わっていった。 「……うくっ、そんなこと、今いわないでよぅっ、○○のばかぁ」 えぐえぐと泣き出した霊夢の背中に手を回してそっと抱きしめると堰を切ったように泣き出した。 俺は霊夢の気が済むまで優しく髪をなで続けた。 「うー、信じられない。○○に泣かされた」 「人聞きの悪いこというなぁ」 あの後さんざん泣いたため目が赤くなってしまい恥ずかしいから元に戻るまでこのままでいてと霊夢にいわれそれまでずっと彼女を抱きしめていた。 俺は泣き顔の霊夢を見てみたくて顔を覗き込もうとしたら「見ないで」と胸に顔を埋めてしまい、結局見ることができなかった。 そして行きと同じように霊夢を荷台に乗せて俺は自転車を漕ぎ出した。 「でも○○は私を支える自信ある? 私の背負ってるもの結構すごいわよ?」 「うーん、じゃあ支えきれるよう鍛えなくちゃね」 「鍛えるってなにを?」 「霊夢を軽々と抱えられるように体を」 「あははっ、なにそれ? それ私の体を支えてるだけで私全部を支えてるわけじゃないじゃない」 「やっぱり?」 「あたりまえよ」 しばらく二人で笑いあったあと霊夢は俺の背に体を預けてきた。 「……○○はなにもしなくていいよ。むしろそのままでいて。それだけで十分私を支えてくれてるから」 「わかった」 背にある暖かさを手放したくなくて俺はペダルを踏む力を緩めてゆっくりゆっくり帰り道を進んだ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 295 うpろだ967 「~♪」 俺は鼻歌まじりに紙に筆を走らせる。 「○○なにやってるのよ?」 「ああ、博麗神社の絵を描いてみたいと思ってね」 「この間霖之助さんのところでもらったやつさっそく使ってるのね」 そう、この間香霖堂で画材道具一式を見つけてしばらく忘れていた絵描き魂がむずむずとざわめきだしたのだ。 なんとかして手に入れたいので霖之助さんと交渉したところ何か一枚絵を描いて見せてほしいといわれ、香霖堂の全景を描いてみせたところ 君にならこれを渡してもいいと言われ、さっそく活用しているのであった。 「そういえばこの間それ持って出かけていったら紅魔館と永遠亭の絵を描いてきたわよね」 「うん、今度守矢神社の絵も描きたいと思ってるから」 「はぁ、ほんと物好きね。そのうち幻想郷の景色全部描きあげちゃうんじゃない?」 「まあ俺としてはそういうつもりだけど」 「え? 冗談のつもりで言ったんだけど。まさか阿求みたいな本を創るのを目指してるの?」 「ははは、それはない。だってあの二つの絵輝夜とレミリアが持ってっちゃったじゃないか」 宴会のときに俺が紅魔館と永遠亭を絵にしていることが話題に挙がりそれを見せてほしいといわれたのでちょうど描きあがっていた二つの屋敷を見せたら 二人同時に「これちょうだい」ってハモったときには笑ってしまったのを覚えている。 その絵はちゃんと額に入れられて居間に飾られているらしい。ちょっと恥ずかしい。 「それに俺が絵を描いてるのはこの幻想郷に俺がいた証を残したいからかなぁ」 「ふーん」 「なにかで知ったけれど人が一生で書ける線は地球、あ、地球ってのは俺がいた世界の住んでいる星のことでな、それの6週分らしいんだって。 で、その線分俺は絵を描いてその軌跡を残したいなぁって思っているわけ。まぁ案外半分もいかないうちにルーミアのお腹に収まってたりしそうだけどな」 あははと笑いながら冗談を言ったのだが、カランと箒が倒れる音がしたかと思ったら背中から霊夢に抱きしめられた。 「……あのね、そういうことって言葉にすると本当になったりするのよ。お願いだからそういうこと二度と言わないで」 ぎゅっと抱きしめる腕に力がこもった。 「……ごめん」 「わかればよろしい」 霊夢は腕を解くとまだ描きかけの絵を覗き込んできた。 「ここに描かれてるの私?」 指差したところには箒を持った人の姿が小さく描かれていた。 「ああそうだよ」 「こんな細かく描けるってのが私には信じられないわ。しかもこれ覚えて描いているんでしょう?」 「用は慣れだよ。慣れ」 と、俺は前々から思っていたことを口にする。 「霊夢、こんど絵のモデルやってくれないかな?」 「えっ? 私なんかでいいの?」 「うん、久しぶりに人物画も描きたいと思っていたし」 「わ、私なんかで良ければいつでもいいわよ」 「じゃ今度暇なときにでもお願い」 「わかったわ。じ、じゃ掃除に戻るわね」 箒を拾ってまた掃除を始める霊夢は心なしか嬉しそうに見えた。 あの話からしばらくたった後、ようやく霊夢が絵を描いてもいいと言ってきたので部屋で彼女を待っていた。 しかし、遅いなぁ。服でも選んでるんだろうか。更に十数分後やっと霊夢がやって来た。 いつもと変わらない巫女服で心なしか顔が赤くなっているみたいだ。 「どうしたのさ? 結構時間かかってたけどいつもと同じみたいだけど」 「ちょっと心の準備がね。それじゃ準備するから」 そう言うと霊夢はしゅるしゅると服を脱ぎ始めた。え? え? いったいなぜ?? 「えええええっ!? ちょっ、ちょっと待って!? なんで服脱いでるの!?」 なんとか再起動したとき霊夢は下着姿でさらしをほどきにかかっていた。危なかった…… 「え? え? だって外の世界じゃ人物画は裸で描くものじゃないの?」 「そういう絵もあるけど全てがそうじゃないよ……。ってかその話誰から聞いた?」 「ゆ、紫からだけど……」 はっはっはっ、やっぱりそうか。今度会ったら油彩で額に肉を書いてやる。 「悪いけど、服着てくれないかな。裸じゃちょっと描き難い……」 女の子の裸を見て絵が描けるほど俺は人間できてません。 「う、うん。わかった。でポーズとかとった方がいい?」 「いや。普通に座っていてくれればいいよ」 そして目の前で正座している霊夢を俺は絵に写し始めた。 ――青年描写中―― 「よしっ、こんなものかな。霊夢お疲れ様、もう動いていいよ」 「ふうっ、動かないってのも疲れるわね。絵見せてもらってもいい?」 「ああ、いいよ」 俺の後ろに回りこんで絵を覗き込む霊夢。 「へぇ、結構うまく描けてるわね」 「まだ乾いてないから触らないでね」 中央に軽く斜めに正座してこちらを見て軽く微笑む霊夢がそこに映し出されていた。久しぶりに人物を描いたがなかなかうまく描けているようだ。 じっくり眺めている霊夢がその証拠だ。 絵を見てしばらく何か考えていたようだが考えがまとまったのか霊夢が絵の一角を指してこういった。 「ねえ、この空いてるところに○○を描き加えてよ」 「え? 別にいいけどなんで?」 「そ……それは、このまま一人だとちょっと寂しいし、もしかしたらふ、夫婦みたいに見えるかなぁって、な、何言わせるのよっ」 はたかれた。 「ああ、ご、ごめん」 「……まあいいけどさ」 そうして霊夢の隣りに俺を描き加え、絵は完成した。 ちなみにその絵はというと居間の見やすい位置に飾ってあった。 それを見た魔理沙や萃香がまるで夫婦みたいだなと冷やかしたのだが、逆に霊夢のお惚気を聞かされ砂を吐くはめになったそうだ。 「ねえ、これからさ、こんな絵をいっぱい増やせていけたらいいね」 二人でお茶を飲みながら霊夢がそう話し出した。 「本当に結婚して白無垢と紋付袴着た二人の姿とか子供の絵とか、おじいちゃんおばあちゃんになったところまで。 だからさ、約束しない? これからたくさんの思い出をつくるため、決していなくなったりしないって約束」 「それってこの間言ったあれを打ち消すのも入ってる?」 「まあね。で、約束する? しない?」 霊夢はそっと手を差し出してきた。 「ああ、約束する。勝手にいなくなったりしない。霊夢も約束してくれないか?」 俺は彼女の手を握りそっと指を絡ませた。 「うん。約束する」 どんなことがあろうと決して解けないよう願いを込めて―― ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 406 うpろだ988 幻想郷に迷い込んで、 右も左もわからず夜空の下を歩いていた僕は、 妖怪にとって格好の標的だった。 霊夢に助けられなければ、あっと言う間に食われていただろう。 颯爽と現れて僕を救ってくれた霊夢は、 凛々しく、神々しく、美しかった。 行くあてもなく、そのまま博麗神社に住まわせてもらうことになった僕は、 幻想郷に、そこに住む人々に、そして何より霊夢に惹かれていった。 同時に、博麗の巫女として妖怪退治を続け、幻想郷を守ることがいかに孤独かを知った。 いつしか、僕はこの世界で生きていく意志を固めていた。 少しでも、霊夢の助けになりたかった。 彼女を、支えてやりたかった。 その重荷を分かち合いたかった。 どのくらい前になるだろう。 強い妖怪と戦い、なんとか倒したものの重傷を負った霊夢の元に、 間髪を入れず助けを求める知らせが届いた。 起きることもできない身体で、行かなくちゃ、と繰り返す霊夢。 行かせるわけにはいかなかった。 だから、紫さんに頼んだ。 自分はどうなってもいいから、霊夢を助けたいと。 紫さんがくれたのは、 彼女の力を込め、ただの人間である僕でも使えるようにしてくれた、一枚の符。 人妖の境界を一時的に操り、短時間ながら強力な人外の力を与えてくれるそれを、 紫さんは少し悩んでから僕に手渡した。 「覚悟があるなら使いなさい。 ○○のことだから、悪用したりはしないでしょうね。 ……でも、多用はおすすめしないわ」 符の力を使い、僕は里の人を襲っていた妖怪を倒した。 その後霊夢はなんとか回復したものの、まだ予断を許さない状況だった。 僕は何度も符を使い、霊夢には内緒で、何度も代わりに戦った。 その内、だんだん身体がきしむような感覚が現れ始めたが、気にしてはいられない。 霊夢は気付いていなかったけれど、それでも力になれるのが嬉しかった。 「最近は人を襲う妖怪が少ないのかしら」 なんとか起きられるようになって縁側でお茶を飲んでいた時、 霊夢がぽつりと言った。 「いいことじゃないか」 「そうだけど……何となく不安なのよね」 どきりとする。霊夢は勘がいい。 「でも……○○と一緒にゆっくりできる時間が増えるのは嬉しいかな」 「ん?霊夢、何か言った?」 「……ううん」 霊夢がなんと言っていたかは聞き取れなかったが、 気付かれずに済んだようだ。 こうして、何事もなく二人で過ごす時間が、とても幸せに思える。 例え、僕の一方通行の気持ちだとしても。 ある日、眠っていた僕のところに突然紫さんが現れた。 僕の身体は、人妖の領域を行き来し過ぎた負担のために、 もう限界が近いと言う。 「もう一度符を使ったら、貴方の生命は消えてしまう。 私にできるせめてものことは、貴方を戦わずに済む外の世界へ帰して、 休ませることだけよ」 そんなわけにはいかない。 まだ霊夢の身体は治りきっていないのだ。 戦えば生命に関わるのは、僕も霊夢も同じ。 ならば、答えは一つだ。 里が襲われているという知らせが届いた。 ……行かなければならない。 これさえしのげば、霊夢も何とか大丈夫だろう。 夜も更けた。 こっそりと、神社を出る。 身体のあちこちが、悲鳴を上げているかのように痛む。 頭の中で紫さんの声が、やめなさい、と響いている。 痛みを何とかこらえ、声を振り切り、懐から符を取り出した。 「―○○?そんなところで何をしているの?」 まだおぼつかない足取りで、霊夢が歩いてくる。 どうやら気付かれてしまったらしい。 「そのお札は?紫の力を感じるわ。人妖の境界を操る…… ○○、まさか」 ああ。やっぱり彼女は勘が鋭い。 「私の代わりに、妖怪退治を?」 僕は、黙って頷いた。 「そのお札の力を使って?」 重ねて、頷いた。 「馬鹿っ!どうしてそんな危ないことを!」 霊夢は、僕の胸に飛び込んできた。 服がぎゅっと掴まれる。 「ただの人間なのに、無理しないで。 貴方はそんなことしなくていい。傷つかなくていいの ……ううん、傷つかないでほしい。 ○○、貴方のこと、好きだから」 初めて、霊夢の気持ちを聞いた。 正直、嬉しくて仕方がなかった。 ―だけど、それを聞いたらなおさら、伝えなければならない。 「僕も、霊夢のことが好きだ。でも」 「…………」 「そろそろ、身体にガタがきてるみたいなんだ。 これを最後に外の世界に、帰らないといけない」 少しだけ、嘘をついた。 (そんな嘘をついてなんになるの) 紫さんの悲しげな声が聞こえる。 (どのみち会えなくなることに変わりはないのに) わかっています。 (本当は、帰ることさえできずに死んでいくのに) それでも、そう言わずにはいられなかった。 「私が行くわ。○○はここで待っていて」 「だめだ。今行けば、霊夢の方が危ない」 霊夢を引き離し、背を向ける。 「○○のこと、愛してるわ。 だから、貴方には行ってほしくない。 これ以上傷ついてほしくない。 例え私がどうなっても」 「……霊夢のこと、愛してるよ。 だから、僕が行ってくる。 例えもう会えなくなっても」 振り向いて抱きしめたい衝動を抑えて 「行かないで!」 「……さよなら、霊夢」 僕は、符を目の前に掲げた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 496 うpろだ999 「ふぅ……23体目完成。まだまだ先は長いなぁ」 「お疲れ様。はかどってるかい?」 「まぁ、半分ちょい位は作れたかと」 ○○は霖之助からお茶を受け取って一休みをすることにした。 今彼は香霖堂の台所を借りてバレンタインデーのお返しを作っていた。 何故この場所なのかと説明するならば他の場所では何を作ってるか誰かに知られてしまう可能性があり、その心配がない所はここしかなかったのである。 「にしても頑張ってるね。昨日も寝ていないんだろう?」 「ええ、でも大丈夫ですよ。永琳から薬貰いましたから。一週間寝なくても大丈夫な強壮剤を。その後一ヶ月ほど昏睡したままになりますけど」 「ぶっ!? それ本当に飲んだのかい?」 「いやいや、さすがにそれは。もう少しマイルドなやつを処方してもらいましたよ」 「どっちみち飲んではいるんだね……。にしても本当に全員分のお返しを手作りするつもりなのかい? 市販品でも喜んでくれると思うけれど?」 「それはできません。みんな俺のために頑張って作ってくれたり、何を送るか悩んでくれたはずです。 そのお返しをただの市販品で済ますことなんて俺にはできません。」 「……なんとなく君が彼女たちに好かれているか解った気がするよ」 「そうですか? 俺にはさっぱりなんですけど」 「それも君の美点かもね。それじゃ残りも頑張って」 霖之助は台所から居間に移動してちゃぶ台の上に見慣れぬ紙袋が置いてあるのに気がついた。 「○○ー! これ君のかい?」 「ああ、それは霖之助さんの分ですー! 台所占領してるんでせめてものお詫びですー! 食べてくださいー!」 紙袋の中身を覗くと醤油の香りが漂う煎餅が入っていた。 「ほんと、とことん律儀だねぇ君は」 来たる3月14日、博麗神社には大勢の少女達が集まっていた。 集まったのは紅魔館、白玉楼、永遠亭、マヨヒガ、守矢神社、風見、鬼、天狗、閻魔と死神など過去を振り返ってもこれだけの人が集まったことは無いといえる位の人妖の数だ。 そしてなにより違和感があるのは酒や肴ではなく紅茶やジュース、お菓子の山が用意されていることである。 大酒豪ばかり、というか大酒豪しかいないこの集まりでもやはり乙女であるのだろう。甘いものも苦手ではなくさまざまなお菓子に舌鼓を打っていた。 「にしても凄い人だかりだね。しかもほとんどが妖怪で幻想郷最強クラスばっかり。知らない人が見たら戦争でもするんじゃないかって思うんじゃない?」 「そうかもね。あ、これ美味しい。ねえこれ鈴仙がつくったの?」 「うん。焼き加減がちょっと難しかった」 「おや、珍しい組み合わせだ。鈴仙にフラン、楽しんでもらえてるかい?」 二人が声のした方に視線を向けると小さな包みを持った○○がこちらに歩いてきていた。 「楽しんでるよー。にしてもホワイトデー当日にまさか全員集まってパーティやるとは思わなかったよ。」 「パーティだったら私のお屋敷でもよかったのに」 「そうだね。でも宴会やるところがいつも博麗神社だからここでやろうって思っただけなんだけどね」 「そーなのかー。で、私たちまだお返し貰ってないんだけど?」 「さっきからみんなのところ回り歩いてるのはそのためなんでしょ?」 「うん。で、これが鈴仙とフランの分だよ」 ○○が差し出した包みを受け取り二人は中身を取り出した。 「うわぁ……」 「すごーい……」 そこには二人の姿がデフォルメされた飴細工人形があった。 「これ、全部手作りしたんでしょ? 苦労したんじゃない?」 「そうだよね。私の羽の部分まで丁寧に作りこんでるし」 「ははは、まあね。今日まで一睡もしてないし。でも全然辛くないのはさすが永琳の薬だよね」 「ああ……師匠から貰ってた薬このためだったんだ……。新薬だから効果のほど教えて欲しいって言ってたよ……」 引きつった笑い顔になる鈴仙。 「でも、こんな凄いもの貰っていいのかな? 私ただの手作りチョコだったんだよ?」 「いいんだよ。チョコをくれただけでも嬉しかったんだし、ある意味俺の自己満足だよ」 ○○の言葉を聞いても、むーと納得いかない顔の二人。と、何か思いついたのがギラーンと二人の目が輝く。 その眼光にただならぬものを感じて半歩後ずさる○○。 「ふふ、これだけ良いもの貰うだけじゃ悪いから私が作ってきたお菓子食べさせてあ・げ・る☆」 「私も~♪」 目の前に差し出されたお菓子を眺めて○○はなんとか逃げられないか視線を動かすが、二人の目が決してニ・ガ・サ・ン☆と訴えているため ああ、前にもこんなことあったような……とデジャブを感じながら一口ずつ齧った。 食べかけのお菓子をじっと見つめていた鈴仙とフランだったが、おもむろにそれを口の中に放り込んだ。 「あ」 「ふふっ、間接キスしちゃったね」 その瞬間空気が軋んだ。 周りから気絶しかねない殺気が噴出し始める。 「あらあらウドンゲ、師匠を差し置いてなに○○とイチャイチャしているのかしら? 一度上下関係をはっきりさせておこうかしら?」 「初めて意見が合ったわね。抜け駆けはいけないわ、フラン。姉より優れた妹は存在しないことを教えてあげるわ」 「何言ってるんですか師匠? こういうものは行動力がものをいうんですよ。師弟関係なんて二の次です」 「そうね、策ばかり考えているお姉様なんかじゃ○○といつまでたってもイチャイチャなんて出来ないわよ?」 「へぇ、言うじゃない。いいわ、あなた達に目にものを見せてあげるわ」 その言葉を皮切りにみんな思い思いのお菓子を手にジリジリと○○に近づいていく。 「ま、○○? ほ、ほらこの飴やるよ。わ、私の食べかけだけど、い、一緒になめないか?」 「○○、このオンバシラポッキーを使ってポッキーゲームをしよう」 「い、いや、みんなちょっと落ち着こうよ、ねぇ……」 もはや○○の貞操は風前の灯火となりかけたとき救世主が現れた。 「夢想封印 散!!」 ○○を囲むように光弾が着弾する。そして○○の目の前に一人の少女が着地した。 「はいはい、あんたらそこまでにしておきなさい。○○が怯えているわよ?」 「た、助かったよ霊夢」 ほっと息をつく○○。が、このとき彼は気づくべきであった。目の前の少女は救世主ではなく、己を狙う狩人であったことを! 「え? ちょっ――」 目にも留まらぬ速さで霊夢は○○の唇を奪った。 「――――!?!?」 「「「「あーーーー!!」」」」 「んふふ、どう? さっきのお菓子の味なんてわからなくなる位甘かったでしょ?」 彼女に似つかわしくない妖艶な瞳で見つめられ、壊れた人形みたいにカクカクと頷く○○。 「おのれ霊夢! ○○の唇を奪うなんて暴挙にでるとは見下げ果てたわ!!」 「あーうー! ○○はみんなで愛でるもので摘み取るのは反則なんだぞ!」 皆の怒りなどどこ吹く風でひょうひょうと受け答える。 「ふっ、それはあんたらが決めたことでしょ? それに○○はうちに居候してるのよ? それを主の私がどう扱ってもいいんじゃない?」 「くっ、○○を所有物扱いかっ! ならば弾幕ごっこで勝利したものが○○の所有権を得るというのはどうだ!?」 「いい度胸ね。この際○○を貰うついでに幻想郷で誰が一番恐ろしいかこの場で知らしめてやるわー!!」 「「「「はっ、思い上がったな博麗の巫女――!!」」」」 凄まじい轟音と弾幕が乱れ飛び、最大クラスの弾幕ごっこが開始された。これが後の求聞史記にある第一次幻想郷大戦である。 歴史的に貴重な場面を○○は死んだ魚のような目で見つめていた。 「……どうしてボクがこんな目にあうのママン……なんにもおかしなことしてないのにみんながボクを取り合うよママン……」 遠い星の人間災害の気持ちが解った気がした○○だった…… 結局あの後更なる大混戦となり勝者も敗者もいないうやむやな結果になり、そのままお開きということになった。 そして博麗神社の縁側でうつ伏せで○○はぶっ倒れていた。 「はぁ、疲れた……みんなあれだけ暴れてまだ元気なんだもんなぁ」 と、目の前にコトリと湯のみが置かれたので顔を上げると霊夢がそこに腰掛けていた。 「お疲れ様。全員分のお返し作るの大変だったでしょ」 「いや、結構楽しかったから辛くはなかったよ。アリスの人形を作る気持ちがなんとなくわかったような気がする」 体を起こして庭を見ながらまったりとお茶を飲む二人。しばらくそのままでいたが○○はふと何かを思い出したのか席を外した。 そして小さな小箱を持ってきて霊夢の隣にまた腰掛けた。 「はい、これ霊夢に」 「え? なに?」 「開けてみて」 箱を開けてみるとそこには対になった青い硝子のお猪口が収まっていた。 「わぁ……きれい……」 「前にさ、お気に入りのお猪口割っちゃって落ち込んでたでしょ? で霊夢に似合いそうなのを見つけてきたんだ」 「ああ、ずっと前のこと覚えててくれたんだ……ありがとう、大切にするね。ねぇこのお猪口でさっそく飲まない?」 「うん、いいよ。じゃあお酒取ってくるよ」 立ち上がろうとした○○だったがバランスを崩して倒れこんだので霊夢は慌てて抱きとめる。 「ちょっ、○○大丈夫?」 「あ…う…マズ……限…界……みたい…だ……ご…め……れい……む」 そういい残して○○は眠ってしまった。霊夢は○○の頭をそっと抱きしめた。 「本当にお疲れ様。今はゆっくり休んで起きたら一緒に飲みましょ……」 それから○○は3日間眠りこんだがその間霊夢は片時も離れず、そして2人きりの酒宴を楽しんだそうだ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 109 「ねぇ○○、私が貴方を退治しようとしたらどうする?」 縁側でぼーっとしていた霊夢は、突然物騒なことを言い出した しかし彼女が単なる思い付きでそんなことを言うはずはない、恐らく何か考えがあるのだろう そしてその答えを俺に求めた 「そうだな、お前になら殺されてもいい・・・なんていうつもりはないしなぁ、殺られるまえに殺るだけかな」 下手な嘘や、取繕った言葉は、意味を成さない 何より嘘の回答は、コイツとの間に相応しくない 「・・・そう、私は貴方をちゃんと仕留められるか不安だわ」 何処を見ているのか解らない眼で 彼女は不安げな表情を見せた きっと彼女は俺を殺すことを躊躇う、でも必要なら、きっと最後は殺そうとしてくれる 俺も、それに応えて、彼女を全力で殺し返そう 「なぁ霊夢、俺のこと愛してるか?」 「ええ、愛してるわ○○」 「いつか殺しあう仲に成るかもしれないとしても?」 「ええ、貴方を好きでも、愛していても、殺さなければいけないときは、そうするだけよ」 「そうか・・・やはりお前はいい女だ、お前を愛せてよかったよ」 こんなにいい女には何度生まれ変わろうともなかなか出会えないだろう だからこそ、彼女とこれからもずっと、こうしていたいものだ でも、少し、ほんの少しだけ、霊夢と、殺す殺さないの、命の取り合いをしてみたいと思ったりもした 「随分楽しそうに哂うのね、何を考えていたの?」 どうやら顔に出ていたらしい、お前と殺しあう想像をしていたとは言えず 「来ないことを望む未来を想像してたのさ」 そう、誤魔化しておいた 彼女も何かを感じ取ったらしく、嗜める様なまなざしを俺に向けた後、短く笑った ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 171 「霊夢・・・霊夢、霊夢ッ!・・・何か違うな」 この日、博麗のことを名前で呼ぶ練習+エアキス(キスのよこーえんしゅー) を行っていた俺は、色々と青春していた 「さっきから人の名前を呟いて・・・何事?」 「くぁwせdrtgyふじこlp;@:!は、は、博麗!!?」 馬鹿な、家の鍵は閉めておいた、カーテンも閉めて!人が入る余裕などないはずなのになぜぜぜぜZEZEZE 「いくら呼んでも返事がないから、裏口から入ったわよ」 オゥ!シット!思わぬところを忘れていたぜ!! 「こ、こうなったら・・・もう自棄だぁぁぁああ!!!」 「な、なに!?」 「イマジネーション=ファンタズムッッ!!!」 ドドドドドドドドドドド 「こ、これはっ!!?スタ○ド!?」 説明しよう!イマジネーション=ファンタズムとは! 使用者が現実可能な事ならば一瞬にして想像を実現させてしまう恐ろしい能力であるッッ! 「霊夢はッ!俺とッ!キスをするッ!!」 簡単に言うなれば 妖怪?ボッコボコにしてやんよ、と言う想像に対して、勝率が5割以上ならば、戦わずして勝利することも可能! してこの「霊夢は俺とキスをする」などの妄想の場合、相手が自らに好意を抱いていなければ、実現は不可能っ! つまり、この能力を使って相手が自分に好意を抱いているか否か、判別する事が出来るのだっ! 「なっ!これは・・・魔力!?ぐ・・・」 霊夢は、俺の正面へ引き寄せられると 背を頑張って伸ばして、キスを、してきた 「ズギュ~ン」 や、やった!さすが○○!俺たちに(ry 頑張って背伸びをしてキスをしてくる霊夢が、あまりに可愛くて・・・俺は、俺はっ!! 「霊夢ッ!愛してるぞぉぉぉぉお」 思い切り、抱きしめた 絶対に離さないぞという、馬鹿の宣言 「馬鹿、くだらない事に力を使わないでよ」 「す、すまん、暴走した」 「あんなことしなくても、私はあんたが好きなんだから」 「れ、霊夢・・・大好きだ、愛してるよ」 「うん、私もよ、○○・・・愛してる」 そうして、俺たちはめでたく、結ばれることになったのだ ~完~ ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 238 じー 霊夢「なに?」 ついっ 霊夢「なっ」 こちょこちょ 霊夢「や、やめてよ、くすぐったい」 こちょこちょこちょ 霊夢「……」 こちょこちょこちょこちょ 霊夢「……にゃあ」 ぬこ霊夢かわいいよぬこ霊夢 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 251 「暇だな」 「暇ね」 「……」 「……」 「あ、茶柱立ってる」 「縁起が良いわね」 「……」 「……」 「せんべい食う?」 「貰うわ」 「……」 「……」 「ねえ○○。私をお嫁に貰ってくれる?」 「あ、それ無理」 「そう」 「……」 「……」 「なんで無理なの?」 「博麗の巫女が嫁に貰われたらいかんだろ」 「それもそうね」 「……」 「……」 「ねえ○○。婿に貰われてくれる?」 「喜んで」 「ありがとう」 「……」 「……」 「平和だな」 「平和ね」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 403 「霊夢の髪って綺麗だよな」 霊夢の髪を数房取って手ですいてみる。サラサラと指の間を抜けていく感触が心地よい。 「別にこれといってやってはいないんだけどね」 「でもそれなりに気は使ってるんだろ?枝毛も見当たらないし」 「そりゃいくらなんでもボサボサにしてたらそれこそみっともないじゃない。 まあ一番髪に気を使ってるのは輝夜でしょうね」 「まあね」 たしかにあの腰まである見事な黒髪は目を奪われる。 「でも俺は霊夢の髪の方が好きだな」 「……○○がそう言うんなら今度からもっと磨きかけちゃおうかな」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 607 「○○ー?起きてる?」 「ん、その声は、霊夢か」 ぼやけた視界に微かに見える紅白、そして声、それだけで彼女と判断するのは十分だった 「・・・眼鏡は?」 「妖精に壊された」 まぁ壊れたのが鼻の骨でなくて眼鏡だったのは良かったのか悪かったのか 外まで注文しなければならないせいか、届くのに時間の掛かる 「もう、大丈夫?」 「・・・せっかくの可愛い顔が、見えない」 「ばか、そんな事言ってる場合じゃ無いでしょ」 俺の前に、何かが近づいて・・・霊夢の手か? 「ほら、ちゃんと引っ張ってあげるから」 そういうと、彼女は俺の手を握り、誘導し始めた 歩き始めた赤子の、母親のように 「霊夢・・・ありがとな」 「ふふ、どういたしまして」 ぼやけて見えないのに、彼女の笑顔だけは、何となく感じ取る事ができた 「早く届くといいなぁ」 「そうね、不便だものね」 「ああ、早く君の顔が見たいよ」 いきなり、霊夢は顔を近づけてきた 俺は驚いたが、霊夢の顔がはっきり見えた 「これぐらい近ければ、ぼやけないかしら?」 彼女の唇が、近い 言葉を発するだけでその吐息が掛かる 俺はたぶん赤くなっている、だが彼女も、十分に赤かった きっと恥ずかしいのはお互い様なのだと ぼんやりと、たまにはめがねが無くてもいいかもしれないと、思った ───────────────────────────────────────────────────────────
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霊夢2 131 夜の博麗神社。 今日は宴会も開かれないと言う事で、彼と霊夢は早めに夕食を済ませ ちゃぶ台で向かい合って食後のお茶を飲んでいた。 「ねえ、○○」 「んー?」 のほほんとした感じで応える彼。 「アレ、して欲しいんだけど…」 そう彼に言う霊夢の声は、普段の彼女とは思えないような、恥じらいを含んでいた。 「えぇ? 一昨日したばっかじゃん」 「だって凄く気持ちよかったし…。お願い、ね?」 「ウム、他ならぬ霊夢の頼みとあっちゃ仕方ないな」 (きっ…、きたきたきたぁ――――ッ!!) 霊夢達の居る部屋の壁一枚向こうで、幻想の突撃取材班・射命丸 文は 心の中で雄叫びを上げつつ、Yes!! Yes!! と言わんばかりに 無言でガッツポーズを繰り返していた。 (霊夢さんとこに彼が転がりこんで一ヶ月、そろそろ何か進展があるんじゃないかと踏んでいましたが…) そう、文は今夜霊夢と彼が二人きりになるのを見越し、張り込み取材を敢行したのだ。 (まさかドンピシャとは…! これは是が非でも明日の一面にさせてもらいますよ!) 鼻息も荒く、文は再び壁に耳を近づけた… 「ん…じゃあ、お願いね」 「了解」 「ねえ、私の…汚くない?」 「大丈夫、綺麗だよ」 「んっ…」 「やっ、くすぐったいっ」 「ほら、もっと力抜いて…」 「んっ! お願い…もっと…奥まで…っ!」 「ってこんな記事が書けますかーーっ!!」 壁一枚向こうで繰り広げられる幻想郷に、完全に平静を失った文が ばーん!と襖を開け放ち乱入すると、そこには 「…」 「…。」 彼と、彼の膝枕で耳掃除をしてもらっている霊夢がいた。 「あんた、何してるの?」 「ていうか鼻血出てるぞ」 「えーと… ドウモー 文々。新聞でしたー これからも御ひいきにー」 搾り出す様にそれだけ言うと、文は天狗の鼻よりも赤い顔をして全速離脱していった…。 「何あれ…勧誘?」 「でもあいつ、普段から此処にも新聞届けに来てるだろ」 「まあいいわ…それより続き、お願いね?」 「ああ。奥のがまだ取れてないからな」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 142 彼女はちょっと変わった女の子だった。 いつも率先して事件を追って、彼女は事件を解決する為に奔走する。 初めてそれを見たのは、割と最近のことだ。 彼女は花に包まれていた。 正確にはここ、幻想郷が花に包まれると言う事件が起きた。 その時に、ちょうど彼女を知ったのだ。 人里の人間で、彼女を知らない者は居ない。 彼女は巫女である。 既に妖怪と戯れていると噂される、あの巫女である。 何故、既に神社は妖怪の手に落ちたと考えるものばかりなのだろう? 巫女の――友達と言う事を考える者は誰も居ないようだ。 いや、恐らく分かっていて、それを否定しているのだ。 「…慧音様」 無理は承知で、ここの里を守護する慧音様に会いに来た。 彼女と面識がある慧音様ならば、なぜ彼女が妖怪と一緒にいるのか、 ということを知っているのかもしれない。 「博麗の巫女の事か?」 「えぇ」 「物好きだな…。この里であの巫女に興味を持つものが居るなんて 思ってもいなかった」 呆れ気味に慧音様はつぶやくが、どことなく嬉しそうにも感じられた。 そう、例えるなら…失ったものを再び見つけた子供のように。 「…博麗の巫女は自分で好きに妖怪を呼び出している訳ではない。 そうだな、言うなれば引き寄せてしまうのだ」 引き寄せる? つまり彼女のもとには自然と妖怪が集まってしまうと言う事か。 「異変を解決するたびに、妖怪が増えるのも考えものだがな」 慧音様の苦笑は、ある意味で現実的な気がした。 異変が解決するたびに妖怪が増えると言うことは、やはり 神社は妖怪の手にあるようなものだ。 「…ところで、何故巫女のことなど聞こうと思った?」 それは…自分でも分からない。 「…分かりません」 「そうか」 おかしそうに笑う慧音様に何となく腹がたった。 「博麗神社に行って直接、彼女を見てみればいい」 そう言って、送り出していった。 ほとんど着の身着のままで博麗神社に向かう。 途中、妖怪に襲われるも何とか逃げ切った。 所詮妖怪相手に、人間が勝てる訳が無い。 逆に勝てる人間の方が珍しいくらいなのだ。普通なら。 とにかく妖怪から逃げ切ると、神社へと続く階段がようやく見えてきた。 本当に長い階段を上りきると、そこに居たのは二人の少女。 片方は誰もが見たことのある巫女、そしてもう片方は見たことの無い 白黒の魔法使いだった。 「おい、参拝客みたいだぜ」 「ん?参拝する人が居るなんて珍しいわね」 巫女がそれでどうする? という言葉を辛うじて飲み込み、真っ向から彼女を見る。 間違いなく、幻想郷の異変の際に、見かけた紅白の巫女。 博麗…考えてみれば名前は知らなかった。 博麗の巫女の肩書きだけで、名前を呼ぶ人なんて里には居はしなかった。 「いらっしゃい、素敵なお賽銭箱はそこよ」 「あぁ…いや、僕は――」 「ふぅん、どうやら珍しくこの神社に参拝客じゃないみたいだな」 その様子を見てか、白黒の魔法使いが笑いながら物珍しそうに 僕を見る。 「まぁ、博麗の巫女を見に来ただけだし」 「私?」 「見事に見世物入りだぜ。良かったな霊夢」 「嬉しくない」 白黒の反応に、博麗の巫女が返す。 何となく微笑ましいやり取りだった。 「後は慧音様からの預かり物を届けに」 これは本当だ。 『博麗の巫女に会いに行くならばついでに、この手紙を渡しておいてくれ』 と言われたのだ。 何が書いてあるかは、僕も知らない。 「人里の人間だったんだ。とりあえず、ありがとう」 手紙を渡すと、隣に居た白黒もその手紙を覗き込む。 「ふむふむ」 さほど重要ではないのか、博麗の巫女は流し読みをしている。 「へぇ、お仕事ってわけか」 少年のような笑みを浮かべて、白黒が僕を見る。 「ちょっと待ってて、返事くらい書くから」 これでは文通だ。 いや、それで間違っていないのか? 慧音様の手紙を、僕が渡して、その返事を博麗の巫女が書いて、僕が渡す。 うん、これは体よい運搬係だ。 「終わり。じゃ、これ慧音に届けておいて」 「あぁ」 その手紙を受け取る際、彼女の手が触れた。 暖かい。人里では『妖怪と関わる巫女の考えは知れない。きっと身も妖怪だろう』 と身も蓋もないことを子供達に教えていたが、それはどうなんだろう? 「あぁ、日が暮れてきたわね。魔理沙、彼をちょっと送ってあげて」 「面倒くさいぜ」 「いや、そんなハッキリと言われても…僕も困るんだけど」 「大体、霊夢が送っていけばいいじゃないか。私にその役目を押し付けるのは どうかと思うぜ?」 「いや、まぁ…僕のことは気にしないでくれ。今の時間帯なら、運が悪くない限りは 妖怪に出会うことも無いと思う」 時刻的には今は夕方、急いで走れば夜中ギリギリには何とか人里まで戻れるだろう。 「仕方ないわね。ほら、お札一枚あげるから、これでどうにかしなさい」 本当に一枚だけお札を渡された。 それでも、その一枚のお札が、頼もしく見えるのは気のせいではない。 相当な霊力が、この一枚のお札に詰められている。 下手をすると、これをぶつけて霊力を弾けさせれば、人間にも効果があるのかもしれない。 「それじゃ、確かに受け取ったよ」 手紙とお札を持って、僕は博麗神社を振り返る。 やっぱり博麗の巫女はちょっと変わっていたが、人里の皆が 思っているような冷たい人物でもなかった。 「…手は暖かいし、やっぱり人間だよな」 改めてそれを確認した。 それよりも慧音様に早いところ、この手紙を届けに行かなければ。 せっかく急いだ意味が無い。 「…あぁ、ちゃんと届けてくれてありがとう」 「いいえ、普段から守って頂いているお礼だと思えば安い物です」 結局、受け取ったお札は使う事無く里まで辿り着いた。 もっとも使わない状況に越した事はないのだが。 早速手紙を届けに行くと、慧音様はその手紙を読み始める。 重要な事が書いているようでとても熱心に読み進める。 「ふむ…」 「どうかしたんですか?」 「お前も、少し前から畑を荒らす妖怪については聞いているだろう?」 どのくらい前かは忘れたが、そのことは聞いたことがある。 ある日の朝、収穫しようとした農作物が見事に盗まれており、それなりに 危機が起こった事がある。 里の皆や、僕も山狩りを行ったが、成果はゼロ。 いや、負傷者が居るから、言ってみればマイナスである。 死者が出なかったことは幸いだが、危険があることには違いない。 特徴は不明だが、どうやら爪を使って大人達を負傷させたらしい。 一匹で行動しているらしく、外見が狼ということ以外には分からない。 「それについて、一応専門である博麗霊夢に手伝ってもらおうと思ってな」 「なるほど」 妖怪退治は彼女の専門だ。 それに、慧音様が居れば妖怪の退治など容易いに違いない。 「…ところで、お前は博麗の巫女に会ってどう思った?」 「どうって…」 「そうだな。率直な感想で構わない」 率直な感想と問われてパッと出てくるのは… 「人里の人が思っているような人じゃなかった、って事でしょうか」 「そう感じたか…なるほど」 慧音様は考えごとをするように、僕の方と手紙を見直した。 「何か?」 「いや、そうだな。お前に手伝ってもらうのも悪くは無いかもしれない」 「妖怪退治ですか?」 それなら願ってもない。元々、慧音様を手伝うつもりだったし。 何より、博麗の巫女を再び見ることが出来る。 何かを含んだような慧音様の表情が、なぜか気になった。 僕も、まだ彼女の本質を知らなさすぎる。 「期待している。妖怪退治は三日後だ」 「はい!」 僕は礼をしてその場を後にした。 それからの僕の生活は慌しいものだった。 まずは足手まといになる可能性が、高いため自分に合う武器を 見繕い、それを振って感覚を確かめる。 やっぱり、攻撃を重視して斧を持つことに決めた。 「精が出るな」 「あ、はい」 「山狩りは明日の夜だ…。お前の家に博麗の巫女に迎えに来させるから ついてくればいい」 「分かりました」 あの巫女が迎えに来るのか…。 そもそも、僕の家も人里から少しだけ離れた場所にあるから 問題は無いのかもしれない。 きっと、人里に彼女が現れれば奇異の視線で見られることは間違いないからだ。 その日はずっと斧を振り続けた。 きっと筋肉痛になるだろうが、その程度なら、身体を解すだけで、 少しはマシになるはずだ。 次の日の夜。 本当に博麗の巫女が来た。 寒いのかろうが暑かろうが、きっとその巫女服を変える気は無いんだろうな。 と考えながら、僕は彼女の後に続いた。 「あぁ…そうだ。このお札」 三日前に借りたままのお札を返したほうがよかった気がし、彼女にそれを渡す。 「ん…あー、それ返さなくてもいいわ」 それを押し返された。 何でも彼女曰く、これからきっと必要になると言うことだ。 「ちゃんと来たな二人とも」 「そりゃね。魔理沙は来れないって」 「そうか…少しは期待したんだが」 魔理沙とは、確かあの白黒魔法使いのことだったか? 彼女も予定などがあってどうやら来れないようだ。 「それで、山狩りらしいけど。どうするの?」 「二手に分かれた方がいいだろう。私は一人でも問題ない。お前は 霊夢と一緒に組んだ方がいい」 博麗の巫女が山の地理を知っているとは思えない。ならば僕に 案内させた方が少しはマシだと言うことなのだろう。 「それじゃ、よろしく」 「あぁ、よろしく」 博麗の巫女の手に再び触れた。 人間の彼女の手はやはり暖かかった。 松明を片手に歩き回る。 弓を背負い腰に斧と言う重装備に比べて、博麗の巫女は巫女服と 札に針に陰陽玉という至って簡単な装備だった。 まぁ、どれもきっと、僕の振るう武器よりも遥かに威力を持った 装備なのだろうが。 「……」 「……」 会話なんてありはしない。 妖怪が蔓延るこの時間で、騒げば格好の的である。 「居ないな」 「…そうね」 正直、拍子抜けした。 山に居るはずの例の妖怪は、何故か姿を現さなかった。 僕たちはそれでも狼の妖怪を探して歩き回る。 子供の頃から住んでおり、それでもなお、この山の深さは分かりきっていない。 …いや、それなりに働けるようになってからは来てないから、うろ覚えな 部分もあるのか。 「…あ」 ほんの少し昔。 洞穴を見つけたことがあった。確かそこを、子供らしく遊び場にした覚えがある。 そこには―― そう、何か居たはずだが、忘れてしまった。 「どうかしたの?」 「いや…隠れる場所の心当たりが思いついただけ」 「そう、なら多分そこね」 博麗の巫女は疑ってすらいない。 きっと知性は高くないだろうが、雨風防げる巣くらいは作っているだろう。 僕達は、早速その場所に向かう事にした。 「…何があったんだっけ?」 洞穴の前まで到着したが、僕はそこに何が居たのか、全く思い出せないでいた。 とても重要な事だった気がするのだが、記憶に無い。 子供の頃の話だと言えばそれまでだが、喉まで出かかっているのに 思い出せないと逆に気持ち悪い。 まぁ、とにかく妖怪退治だ。 「…ここみたいね」 「うん…」 そこら辺に感じられる妖気のせいで、麻痺してしまいそうだが 間違いなく、ここに居ることは分かる。 そう、言うなれば霧の中で煙を向けられているような感じだ。 肌に纏わりつくような感じと、はっきりとこちらに向けられている 妖気が、間違いなく敵がこちらに気付いている証拠だ。 「…来るわよ」 「…ん」 背の弓を持ち構える。狙いは洞穴の中だ。 恐らく、これを打ち込めば即座に戦いになるだろう。 「…撃って!」 しゅっ 軽い風切り音が鳴り、吸い込まれるように洞穴へと矢が飛んでいく。 二つの開かれた目が、飛び出した。 それは間違いなく、狼の妖怪で、里の人間を傷つけたものだった。 「お出ましね」 札と針を持って博麗の巫女も構える。 「パスウェイジョンニードル!」 針を投げつけ、それは真っ直ぐ妖怪を狙いつける。 だが妖怪はそれを回避しようともせず、その身体で受け止めた。 「…!?」 その異常な様子に気付いたのか、彼女も一旦様子見とばかりに 攻撃の手を休める。 「……」 妖怪は僕たちの方を睨みつけるだけだ。 「どういうことだ?」 「…さぁ、それでも油断はしないように」 彼女の警告を受けながら、何故か、僕はこの妖怪に違和感を感じていた。 無論、この奇怪な行動もだが、どこかで見たことが―― 何となく一本の線で繋がった気がした。 「…博麗の巫女、僕が洞穴に入るから…援護してくれないか?」 「何か分かったの?」 「多分」 確証は無い。それでも少しは『ある事』を期待しているのだ。 「それと悪いけど…あの妖怪を生かしておいてくれないか?」 「難しい注文ね」 「…信じてるから」 多分、彼女なら殺さずに無力化することも無理ではないと信じている。 「それじゃ、始めましょうか」 札を取り出して、投げる体制に入る。 恐らく、あの妖怪は何か守っている。そして、それも博麗の巫女は勘付いているだろう。 「夢想封印――集!」 放った札は、空に舞い大きく螺旋を描き、一つの球体を生み出した。 そして一つが二つに、二つが四つに、四つが――八つに。 そのまま妖怪に向かって、その球体全てが集まってくる。 無茶苦茶だと思いながら、僕も走り出す。 ――やはり居た。 妖怪狼の子供だ。 「…弱ってはいないけど」 眠っているようで手を出しても気付かれていないが こんな環境では弱るのは目に見えていた。 とりあえず抱きかかえて、外に出る。 「やっぱり居たよ!」 彼女の方に大きな声で声をかける。 こちらの方に気付いたのか、警戒したように、妖怪は唸る。 子供を人質に取られた親だ。 警戒するのは無理もない。 「…子供に餌をあげるために、畑を荒らしたってわけ?」 「妖怪は何でも食べるからね」 「はぁ…色んな意味で無駄骨だった気がするわ」 がっくりと肩を落とす。僕は子供を地面に降ろし、手を上げて離れる。 それなりに距離を取ると、妖怪は子供に近づいてきた。 「それで、どうするの?退治する?」 「…いや、これから山の向こうに行くように説得する」 「…相手は妖怪よ?」 「それでも」 あの妖怪は聞いてくれる気がした。昔の事を覚えていれば、だが。 僕が子供の頃に、あの妖怪狼は確かに居た。 僕と同じように子供で、ただの狼だと思って遊んでいた。 大人になってからは来ることはなかったけど。 まさか、妖怪だったとは… 「…はぁ」 その事情を聞いて、博麗の巫女は本当に呆れたようにため息をつく。 「ま、いいわ。それじゃ後は任せるわよ」 と呟きながら、彼女は空へと舞う。 「慧音には事情を言っておきなさいよ」 分かっている。 心配をかけたとは思えないが、一応言っておかなければなるまい。 二日後、僕は再び博麗神社を訪れた。 博麗の巫女に礼を言うためだ。 あの後、朝日が昇るまで説得をして、理解したかどうか知らないが 子供をつれて妖怪は洞穴を離れていった。 畑も荒らされていないようで、ちょっとだけ安心した。 「あら、いらっしゃい」 掃除をしていたのか、巫女は手に箒を持っていた。 「…とりあえず、お礼に来たんだけど」 風呂敷包みを降ろして、中から野菜を取り出す。 「畑は荒らされなかったから、多分もう大丈夫」 「あの妖怪は?」 「どこか別の所に移動したみたいだ。あ、これ慧音様からの礼状」 それを受け取る博麗の巫女は、年相応の表情で満足そうに頷いた。 …それを不覚にも、可愛いと思ってしまった。 「どうかした?」 「や…何でも」 慌ててそっぽを向く。 「それじゃ博麗の巫女、ありがとう」 「あ、待ちなさい」 去ろうとした途端に呼び止められた。 「博麗の巫女って言い方、止めてもらえない?」 「…分かったよ。霊夢」 にこりと笑う。やはり彼女も年相応なのだろう。 そして僕も…どうやら、彼女に好意を持ってしまったらしい。 「それで帰ってきたと?」 神社から帰って報告をすると、慧音様は不服そうに唇を歪める。 「…それ以上に何をしろと?」 「いや、非常に残念だ」 何が残念なのか分からないが、とっても良くない予感がした。 慧音様も、ちょっとだけ変わっているのは、この時解った。 「…こうなれば、全員に招集をかけて…ぶつぶつ…」 なぜか考えごとに突入した。 「それじゃ、失礼します」 僕は礼をして、いつものように去る。 家に帰ってから、畑を見なければならないからだ。 「…様子は良し。あと少しで他のも収穫できそうだ」 霊夢に渡した野菜は、里のみんなのと大半が僕の畑からだ。 別に深い理由は…ないはずだ。霊夢から貰った札を見る。 結局貰ってしまったが、使う機会はほとんどない気がする。 「とりあえず、今日も日課の修行をしよう…」 自分の無力はよく解っている。 だからこそ、資本である身体を鍛える事にした。 そして、その辺りから、唐突に僕の日常は変化した。 なぜか、慧音様が博麗神社への用事を、執拗に僕に言い渡すようになった。 まぁ、それくらいならば問題はないのだが、そのおかげで霊夢と関わっている 人間や妖怪の知り合いが増えた。 霊夢と二人っきりになる機会がなぜか増えた。 嬉しい事は嬉しいのだが、どうしてそう言う時、他の妖怪達が訪れないのかも 疑問になってきた。 「さーて、今日は楽しい宴会よ。あなたも参加するんでしょう?」 楽しいと言っても、彼女の場合、準備片づけを全てこなすのが面倒だ とも言っている。 「…どういう心境の変化?」 「あなたが片付けと準備を手伝ってくれるでしょ?」 いや、確かに手伝うつもりだけど。 「人数結構来るから、大変よねぇ」 「…その分、片付けも準備も時間が掛かる、と」 まぁ、霊夢と居れる時間が増えるのはありがたいと言えばありがたいのか? 彼女は、やっぱり人間である。 あの妖怪を逃がしたように人間味はとてもある。 だが、時々物憂げな表情になるわけも分からない。 「さ、準備しましょう」 お酒、食べ物。準備しなければならないものは沢山だ。 みんな、唐突に現れて唐突に去っていく。 嵐のような集団だった。 無論、嵐なんだから片付けるのも人間だ。 そして、この日僕は初めて片付けと準備の重労働を感じた。 よくも毎回毎回こんな事が出来るな、と半ば感心してしまった。 「お疲れさま」 「あぁ…ありがとう」 お茶を差し出されて、受け取る。 湯気が出るほど熱いお茶だった。 「大変だね。これは」 「分かってくれる?」 「まぁね」 …そこから会話が途切れる。 空に月は浮かび、雲すら出ていない。 見えるのは夜空と、星と満月。 「……」 「……」 息の音が響く。 「…あのさ」 「ん?」 「僕は…霊夢が好きだから」 「…ありがと」 こんな幻想的な雰囲気だから、僕はこういうことが言えたのかもしれない。 「霊夢は――」 「…あなたのこと、嫌いじゃないけどね」 それはイコール、どちらでもないだ。 『む、いけないぞ。○○、押し切らねば』 『霊夢にも春が来たかな…と思ったんだが。これじゃ遅そうだぜ』 『春はとっくに返したでしょう』 『幽々子様、分かってボケているでしょう?』 『いい雰囲気なんですけどねえ…シャッターチャンスがきません…』 「…?」 「どうかした?」 「誰かに見られている気がしただけ…気のせいかしら?」 視線は確かに感じるが、きっと気のせいだろう。 虫とか鳥とか、きっとそのあたりだと思う。 霊夢がすぅーっと息を吸い込む 「…いい?私は博麗の巫女なの…私の子供はこの先、ずっと幻想郷を守らなければならない」 「…だろうね」 「だからこそ、よ」 きっと、強靭な子供が必要となるだろう。だからこそ、貧弱な僕は対象に入らない。 「さ、お話は終わり」 「…それでも、僕は諦め切れない」 僕は…想っている。 「いいんじゃない?」 突然、そんな声が響いた。 「紫!?」 「…どういうことですか?」 現れた妖怪――八雲紫に対して、僕は疑問をぶつける。 本当に、どういうことだろう。 「必要なのは、気持ちでしょう?」 「…あんたが言う台詞じゃないでしょ?」 「あら、これでも人の気持ちくらいは分かりますわ。霊夢の偽りもね」 偽り、その言葉を聞いた途端、霊夢は紫を睨みつけた。 「偽ってないわ」 「恐れているんでしょう?いつか自分が、関係を崩壊させるかもしれないと言う事を」 「恐れてない!」 紫の言葉に霊夢は語気を荒くして、答える。 いや、もう既にそれは叫びだった 「霊夢、僕は…」 「想いが人を強くする…。子供とか、そんなことは関係ないでしょう? 愛しているか、どうか。貴女は…どっち?」 ――霊夢は言葉に詰まる。 「…好きよっ…!好きに決まってるでしょ!」 「なら、よし」 にこりと、不敵な笑みを浮かべて、紫は浮かび上がる。 「ついでに、デバガメをしているのも、暫くスキマ送りにしておくから あとは二人で楽しみなさい」 ふふふ…と怪しい笑い声を浮かべて、境内の裏に向かった。 『ぎぃやぁぁぁぁ!』 そこから、断末魔が聞こえた。 「…ホントにデバガメしてたんだ」 何となく予想はついてたけど。 もしかしたら、僕は最初から彼女に惹かれていたのかもしれない。 「…なに、笑ってるの?」 「いや…一生涯の宝物が…手に入って嬉しいんだ」 僕は、彼女を抱きしめた。 既にお茶は冷たくなっていた。 だけど僕の気持ちは熱く、暖かかった。 後書き ===社会の裏=== 自分の為に長文妄想すると… やっぱり、色々おかしくなるなぁ ===社会の裏ここまで=== この530(仮名)の長文妄想に書ける物などあんまりない! と、まぁ…霊夢ですね。 始めはこんなに変になるなんて思ってなかったんです。 …すいません。お目汚しです。 シリアス文章(?)なんで後書きもあまりネタに走らず… 普通に…終わらせます。 読んでくれた方、ありがとうございました。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 172 1日目 気が付けば私は見知らぬ土地に立っていた。 とりあえず近くにあった鰻屋で1杯やることにした。 隣に座っていた女性がいきなり、 「人の話を聞くことが、あなたに積める善行です。私の話しを聞きなさい!」 と言われて説教が始まった。 5時間ほどで女性は満足して帰っていくが…女性は金を払っていなかった。 歌が下手な店主に2人分の金額を請求されるが当然払えるわけでもなく… 『あっUFOだ!』 と指差し、振り向いてる隙に逃げた。 何が悲しくてこんな事をしなければならないのだろう。 2日目 夜の川原を歩いていたところ、触角をつけた少女を発見する。 →つかう →さとうすい →セルフ わたしはぜんしんにさとうすいをかけ、さけんだ! 『おれのむねにとびこんでこい!』 しょうじょはわたしをいちべつすると、 「キモッ」 とびさっていった。 ざんねん!!わたしはきらわれてしまった!! 冷たい水の中で体を洗いながら私は泣いた。 3日目 風邪を引いてしまった私は永遠亭でお世話になった。 薬師の技術に感心しながら内部を散策する。 『せっかくだからこの赤の襖を選ぶぜ!』 開けないように注意された襖を開ける。 「MVPが取れなかったじゃない、あのBOTの所為で…あら……お客様かしら…」 あまりのプレッシャーに私は襖を閉め、自分の愚かさを呪った。 しかし神は私を見捨てた、襖が開き私を中に引きずり込んだ。 単なるNEETとか、カリスマ不足だとか そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ もっと恐ろしい恐怖の片鱗を味わったぜ・・・ 4日目 森の中にある謎の店に入る。 すると中に居た男が褌一丁で飛びかかってきたので、 『君がッ 泣くまで 殴るのを止めないッ!』 三日分の思いを男にぶつけた。 しばらくすると落ち着いたらしく話を聞くと、 「久しぶりに客が来て、嬉しくなってやった、正直反省している」 その言葉にカッとなった私は地獄突きをかました。 ここは地獄なのだろうか… 5日目 辿り着いた神社で巫女さんにお茶をご馳走になる。 そんなささやかな事で涙した。 「大丈夫?」 『ちょっと辛いことがあって』 「そう、お替り要る?」 『もらえるとありがたい』 安らぎの時間を過ごした。 賽銭を奮発しておいた。 6日目以降 あれから私は神社にお世話になる事にした。 隣にはいつも彼女がいる。 ただそれだけでいい。 賽銭から始まる恋もあるのかもしれないな…… ─────────────────────────────────────────────────────────── 218 初冬の朝。 突然障子が開かれ、部屋に光が差し込む。 「起きなさい!何時だと思ってるの?」 霊夢だ。心なしか怒っている様にも見える。 「ああ…おはよう、霊夢。」 「おはようじゃないでしょ?今日は朝から境内の落ち葉を掃くって言ってたじゃない。」 そう言えばそんな事言っていたな…。 だが、この布団の心地よさは捨てるのは実に惜しい。 「ああ、そうだった。」 俺は手を差し出す。 「何?」 疑問に満ちた目で俺を見る 「起こして。」 「はぁ…。まったく…。」 霊夢はため息を吐き、俺の手を掴んだ。手の感触が伝わってくる。 俺はそれを…力を込めて引く! 「きゃっ…!」 バランスを崩した霊夢が倒れてくる。 丁度霊夢が俺に覆いかぶさっている形になる。 「な、な、何するのよ!」 霊夢の頬は赤く染まっている。多分、俺の頬も赤い。 「ん、春度補給。」 「もう…そんな事言って…。あっ…。」 俺は霊夢を抱きしめてキスをした。 「ぷはっ…。」 流石に苦しくなり、唇を離す。 「このまま時間が止まればいいのに…。」 「メイドにでも頼んでみるか?」 「バカ…。」 結局、二人で布団から出たのは昼になってしまった。 霊夢とイチャつきたかった。後悔はしていない。 …しかし描写下手だな俺。 テンコー! ──────────────────────────────────────────────────────── 363 「霊夢…」 「ん……」 霊夢の細い身体をしっかりと抱き締め、柔らかな唇を奪う さらりとした黒髪を弄りながら、舌を滑り込ませて吸上げる 「ん~~」 声にならない声を挙げるも、悦に浸ってるのか抵抗の様子は無い 「ぷはっ……」 息が苦しくなりそうなところで、糸を引く唇を離す 「ちょ、ちょっと……新年の挨拶ぐらいできないのあんたって人は」 ぶぅ、と紅い頬を膨らませながらの抗議 「おお? 挨拶なら今しただろ。俺はどうも定型の挨拶が嫌いでな。一年で最も白々しい一瞬と言っていい」 「もう……莫迦…」紅潮しつつ微笑を浮かべる霊夢。嫌がってるようには見えない そう、今は午前零時──新年を迎えた丁度その時である 「それでだな…」 上着のポケットから小さい包みを取り出し、霊夢に差し出す 「これ、受け取ってくれないか。クリスマスの代用って言っちゃ何だけどな」 「え……いいの?」 如何にも期待感満々な笑みを浮かべ、包みを開ける霊夢 「あ……」 淡いピンク色のリボン。霊夢の知己だという古道具店で偶然見つけたものだ 霊夢は物思いに耽るかのようにそっと目を閉じる 「ありがと……大切にするわ」 身体を寄せてくる霊夢を、優しく抱き締める。互いに無言のまま、しばし静かな時が過ぎていく 就寝の準備をすべく布団を敷く 厚手の式布団に、毛布、柔らかい掛布団。これなら寒くは無いだろう 後は等身大の霊夢抱き枕でもあれば、朝をも忘れる夢心地に間違いは無いが、無いものは 仕方あるまい 横になり、毛布に包まった時、静かに襖が開いた。隣部屋の霊夢が顔をのぞかせる 「…ねぇ」少しの沈黙の後、もじもじとした様子で霊夢が切り出す 「ん?」 「……一緒に、寝ていい?」 ドキン、と俺の心臓は早鐘のように鳴り始める 「あ、ああ…構わないとも」 返事をする前から霊夢は一方的に布団に入ってくる 「左腕、横に出して」 霊夢の求めに応じ左手を伸ばすと、霊夢は頭を乗せて枕代わりにする 「腕枕なんて…迷惑かしら?」 「…別にいいさ。おやすみ、霊夢」 「はい、おやすみなさい」 聞こえるのは冷たい風の音と、軽やかな彼女の寝息 冬の静かな夜は、時間まで積もる雪の中に埋没してしまったのだろうか 左腕は肘の先からもう感覚が薄れ、手の部分が完全に冷たくなってしまっているのがわかる 腕が壊死するとはこういうものなのだろうか だが、眠れない原因はそれだけではあるまい 自分の愛した少女が、真横で無防備な寝姿を晒している 霊夢と恋人関係になってからまだ日が浅い。同じ布団で寝るのも今夜が初めてだった なのに、霊夢は── …何とも思っていないのだろうか? …信頼してくれてるのだろうか? ……全てを承諾しているのだろうか 俺の中で、暗い何かが燃えあがる ──我慢できない 霊夢の身体を求め、空いてる右腕を差し出した時 「○○……」微かに聞こえる、自分の名前 その一言ではっと我に返る 寒いのか、霊夢は寝返りをうつと背中を丸めて布団の中に潜り込む 起きてしまった様にも見えたが、またすぐに軽やかな寝息を立てる 自分のことを──夢見てくれている 俺は拘束の解けた左腕を布団に入れる。暖かい毛布と冷たい手で奇妙な感覚を覚える 空が白み、部屋の中が少し明るくなったように感じる 「おやすみ…」小声で、そっと囁いた ──寒い 身を切るような冷たさに思わず目を覚ます 隣にいるはずの霊夢の姿は無い。もう起きているのだろう 懐中時計に目をやる──九時 霊夢は寝坊に煩い。正月から怒鳴らせるのも嫌なので起きる事にする 襖を開けると、部屋には紅の大輪が咲いている──紅白では無く、紅い着物姿の少女がそこにはあった。頭の上には淡いピンクのリボン── 霊夢は俺の姿に気づくと、振り返って膝を正す 「明けましておめでとう御座います」霊夢は手を畳に置き、深々と礼をする。普段からは想像 の付かない可憐でおしとやかな姿に、思わず目を奪われる 「あ、ああ…おめでとう」眠い目を擦りながら、返事を返す 「お雑煮、出来たわよ」はぁ、と霊夢は溜息を付きながら促す 外は昨日から変らず大雪。正月としての風情など何も無い だが暖かい雑煮を食べ、甘酒を口にすると正月らしい気分にはなった だが睡魔には勝てそうも無く、盛んに欠伸が出ては涙目を擦る 「何であんたそんなに眠そうなのよ」 誰のせいだ、とも思った 「霊夢こそ、よく寝てたな…」 「おかげさまで、ね」 「うー……」 満腹になり、酒が入ったせいだろうか。急激に眠気が襲ってきた 「ここで寝たら風邪引くわよ。ちゃんと布団で寝なさい」 「うーん、正月の昼から寝るなんて何か申し訳無いんだよな」 「まぁそうだけど…こんな大雪じゃ誰も来ないわよ」 確かにそうだろう。今日は誰もがこたつむり化してるに間違い無い 「腕……痛かったでしょ」 「あぁ…」 ちゅっ、と唇が触れ合う 「おやすみなさい。今度はいい夢見てね?」 「物足りないな。また添い寝でもしてもらおう」霊夢の腕を引っ張り、寝室に連れ込む 「も、もう……着替えるの時間かかるのに……」 布団の中でお互いに寄り添う。寒さを凌ぎ、互いに確かめ合うように 「さっき、言い忘れちゃったわ」 「ん?」 「今年も…宜しくお願いします。って」顔を赤らめながら微笑を浮かべる 「いや…今年からだ」華奢な身体を壊さぬように抱き締める。 「霊夢……俺……お前が……」 霊夢は一瞬驚愕の表情を見せるが、俯くように小さく頷く 「うん……」 その言葉を聞いた途端、俺は半ば飛び掛るように霊夢の唇を奪う 忘れることの出来ぬ、記念すべき新年が幕を開ける ─────────────────────────────────────────────────────────── 370 霊夢「あけましておめでとう」 ○○「おめでとうございま~す」 ○○「新年を迎え、心機一転の幻想郷」 霊夢「今年もよろしくお願いします」 ○○「さて、年をまたいでなんか書いてみようと頑張ってみる件、正しくはなぜか俺達に代理でしゃべってもらおう企画。後半になりましたが…」 霊夢「何しようかしらね」 ○○「…は?」 霊夢「考えて無いらしいのよ、どうも」 ○○「うちの作者って…」 霊夢「行き当たりばったりよねぇ…」 霊夢「とりあえずSSの感想をば」 ○○「 363氏の霊夢もの~」 霊夢「…(真っ赤)」 ○○「…(真っ赤)」 霊夢「…○○?(もぢもぢ上目遣い)」 ○○「だめ(真っ赤)」 霊夢「…なんで?(涙目)」 ○○「絶対理性がもたないから」 霊夢「うー…(しょんぼり)」 ○○「というか今仕事中だし、ね?」 霊夢「うん…」 ○○「… 363氏、GJ! …しかし、なんだかこっちめちゃくちゃあてられて…。あー、顔が熱いっす(真っ赤)」 霊夢「これからの暮らしのいいお手本として、参考にさせていただきます。あの…ありがとう!(真っ赤)」 ○○「新年早々出勤という事で、ご苦労様です」 霊夢「お仕事頑張ってね!」 霊夢「…後で添い寝、絶対添い寝(耳うち)」 ○○「マジ?…って言うか、マイク音ひろってる、音ひろってる!」 霊夢「え!?え、あっ…あう…(さらに真っ赤)」 ○○「あはははは…(汗)」 霊夢「う~!(コタツもぐりこみ)」 ○○「って、おい、恥ずかしいからってコタツの中なんかに入ってどう…何やってるか中でぇぇぇっ!?(混乱)」 (しばらくお待ちください) 霊夢「…っぷはぁ!(飛び出し)」 ○○「…またこうなるのかよ…(げっそり)」 霊夢「だって私達の場合これが基本だもん(ぬくぬく)」 ○○「…また四十八手がどうとか言われるぞ?」 霊夢「いいの! あったかいから」 ○○「……あ~、何か続行困難になってきました。まことに勝手ながら、この辺でお開きに…」 霊夢「え? 続けないの?」 ○○「ネタも無い上にこの体勢でどうやって?」 霊夢「む~…しょうがないか」 ○○「 365(95)氏もあけましておめでとう! あなたにもいい年でありますように!」 霊夢「まとめ人さんもおめでとう! 今年もよろしく!」 ○○「 368氏、 369氏、そして職人の皆さん、ROMの皆さん」 霊夢「改めて…」 ○○&霊夢「あけましておめでとう! 今年もよろしくお願いします!」 ○○「じゃ、初詣に行くか」 霊夢「すぐそこだけどね(べったり)」 ○○「……」 ○○(何でかな?急に「にわやえ」なんて単語が浮かんだ…) というわけで、今年もよろしくお願いします。 今回の実験・・・・・・・・・・多分失敗 ───────────────────────────────────────────────────────────
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東方Project或いは幻想郷に於けるヒーロー(誤字でなく) 強烈な個性らしい個性を持たず、飄々としてるというか、ふらふらしているというか、ダラダラしている 彼女の目元を隠してしまえば、そのままギャルゲの主人公として通せそうな勢いであるが 「博麗の巫女」というジョブ名がそれを阻む そういう意味では非常に巫女(原義的な)らしいキャラクターと言える 東方Projectが巫女さんSTGであるだけに、魔理沙並に登場頻度は飛び抜けて多い 霊夢「なんか・・・コレいやらしいわね」 すると霊夢は俺の腕の中で振り向くと、怪我をしてない方の手を伸ばし俺の頭を撫でてきた。 01-011 01-015 01-031 01-041 01-043 01-053 01-102 01-123 01-124 01-166 01-169 01-196 01-227 01-237 01-240 01-242 01-294 01-295 01-303 01-313 01-320 01-321 01-339 01-363 01-366 01-368 01-384 01-392 01-396 01-407 01-408 01-414 01-417 01-422 01-423 01-433 01-435 01-441 01-464 01-476 01-479 01-506 01-510 01-511 01-516 01-522 01-523 01-541 01-552 01-572 01-575 01-583 01-617 01-619 01-623 01-624 01-633 01-636 01-657 01-688 01-719 01-754 01-770 01-787 01-801 01-807 01-841 01-854 01-855 01-879 01-894 01-910 01-911 01-924 01-932 01-940 01-950 01-956 01-981 02-009 02-051 02-059 02-065 02-130 02-136 02-140 02-148 02-152 02-178 02-182 02-192 02-199 02-200 02-224 02-243 02-249 02-273 02-285 02-294 02-306 02-311 02-371 02-374 02-384 02-404 02-409 02-418 02-462 02-496 02-509 02-510 02-512 02-523 02-525 02-547 02-552 02-577 02-583 02-593 02-599 02-618 02-620 02-628 02-655 02-665 02-677 02-686 02-692 02-705 02-711 02-734 02-738 02-747 02-758 02-776 02-781 02-785 02-786 02-802 02-819 02-829 02-857 02-861 02-866 02-870 02-873 02-883 02-898 02-912 02-923 02-935 02-941 02-961 02-978 02-983 02-984 以上、156件